| 項目 | 傾向 | ひっかけ |
|---|---|---|
| 性別 | 男性が多い(約8割) | 「女性に多い」は誤り |
| 部位 | 頸髄損傷が最多(胸腰髄より多い) | 「腰髄・胸腰髄が最多」は誤り |
| 原因 | 転倒・転落が多い(高齢者の転倒が増加) | 「交通事故が最多」「スポーツ事故が転倒より多い」は誤り。労働災害は減少傾向 |
| 年齢 | 高齢者が増加。かつての若年と高齢の二峰性から高齢側が中心に | 「20歳代が最多」「20歳代ピークの一峰性」は誤り |
| 完全・不全 | 不全損傷が完全損傷より多い | 高齢者の軽微な外力(過伸展)による不全損傷が多い |
| 脊髄ショック | 神経原性ショック | |
|---|---|---|
| 正体 | 受傷直後、損傷レベル以下の脊髄機能が一時的にすべて消える状態 | 交感神経の遮断で血管が拡張して起こる循環のショック(分布性ショック) |
| 所見 | 弛緩性麻痺・反射消失(腱反射消失、肛門括約筋反射・球海綿体反射も消失)、尿閉 | 低血圧+徐脈、皮膚は温かい(血管拡張)、中心静脈圧・心拍出量は低下 |
| その後 | 球海綿体反射などの回復が離脱の目安。離脱後は損傷レベル以下が痙性麻痺・腱反射亢進へ | 他のショック(出血など)は頻脈・皮膚冷感なので逆 |
ショック期に「痙性」「腱反射亢進」「排尿反射亢進」は出ない(それは慢性期の上位運動ニューロン徴候)。受傷直後の膀胱は尿失禁ではなく尿閉。
| 型 | 特徴 |
|---|---|
| 中心性頸髄損傷 | 高齢者に多い。変性・狭窄のある頸椎の過伸展で起こり、骨傷を伴わないことが多い。下肢より上肢(特に手)の障害が強い。仙髄領域は保たれやすい |
| Brown-Séquard症候群(脊髄半側損傷) | 損傷側(同側):運動麻痺・深部覚障害/反対側:損傷レベル以下の温痛覚障害 |
| 前脊髄動脈症候群 | 運動麻痺と温痛覚障害。後索は保たれるので位置覚・振動覚は残る |
| 脊髄円錐症候群 | 肛門周囲・会陰部(サドル状)の感覚障害、膀胱直腸障害 |
| 馬尾症候群 | 末梢神経(下位運動ニューロン)の障害。下肢・会陰部の感覚障害も出る(「感覚障害はない」は誤り) |
Brown-Séquardは「同側=運動と深部覚、反対側=温痛覚」。温痛覚の経路(脊髄視床路)は入ってすぐ交叉し、運動(皮質脊髄路)と深部覚(後索)は延髄で交叉するから。
間欠性跛行は腰部脊柱管狭窄症や末梢動脈疾患、鉛管様固縮はParkinson病、Wrightテストは胸郭出口症候群。頸髄の圧迫症状と混同しない。
ASIA(米国脊髄損傷協会)の「脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価表」は、運動(key muscle の筋力)と感覚(key sensory point)、仙髄(S4〜S5)領域の所見から、神経学的レベルと完全・不全(AIS)を決める。
| 含まれる | 含まれない(よく出る誤肢) |
|---|---|
|
|
| 髄節 | key muscle(運動) | 代表筋 |
|---|---|---|
| C5 | 肘屈筋群 | 上腕二頭筋・上腕筋 |
| C6 | 手関節背屈筋群 | 長・短橈側手根伸筋 |
| C7 | 肘伸筋群 | 上腕三頭筋 |
| C8 | 指屈筋群(中指の末節) | 深指屈筋 |
| T1 | 小指外転筋 | 小指外転筋 |
| L2 | 股関節屈筋群 | 腸腰筋 |
| L3 | 膝伸筋群 | 大腿四頭筋 |
| L4 | 足関節背屈筋群 | 前脛骨筋 |
| L5 | 長趾伸筋群 | 長母趾伸筋 |
| S1 | 足関節底屈筋群 | 下腿三頭筋 |
「C6=上腕二頭筋」「C8=上腕三頭筋」「C7=小指外転筋」「L1=大腿四頭筋」(正しくはL3。L1には key muscle が無い)は近い髄節にずらしたひっかけ。二頭筋C5・手首C6・三頭筋C7・指屈曲C8・小指外転T1と上から順に唱える。写真問題でT1を問われたら小指を外に開かせて抵抗をかける検査を選ぶ。
