第3章|骨格筋の生理と作用
運動学 第3章
3-1 骨格筋の構造
- 筋 → 筋線維(筋細胞)→ 筋原線維 → 筋節(サルコメア)が収縮の単位
- アクチン(細いフィラメント)とミオシン(太いフィラメント)が規則正しく並ぶ
- サルコメアの構造:Z帯(区切り)、A帯(暗帯)=ミオシンの長さ、I帯(明帯)、H帯
収縮のとき短くなるのは I帯とH帯。A帯(ミオシンの長さ)は変わらない。「収縮でA帯が短縮する」は誤り。
3-2 筋収縮のしくみ(滑走説)
アクチンがミオシンの間へ滑り込み、サルコメアが短縮する(フィラメント自体は縮まない)。
運動神経の興奮
↓(神経筋接合部・アセチルコリン)
筋線維の活動電位 → T管へ伝わる
↓
筋小胞体から Ca²⁺ 放出
↓
Ca²⁺ が トロポニン に結合 → トロポミオシンが動く
↓
アクチンとミオシンが結合(連結橋)
↓(ATP を分解して首振り)
アクチンが滑り込む → 収縮
興奮(電気)を収縮(力)に変換する一連を興奮収縮連関という。引き金はCa²⁺、エネルギーはATP。
3-3 筋線維のタイプ
| 型 | 別名 | 代謝 | 特徴 |
| Type I | 遅筋・赤筋 | 有酸素性(酸化系) | 収縮は遅いが疲労しにくい。姿勢保持・持久系 |
| Type IIa | 中間 | 酸化+解糖 | 速く、比較的疲労に強い |
| Type IIb(IIx) | 速筋・白筋 | 解糖系(無酸素性) | 収縮は速く力は大きいが疲労しやすい。瞬発系 |
「遅筋(Type I)は疲労しやすい」は誤り → 疲労しにくい。「速筋は有酸素系が主体」も誤り → 解糖系(無酸素性)が主体。
3-4 感覚受容器(固有感覚)
| 受容器 | 感知するもの | 求心線維 | 反射 |
| 筋紡錘 | 筋の長さ・伸張速度 | Ia・II | 伸張反射(筋が急に伸びると収縮) |
| ゴルジ腱器官(腱紡錘) | 筋の張力 | Ib | 自原抑制(張力が高いと弛緩) |
「ゴルジ腱器官は筋の長さを感知する」は誤り → 張力を感知(長さ・伸張速度は筋紡錘)。
3-5 筋の作用と力の出方
役割による分類
- 主動作筋(作動筋)/拮抗筋/協力筋(共同筋)/固定筋(安定筋)
- 多くの筋は近位が起始・遠位が停止(例外あり)
二関節筋
- 2つの関節をまたぐ筋(例:大腿直筋・ハムストリング・腓腹筋・上腕二頭筋)
- 主働性不全:両関節で同時に短縮方向へ働くと十分な力が出ない(例:股屈曲位で膝を強く曲げにくい=ハムストリング)
- 受動性不全:両関節で同時に引き伸ばされると可動域が制限される
筋力を決める因子
- 生理的断面積(PCSA)が大きいほど筋力は大きい
- 羽状筋は同じ体積でも断面積が大きく力に有利/平行筋(紡錘状筋)は可動範囲・速度に有利
- 長さ–張力関係:筋は至適長で最大張力(短すぎ・長すぎると低下)
- 力–速度関係:短縮速度が速いほど発揮できる力は小さくなる
「筋力は筋の長さ(体積)に比例する」は誤り → 生理的断面積に比例。「羽状筋は可動範囲に有利」も誤り → 羽状筋は力に有利。