第52回 理学療法士国家試験 午後 第9問
神経内科学第52回午後
60歳の男性。右利き。脳梗塞を発症し、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。食事時に右手でスプーンの柄を握りこんでしまい、うまくスプーン操作ができず、介助が必要になることが多いが、少しずつ食事動作が円滑にできる場面が増えてきている。頭部MRI(別冊No. 3)を別に示す。この食事動作の病態として考えられるのはどれか。
1. 観念失行
2. 視覚性失認
3. 運動維持困難
4. 右上肢運動麻痺
5. 右上肢深部覚障害
- 1. 観念失行 ✓
- 2. 視覚性失認
- 3. 運動維持困難
- 4. 右上肢運動麻痺
- 5. 右上肢深部覚障害
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 観念失行
スプーンの「握りこんでしまう」行動は、道具の適切な使用方法がわかっているにもかかわらず、実行段階で不適切な動作が生じる観念失行の特徴です。改善傾向がみられることも回復期の観念失行と一致します。
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【各選択肢の解説】
1. 観念失行
✅ 正しい。左半球損傷による観念失行では、道具の概念は保たれているが、その使用方法の運動プログラム実行に障害が生じ、スプーンを「握りこむ」などの不適切な操作が出現します。
2. 視覚性失認
❌ 誤り。視覚性失認はスプーンそのものを認識できない障害ですが、患者は「スプーン操作」という課題に取り組んでいるため、物体認識は保たれています。
3. 運動維持困難
❌ 誤り。運動維持困難は動作の持続性が失われる症状ですが、問題では握力の異常な持続(握りこみ)が主訴であり、合致しません。
4. 右上肢運動麻痺
❌ 誤り。麻痺であれば「少しずつ円滑になる」改善傾向は説明困難です。また、麻痺では動作パターン自体の異常ではなく、筋力低下が主症状となります。
5. 右上肢深部覚障害
❌ 誤り。深部覚障害では指の位置覚喪失により動作が拙劣になりますが、スプーン使用という目的的動作の破綻とは異なります。
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【試験対策ポイント】
• 観念失行=「道具の使用方法の運動プログラム実行障害」(概念は保持)
• 左半球(優位半球)損傷で出現しやすい高次脳機能障害
• 改善可能性がある点で運動麻痺と鑑別