第50回 理学療法士国家試験 午前 第8問
理学療法治療学第50回午前
第50回 理学療法士国家試験 午前 第8問(理学療法治療学)の正答は 5 です。脊髄小脳変性症で体幹失調が顕著、前後方向に振り子様の動揺がある症例です。
問題
62歳の男性。5年前に脊髄小脳変性症と診断され、徐々に歩行障害が進行している。体幹失調が顕著で、下肢には協調運動障害があるが筋力は保たれている。歩幅をやや広くすることで左右方向は安定しているが、前後方向への振り子様の歩容がみられる。最近になって自力歩行が困難となり、理学療法で歩行器を用いた歩行を練習している。この患者の歩行器に工夫すべき点で適切なのはどれか。
- 1. サドル付型を用いる。
- 2. ピックアップ型を用いる。
- 3. 歩行器は軽量のものを選ぶ。
- 4. 上肢支持面の側方に重錘を装着する。
- 5. 上肢支持面は前腕部で支持できる高さにする。 ✓
正答:5番
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解説
■ 正答:5番 — 上肢支持面は前腕部で支持できる高さにする。
脊髄小脳変性症で体幹失調が顕著、前後方向に振り子様の動揺がある症例です。手部だけで支持する歩行器では支持基底面が狭く前後の安定が得にくいため、前腕全体で体重を支えられる高さ(前腕支持型・プラットフォーム型)にすると、支持面が広がり体幹の動揺を抑えやすくなります。
【各選択肢の解説】
1. サドル付型を用いる。
❌ 誤り。サドル付型は下肢の支持性が著しく低い場合に体重を免荷する目的で用います。本例は筋力が保たれており、必要なのは体幹の安定化です。
❌ 誤り。サドル付型は下肢の支持性が著しく低い場合に体重を免荷する目的で用います。本例は筋力が保たれており、必要なのは体幹の安定化です。
2. ピックアップ型を用いる。
❌ 誤り。ピックアップ型は持ち上げて運ぶたびに支持が途切れ、失調例では持ち上げ時にバランスを崩しやすく不適です。失調には四脚の安定した支持が望まれます。
❌ 誤り。ピックアップ型は持ち上げて運ぶたびに支持が途切れ、失調例では持ち上げ時にバランスを崩しやすく不適です。失調には四脚の安定した支持が望まれます。
3. 歩行器は軽量のものを選ぶ。
❌ 誤り。失調では軽量だと歩行器自体が揺れて不安定になります。むしろ重量のある安定した歩行器のほうが動揺を抑えられます。
❌ 誤り。失調では軽量だと歩行器自体が揺れて不安定になります。むしろ重量のある安定した歩行器のほうが動揺を抑えられます。
4. 上肢支持面の側方に重錘を装着する。
❌ 誤り。重錘で安定を図る発想は近いものの、側方は安定している症例です。問題なのは前後方向の動揺であり、側方への重錘付加は的外れです。
❌ 誤り。重錘で安定を図る発想は近いものの、側方は安定している症例です。問題なのは前後方向の動揺であり、側方への重錘付加は的外れです。
5. 上肢支持面は前腕部で支持できる高さにする。
✅ 正しい。前腕で支持すると支持面が広がり上肢で体幹を安定させやすく、前後方向の振り子様動揺を抑えられます。失調性歩行に適した工夫です。
✅ 正しい。前腕で支持すると支持面が広がり上肢で体幹を安定させやすく、前後方向の振り子様動揺を抑えられます。失調性歩行に適した工夫です。
【試験対策ポイント】
失調に対する歩行補助具の原則は「支持基底面を広く・安定を重視」。前腕支持(プラットフォーム)型歩行器、四脚で重量のある歩行器が向く。逆に軽量・ピックアップ型・片手杖は失調では不安定化しやすい。重錘負荷(体幹・四肢)で動揺を抑えるのは協調性訓練の定石として併せて押さえる。
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