第52回 理学療法士国家試験 午後 第15問
神経内科学第52回午後
70歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。線分抹消検査では紙面の左下方の線分抹消が行えず、車椅子駆動時には左側を壁にぶつけることがあった。理学療法として適切なのはどれか。
1. 右側から聴覚刺激を与える。
2. 右後頸部筋へ振動刺激を行う。
3. 頭部は正面を向いたまま体幹を右に回旋させる。
4. 手がかりを与えながら左側にある視覚標的を右へ移動させる。
5. 視野が右へ偏位するプリズム付眼鏡をかけてリーチ動作を行わせる。
- 1. 右側から聴覚刺激を与える。
- 2. 右後頸部筋へ振動刺激を行う。
- 3. 頭部は正面を向いたまま体幹を右に回旋させる。
- 4. 手がかりを与えながら左側にある視覚標的を右へ移動させる。
- 5. 視野が右へ偏位するプリズム付眼鏡をかけてリーチ動作を行わせる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 視野が右へ偏位するプリズム付眼鏡をかけてリーチ動作を行わせる。
線分抹消検査で左下方の線が抹消できず、車椅子駆動時に左側を壁にぶつけることから、左半側空間無視(left unilateral neglect)の診断が明確です。プリズム適応療法により視覚入力を左側へ誘導し、無視領域への注意喚起と環境適応を促進します。
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【各選択肢の解説】
1. 右側から聴覚刺激を与える。
❌ 誤り。半側空間無視に対して健側からの刺激を与えると、さらに患側への注意が低下する可能性があります。患側への注意喚起が必要です。
2. 右後頸部筋へ振動刺激を行う。
❌ 誤り。健側の頸部筋への振動刺激は、患側への注意向上に直結しません。半側空間無視に対する根拠のない対応です。
3. 頭部は正面を向いたまま体幹を右に回旋させる。
❌ 誤り。体幹を右に回旋させると患側(左側)への視覚入力がさらに減少し、無視を悪化させます。
4. 手がかりを与えながら左側にある視覚標的を右へ移動させる。
❌ 誤り。標的を右へ移動させることは、患側領域を回避することになり、無視領域への注意喚起につながりません。
5. 視野が右へ偏位するプリズム付眼鏡をかけてリーチ動作を行わせる。
✅ 正しい。プリズム眼鏡により網膜像が右へシフトし、患者の視覚認識が左側へ拡大します。リーチ動作を繰り返すことで脳の適応学習が促進され、左半側空間無視の改善につながります。
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【試験対策ポイント】
- 左半側空間無視(left unilateral neglect):右脳損傷に伴う左側環境への注意障害
- プリズム適応療法:視覚入力シフトにより患側領域への認識を回復させる実証的方法
- 半側空間無視リハビリテーション:患側への注意誘導が原則(健側刺激の増加は逆効果)