第50回 理学療法士国家試験 午後 第9問
臨床医学第50回午後
65歳の男性。4歳時に急性灰白髄炎に罹患し右下肢麻痺となった。歩行時には右膝を右手で押さえながら歩いていた。55歳ころから腰痛を自覚するようになり、最近は歩行時の疲労が増し下肢の冷感が強くなってきたため受診した。身長160 cm、体重75 kg(30歳時と比較して20 kg増加)。筋力はMMTで、右大腿四頭筋と右前脛骨筋は段階1である。ポリオ後症候群と診断され、理学療法を行うことになった。理学療法として適切なのはどれか。\n1. 自転車エルゴメーターによる有酸素運動\n2. 右下肢装具を装着しての歩行練習\n3. 右大腿四頭筋の筋力増強運動\n4. 四つ這いでの移動練習\n5. 車椅子による移動
- 1. 自転車エルゴメーターによる有酸素運動
- 2. 右下肢装具を装着しての歩行練習 ✓
- 3. 右大腿四頭筋の筋力増強運動
- 4. 四つ這いでの移動練習
- 5. 車椅子による移動
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 右下肢装具を装着しての歩行練習
ポリオ後症候群では、過用による筋疲労と神経変性が進行するため、過度な運動は禁忌です。本患者は既に右膝を手で支えながら歩行していることから、装具により膝関節を安定化させ、エネルギー効率を改善しながら歩行機能を維持することが適切です。
---
【各選択肢の解説】
1. 自転車エルゴメーターによる有酸素運動
❌ 誤り。ポリオ後症候群では過用症候群のリスクがあり、強度な有酸素運動は麻痺筋の過疲労と神経変性を加速させるため避けるべきです。
2. 右下肢装具を装着しての歩行練習
✅ 正しい。装具により膝関節の不安定性を補正し、エネルギー消費を減らしながら歩行を維持できます。ポリオ後症候群の管理においては「過用を避ける」ことが原則であり、装具による代償が有効です。
3. 右大腿四頭筋の筋力増強運動
❌ 誤り。筋力MMT段階1の筋に対する強度な筋力運動は過用症候群を誘発します。ポリオ後症候群では低負荷・低頻度の運動が原則です。
4. 四つ這いでの移動練習
❌ 誤り。右上肢への負荷増加により全身の過疲労につながり、ポリオ後症候群の悪化を招きます。
5. 車椅子による移動
❌ 誤り。現在歩行可能であり、過度な活動制限は逆に全身機能低下を招きます。歩行機能の維持が目標です。
---
【試験対策ポイント】
• ポリオ後症候群:「過用を避ける」が治療原則(過用症候群のリスク)
• 装具の役割:関節安定化とエネルギー効率改善
• MMT段階1への強度運動は禁忌