第53回 理学療法士国家試験 午前 第8問
神経内科学第53回午前
第53回 理学療法士国家試験 午前 第8問(神経内科学)の正答は 2 です。ASIA評価表では、損傷高位より下の運動が残っている(肛門随意収縮あり・下肢の筋もMMT1〜2)が、下肢のキーマッスルはすべてMMT3未満なので重症度C。
問題
68歳の男性。胸部大動脈解離(Stanford分類B型)に対して経カテーテル的ステントグラフト内挿術が行われたところ、術後に麻痺症状がみられた。ASIA評価表の結果を示す。
この患者のASIAの重症度スケールと脊髄の損傷部位との組合せで正しいのはどれか。
- 1. B ――― 脊髄の後方
- 2. C ――― 脊髄の前方 ✓
- 3. C ――― 脊髄の後方
- 4. D ――― 脊髄の前方
- 5. D ――― 脊髄の中心部
正答:2番
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この問題の正答率(PTカコモン利用者の実データ)
初回正答率 47.4%難問
57人の初回解答から算出(2026年10月21日時点)
同じ利用者の2回目以降の解答は除外しています(再挑戦を含めると正答率は実力より高く出るため)。国家試験の公式発表値ではなく、PTカコモンで実際に解かれた記録にもとづく数値です。
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解説
■ 正答:2番 — C ─── 脊髄の前方
ASIA評価表では、損傷高位より下の運動が残っている(肛門随意収縮あり・下肢の筋もMMT1〜2)が、下肢のキーマッスルはすべてMMT3未満なので重症度C。感覚は触覚が全髄節で正常(2)なのに、痛覚がT7以下で鈍麻(1)であり、触覚・深部覚を伝える後索が保たれ、痛覚を伝える前側方の脊髄視床路が障害された=脊髄の前方の障害(前脊髄動脈症候群)である。
【各選択肢の解説】
1. B ─── 脊髄の後方
❌ 誤り。Bは損傷高位より下に感覚は残るが運動機能が残っていない状態である。本例は肛門随意収縮があり下肢の筋も収縮するのでBではない。また触覚が保たれているので後索のある後方の障害でもない。正しくはC・前方である。
❌ 誤り。Bは損傷高位より下に感覚は残るが運動機能が残っていない状態である。本例は肛門随意収縮があり下肢の筋も収縮するのでBではない。また触覚が保たれているので後索のある後方の障害でもない。正しくはC・前方である。
2. C ─── 脊髄の前方
✅ 正しい。運動は残るがキーマッスルの半数以上がMMT3未満なのでC。痛覚だけが低下し触覚が保たれる解離は前脊髄動脈領域の障害の形で、大動脈の手術後に起こる脊髄虚血としても典型的である。
✅ 正しい。運動は残るがキーマッスルの半数以上がMMT3未満なのでC。痛覚だけが低下し触覚が保たれる解離は前脊髄動脈領域の障害の形で、大動脈の手術後に起こる脊髄虚血としても典型的である。
3. C ─── 脊髄の後方
❌ 誤り。重症度Cは合っているが、後索(触覚)が保たれているので後方の障害ではない。正しくは前方の障害である。後方の障害なら深部覚・触覚が低下し、運動と痛覚は保たれる。
❌ 誤り。重症度Cは合っているが、後索(触覚)が保たれているので後方の障害ではない。正しくは前方の障害である。後方の障害なら深部覚・触覚が低下し、運動と痛覚は保たれる。
4. D ─── 脊髄の前方
❌ 誤り。Dは損傷高位より下のキーマッスルの半数以上がMMT3以上の状態である。本例の下肢はMMT1〜2なのでDではない。正しくはC・前方である。
❌ 誤り。Dは損傷高位より下のキーマッスルの半数以上がMMT3以上の状態である。本例の下肢はMMT1〜2なのでDではない。正しくはC・前方である。
5. D ─── 脊髄の中心部
❌ 誤り。重症度はDではない。また中心部の障害(中心性脊髄損傷)は頸髄で起こり上肢優位の麻痺を示すが、本例の上肢はMMT5で正常である。正しくはC・前方である。
❌ 誤り。重症度はDではない。また中心部の障害(中心性脊髄損傷)は頸髄で起こり上肢優位の麻痺を示すが、本例の上肢はMMT5で正常である。正しくはC・前方である。
【試験対策ポイント】
| 重症度 | 内容 |
|---|---|
| A | 完全麻痺(S4-5の運動・感覚なし) |
| B | 感覚のみ残存(運動なし) |
| C | 運動残存・キーマッスルの半数以上がMMT3未満 |
| D | 運動残存・キーマッスルの半数以上がMMT3以上 |
| E | 正常 |
(ASIA Impairment Scale)
| 障害部位 | 障害される | 保たれる |
|---|---|---|
| 前方(前脊髄動脈) | 運動・痛覚・温度覚 | 触覚・深部覚 |
| 後方(後索) | 深部覚・触覚 | 運動・痛覚 |
| 中心部 | 上肢優位の運動 | 下肢は比較的保たれる |
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