第3章|ADL・IADL・QOL・痛みの評価

作業療法評価学 第3章

3-1 Barthel Index(BI)

BIは「できるADL」を10項目・100点満点で採点する。5点刻み。補助具を使っての自立は自立と数える。

項目配点要点
食事10・5・0刻んでもらうなど一部介助は5
車椅子からベッドへの移乗15・10・5・0ブレーキ・フットサポートの操作、ベッドへの移動、臥位になるまでを含む。靴の着脱は含まない
整容5・0部分介助の段階が無い(2段階)
トイレ動作10・5・0トイレの出入り、衣服の操作、後始末を含む
入浴5・02段階
歩行(平地)15・10・5・0平地歩行のみ。坂道・階段は含まない。歩けなくても車椅子で一定距離を自立なら5
階段昇降10・5・0歩行とは別項目
更衣10・5・0靴・装具の着脱も含む
排便コントロール10・5・0—
排尿コントロール10・5・0—

BI100点=社会生活に支障がない、ではない。BIは基本的ADLの自立度だけを見ており、IADL・認知・コミュニケーションは含まない。

3-2 機能的自立度評価法(FIM)

FIMは「しているADL」を、運動13項目+認知5項目=18項目・7段階で採点(18〜126点)。介助量(対象者が行っている割合)で点が決まる。

点区分典型例
7完全自立補助具なし・通常の時間で安全に行う
6修正自立自助具・補助具(介助皿・ループ付きタオル・手すり)を自分で使って自立/時間がかかる/安全への配慮が要る/食事を配膳前に刻んでもらうなど食形態の調整
5監視・準備見守り・声かけ・自助具や装具の装着をしてもらうなどの準備のみ
4最小介助75%以上を自分で行う
3中等度介助50%以上75%未満
2最大介助25%以上50%未満
1全介助25%未満

項目の範囲

領域項目出題される要点
セルフケア食事・整容・清拭・更衣(上半身)・更衣(下半身)・トイレ動作食事は口に運ぶまで。減塩食など食事の内容は採点に関係しない。醤油をかけてもらうなど準備の手伝いは6ではない
排泄コントロール排尿管理・排便管理—
移乗(3項目)ベッド・椅子・車椅子/トイレ/浴槽・シャワーベッド移乗は起き上がり動作を含む。手すり使用で自立=6。往復で介助量が違えば低い方を採る
移動歩行・車椅子/階段距離(50m・15m)と介助量で採点
コミュニケーション理解・表出—
社会的認知社会的交流・問題解決・記憶—

6点と5点の境目が最頻出。自分で自助具を使う=6、自助具・装具を着けてもらう(準備)=5。「手すりを使う=5」「自助具を着けてもらう=4」は誤り。

3-3 IADL・活動能力の評価

評価法対象・形式中身
老研式活動能力指標高齢者・13項目・はい/いいえ・自記式手段的自立(バス・電車での外出、買い物、食事の用意、請求書の支払い、預貯金の出し入れ)・知的能動性(書類を書く、新聞・本を読む、健康の記事への関心)・社会的役割(友人宅訪問、相談にのる、見舞い、若い人に話しかける)
基本チェックリスト介護予防事業・はい/いいえ生活全般・運動・栄養・口腔・閉じこもり・認知・うつの25項目。IADL項目に預貯金の出し入れを含む
FAI(Frenchay Activities Index)IADLの実施頻度・15項目食事の用意・洗濯・買い物・外出・交通手段の利用・旅行・庭仕事・家や車の手入れ・読書・仕事など。金銭管理の項目は無い
Lawtonの尺度IADL電話・買い物・食事の準備・家事・洗濯・移送・服薬管理・金銭管理
Katz Index基本的ADL・観察(他者評価)入浴・更衣・トイレ・移乗・排泄コントロール・食事
PULSES基本的ADL・他者評価身体状況・上肢・下肢・感覚・排泄・社会的要因
BI・FIM基本的ADL・他者評価3-1・3-2参照
WeeFIM小児版FIMIADLの評価ではない(5-2参照)

「自記式」と問われたら老研式活動能力指標・基本チェックリスト。「金銭管理を含む」は老研式(預貯金)・基本チェックリスト・Lawton。FAIは頻度の尺度で金銭管理を含まない。

3-4 QOL・主観的幸福感の評価

評価法形式中身
SF-36自記式・健康関連QOL8領域=身体機能・日常役割機能(身体)・体の痛み・全体的健康感・活力・社会生活機能・日常役割機能(精神)・心の健康。コーピングスキルは測らない
EuroQol(EQ-5D)自記式5項目(移動・身の回り・ふだんの活動・痛み/不快感・不安/ふさぎ込み)+VAS(健康状態を0〜100で)
PGCモラールスケール高齢者の主観的幸福感・はい/いいえ形式が中心心理的動揺・老いへの態度・孤独感/不満足感
WHOQOL自記式身体・心理・社会関係・環境の領域と全体
CDR認知症の重症度QOL評価ではない
GBSスケール認知症の症状の評価知的機能・感情機能・運動機能・その他の精神症状

QOL評価を選べ、ではFIM・Katz・CDRのようなADL・重症度の尺度が並ぶ。主観(本人の満足・幸福)を問うかどうかで切り分ける。

3-5 痛みの評価

評価法方法向く場面
VAS(Visual Analogue Scale)10cmの線上に痛みの強さを印す痛みの強度。質・部位は分からない
NRS(Numerical Rating Scale)0〜10の数字で答える口頭で簡便
フェイススケール表情の顔の絵から選ぶ小児・数字での表現が難しい人
Abbey Pain Scale表情・発声・行動などを他者が観察自分で痛みを訴えにくい認知症の人
STAS-J医療者が評価緩和ケアの症状・支援の評価
McGill痛み質問票痛みを表す言葉を選ぶ痛みの質(感覚的・情動的)