| 髄節 | 部位 |
|---|---|
| C4 | 肩鎖関節の頂部(鎖骨上窩はC3) |
| C5 | 肘窩の外側(橈側) |
| C6 | 母指 |
| C7 | 中指 |
| C8 | 小指 |
| T1 | 肘窩の内側(尺側) |
| T4 | 乳頭 |
| T10 | 臍 |
| T12 | 鼠径靱帯の中点 |
| L3 | 大腿骨内側顆(膝の内側) |
| L4 | 内果 |
| L5 | 足背(第3中足趾節関節の背側) |
| S1 | 踵の外側 |
| S4〜S5 | 肛門周囲 |
手は「母指C6・中指C7・小指C8」、体幹は「乳頭T4・臍T10・鼠径T12」。図で上腕外側の近位を指していたらC4ではなくC5寄り、膝の内側はL3、内果はL4、膝窩は仙髄(S2付近)でS4ではない。
| AIS | 名称 | 定義(要点) |
|---|---|---|
| A | 完全 | S4〜S5に感覚も運動も残っていない |
| B | 不全(感覚のみ) | 損傷レベル以下に感覚は残る(S4〜S5を含む)が運動はない |
| C | 不全(運動あり) | 損傷レベル以下に運動が残るが、key muscle の半数以上がMMT3未満 |
| D | 不全(運動あり) | 損傷レベル以下の key muscle の半数以上がMMT3以上 |
| E | 正常 | 感覚・運動とも正常(脊髄損傷の既往がある人に用いる) |
判定の順番:①肛門周囲(S4〜S5)の感覚も肛門の随意収縮もない→A。②仙髄の感覚は残るが、肛門の随意収縮がなく、損傷レベル以下(運動レベルより3髄節を超えて下)に運動がない→B。頸髄損傷では上肢の key muscle も「損傷レベル以下の運動」に入る。③肛門の随意収縮があるか、運動レベルより3髄節を超えて下に運動が残る→C以上。損傷レベル以下の key muscle でMMT3以上が半数未満ならC、半数以上ならD。「下肢MMTすべて0・肛門の随意収縮なしでも、肛門周囲の感覚が残る」=B。
損傷レベル以下に感覚鈍麻(障害)があっても、肛門周囲の感覚が残っていればAではない。Aと判定する決め手は仙髄領域の消失。
| 機能 | 髄節・神経 | 読み方 |
|---|---|---|
| 肩すくめ(肩甲骨挙上) | 僧帽筋上部:副神経+C3・C4 | C4まで残っていれば可能 |
| 横隔膜(自発呼吸) | 横隔神経:C3〜C5(主にC4) | C4残存なら自発呼吸できることが多い。C3以上の高位で人工呼吸器を要する |
| 頸部の感覚 | C2〜C4 | 損傷が下位頸髄なら保たれる |
| スプーンを握る | 手指の屈曲(C8) | 損傷レベル以下の運動がないAIS Bでは、損傷部以下の筋が担う動作はできない |
| 棚の上の物をとる | 肩の屈曲(C5)+肘伸展(C7)+手指の把持 |
画像で中下位頸椎(C4/5〜C5/6付近)に圧迫があり運動完全麻痺(AIS A・B)なら、上の髄節が担う機能(肩すくめ・横隔膜・頸部の感覚)は残り、圧迫部以下の筋が担う動作はできないと読む。
頸髄損傷の上肢を、機能している最下位の筋で細かく分ける分類。手の機能再建や装具・ADLの目標設定に使う。
| 群 | 亜群 | 残存機能の決め手 |
|---|---|---|
| C5(肘屈曲可能) | A | 腕橈骨筋が機能しない |
| B | 腕橈骨筋が機能する | |
| C6(手関節背屈可能) | A | 手関節背屈が弱い(橈側手根伸筋が弱い) |
| B1 | 手関節背屈が強い。円回内筋・橈側手根屈筋・上腕三頭筋は機能しない | |
| B2 | 手関節背屈が強い+円回内筋が機能。橈側手根屈筋・上腕三頭筋は機能しない | |
| B3 | 手関節背屈が強い+円回内筋・橈側手根屈筋・上腕三頭筋が機能 | |
