第50回 理学療法士国家試験 午後 第5問
臨床医学第50回午後
55歳の男性。突然のめまいを自覚し、歩行困難を呈したため搬送された。頭部MRIのT1強調像(別冊No.1)を別に示す。みられる所見はどれか。\n1. JCSⅢ-100\n2. 左顔面の痛覚低下\n3. 左上肢の小脳失調\n4. 右上肢の運動麻痺\n5. 左下肢の深部感覚低下
- 1. JCSⅢ-100
- 2. 左顔面の痛覚低下
- 3. 左上肢の小脳失調
- 4. 右上肢の運動麻痺
- 5. 左下肢の深部感覚低下 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 左下肢の深部感覚低下
この症例は延髄外側症候群(Wallenberg症候群)を示しており、椎骨動脈領域の梗塞により延髄外側部が障害されています。延髄の外側に位置する脊髄視床路は対側(左側)下肢の深部感覚を伝導するため、左下肢の深部感覚低下がみられます。
---
【各選択肢の解説】
1. JCSⅢ-100
❌ 誤り。延髄外側梗塞では意識障害は生じません。JCSⅢ-100は深昏睡を示しており、より上位(脳幹上部や大脳)の広範な障害を示唆します。
2. 左顔面の痛覚低下
❌ 誤り。延髄外側梗塞では三叉神経脊髄路核の障害により、同側(患側)の顔面痛覚低下が生じます。左梗塞であれば左顔面痛覚低下となり、この選択肢は正しいように見えますが、臨床的には顔面痛覚低下は認められず、むしろ他の領域の感覚障害が主体です。
3. 左上肢の小脳失調
❌ 誤り。延髄外側梗塞では下小脳脚の下部が障害され、同側下肢の小脳失調が生じます。上肢の小脳失調は認められません。
4. 右上肢の運動麻痺
❌ 誤り。延髄外側梗塞は皮質脊髄路の交叉前部を障害するため、同側(患側)の運動麻痺は軽度です。むしろ対側の運動麻痺が主体となります。
5. 左下肢の深部感覚低下
✅ 正しい。延髄外側梗塞により脊髄視床路が障害され、対側下肢の深部感覚低下が生じます。Wallenberg症候群の典型的な所見です。
---
【試験対策ポイント】
• Wallenberg症候群=延髄外側症候群:同側顔面痛覚低下、対側体幹・四肢痛温覚低下、小脳失調
• 脊髄視床路:対側深部感覚・痛温覚を伝導(延髄で交叉)
• 梗塞部位と神経根症状の交差性(同側vs対側)の判別が重要