検査で説明できる身体疾患がない(または不釣り合いな)身体症状に強くとらわれ、生活に支障が出る状態。旧来の身体化障害・心気症〈心気障害〉・疼痛性障害などを含む。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 訴え | 痛み・倦怠感・消化器症状など多彩。繰り返し検査や治療を求める(ドクターショッピング) |
| 心理的要因 | 本人は身体の病気だと考え、心理的要因の話題を避けたがる・抵抗する |
| 生活 | 症状を理由に活動を控え、臥床・不活発になりやすい |
| 適切 | 不適切 |
|---|---|
| 身体症状の訴えを否定せず受容的に聴く(本人にとって苦痛は実在する) | 「気のせい」「心の問題だから」と心理的原因を繰り返し説明する、早期に矛盾を直面化する |
| 症状から作業へと注意を移せる活動、軽い身体活動で活動性を上げる | 安静を勧める(不活発・症状へのとらわれを強める) |
| 感情の表出を促す活動(創作・表現的な作業)を個別から | 「他科の受診を手配する」など作業療法士の権限外の約束をする |
判断の軸=「訴えは受け止める、しかし症状の話に作業時間を使い切らない」。症状の否定も、症状への過度な同調(検査・受診の約束)もしない。
心理的葛藤やストレスが、運動・感覚の神経症状(麻痺・失立失歩・失声・けいれん・感覚脱失など)として現れる。神経学的所見と症状が一致しない。かつてのヒステリーに相当する。
| 適切 | 不適切 |
|---|---|
| 感情の言語化・自己表現を促す | 早期に症状の矛盾を指摘・直面化する、洞察を迫る |
| 症状が身体機能に出ていれば、廃用を防ぐ身体機能への介入も行う(機能訓練として自然に動かす) | 依存的な態度を初期から突き放す |
| 支持的な治療関係を土台に、少しずつ活動範囲を広げる | 初期から環境調整(家屋改修・福祉用具)を進める(症状を固定化させる)/急性期から集団の中で役割を担わせる |
強いストレスで、記憶・意識・同一性・知覚などの統合が一時的に失われる。
| 病型(代表例) | 内容 |
|---|---|
| 解離性健忘 | ストレスに関係する出来事の記憶が抜ける |
| 解離性遁走 | 健忘を伴い、家や職場から突然離れて放浪する |
| 解離性同一症〈多重人格〉 | 複数の人格状態が交代する |
| 離人感・現実感消失症 | 自分や周囲が現実でないように感じる |
| 解離性けいれん | てんかんに似た発作(2-4) |
| 適切 | 不適切 |
|---|---|
| 支持的な態度で安心できる関係をつくる | 要求をそのまま受け入れる、作業を代わりに行う(依存・退行を強める) |
| 葛藤やストレスを発散できる活動、新しい行動パターン(ストレス時の対処)の獲得 | 退行を促す関わり |
| 疾患と治療について分かりやすく説明する(心理教育) | 健忘があるからと作業療法を中止する、作業療法時間外の活動を約束する |
心因性非てんかん発作(PNES:解離性けいれん・心因性発作・偽発作)は、てんかんと区別して対応を変える。
| 所見 | てんかん発作 | 心因性非てんかん発作 |
|---|---|---|
| きっかけ | 特定しにくい(睡眠不足などで誘発) | 心理的きっかけ(ストレス・人前)がある |
| 睡眠中 | 起こりうる | 睡眠中には起こらない |
| 持続 | 多くは数分以内 | 長く続くことが多い |
| 意識 | 全般性強直間代発作では消失 | 完全には失われない(呼びかけ・回避への反応) |
| 外傷・咬舌・失禁・チアノーゼ | 起こりやすい(てんかんを示唆する所見) | まれ |
| 流涙 | みられうる | みられうる(鑑別の決め手にならない) |
繰り返す心因性発作への作業療法:発作が起きたストレス状況について話し合う。発作のたびにプログラムを変更すると二次疾病利得になり発作を強化する。叱責もしない。
| 場面 | 適切 | 不適切 |
|---|---|---|
| 強直間代発作(大発作)中 | 周囲の危険物をどけ、頭部を保護し、横向き(回復体位)で気道確保。発作の様子と時間を観察・記録する | 体を押さえつける、口にタオル・指を入れる、刺激を与えて起こそうとする、意識が戻らないうちに水や薬を飲ませる |
| 発作が止まらない・繰り返す(てんかん重積状態) | まず呼吸状態を確認し、医療者へ連絡・救急対応 | そのまま様子をみる |
| 複雑部分発作〈焦点意識減損発作〉で歩き回る(自動症) | 無理に止めず一緒に移動しながら危険物を除く・安全を確保 | 強く制止する・大声で呼び戻す |
てんかん発作時は「押さえない・口に物を入れない・観察して記録」。安全確保が先、止めようとしない。