| C7(手指伸展可能) | A | 尺側の指は完全に伸展できるが、橈側の指と母指は麻痺 |
| B | すべての指が完全伸展できる。母指の伸展は弱い | |
| C8(手指屈曲可能) | A | 尺側の指は完全に屈曲できるが、橈側の指と母指の屈曲は麻痺。母指の伸展は可能 |
| B | すべての指の屈曲が可能。母指の屈曲は弱く、手内在筋は麻痺 |
C6Bの亜群は「B1=なし → B2=円回内筋 → B3=円回内筋+橈側手根屈筋+上腕三頭筋」と1つずつ足していく。C6B3は「C7の筋が加わり始めたC6」。総指伸筋・尺側手根伸筋(C7〜C8)、深指屈筋(C8)はC6B3ではまだ機能しない。
| 見えている動作 | 読み取る機能 | レベル |
|---|---|---|
| 手指の屈曲拘縮を利用してフォークを手に引っかけ、肘屈曲で口へ運ぶ | 手関節背屈はあるが手指の随意的な把持はない | C6A |
| ボールペンを両手で挟んで保持して書く(片手では保持できない) | テノデーシスでの片手把持が不十分 | C6A |
| 便座へ側方移乗し、手に固定した自助具で坐薬を挿入する | 側方移乗に要る肘伸展(上腕三頭筋)があり、手指の能動的把持はない | C6B3 |
「肘伸展(上腕三頭筋)がある」と「手指の随意的な屈伸がない」が同時に読み取れたら C6B3。C6Bの亜群はすべて手関節背屈が強いことが前提で、そのうえで円回内筋→橈側手根屈筋・上腕三頭筋の順に加わる。手関節背屈(橈側手根伸筋)がなければC6には入らない。
| 残存髄節(最下位) | 新たに使える主な筋 | 可能になる運動 |
|---|---|---|
| C4 | 横隔膜・僧帽筋上部・胸鎖乳突筋 | 自発呼吸、頸部の運動、肩すくめ |
| C5 | 三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋(C5B)・棘上筋など | 肩の屈曲・外転、肘屈曲、前腕回外 |
| C6 | 長・短橈側手根伸筋・大胸筋(鎖骨部)・前鋸筋・円回内筋(一部) | 手関節背屈→テノデーシス(腱固定作用)による把持、肩の内転・内旋 |
| C7 | 上腕三頭筋・橈側手根屈筋・総指伸筋・広背筋 | 肘伸展→プッシュアップ、手関節掌屈、手指伸展 |
| C8 | 深指屈筋・浅指屈筋など | 手指屈曲(握り) |
| T1 | 手内在筋(骨間筋・小指外転筋・母指内転筋など) | 指の外転・内転、つまみ |
C6残存で可能なのは手関節背屈と肘屈曲。小指の外転・母指の内転(C8〜T1の手内在筋)、中指DIPの屈曲(深指屈筋C8)はできない。
MMTの表が出たら、MMT3以上(実用上は4〜5)の最下位の筋で判断する。例えば三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋が良好で橈側手根伸筋が0ならC5(C5B)、橈側手根伸筋が4で上腕三頭筋・円回内筋・橈側手根屈筋が0〜1ならC6(Zancolli C6B1相当)、と読む。左右差があれば低いほうも確認する。
二分脊椎(脊髄髄膜瘤)の下肢の麻痺を、働いている最下位の運動で6群に分ける分類。
| 群 | 働く主な運動 | 移動・ADLの目安 |
|---|---|---|
| Ⅰ群 | 股関節の運動なし(胸髄レベル) | 車椅子中心 |
| Ⅱ群 | 股関節屈曲・内転が可能 | 床上で股関節を曲げて下肢を引き寄せる動作が使える |
| Ⅲ群 | Ⅱ群+膝伸展 | 装具と杖で歩行の可能性 |
| Ⅳ群 | +足関節背屈・膝屈曲 | 短下肢装具で歩行 |
| Ⅴ群 | +足関節底屈 | 装具なしで歩行の可能性 |
| Ⅵ群 | 麻痺なし | — |
「股関節屈曲ができる」ことを使う動作(床上で長座位をとり、股関節を曲げて足先にズボンを通す、など)が可能な最も上位の群=Ⅱ群。Ⅰ群は股関節の運動がないので不可、Ⅲ群以上でも可能だが「最も上位」ではない。