第53回 理学療法士国家試験 午前 第9問
解剖学第53回午前
42歳の女性。感冒症状が出現して1週後から対称性に両手のしびれを自覚し、脱力が急速に近位部へと広がったため神経内科を受診した。上肢遠位部優位の脱力と四肢の深部腱反射消失を認め、Guillain-Barré症候群と診断された。検査所見として正しいのはどれか。
1. 髄液検査で細胞数が増加する。
2. 頸髄MRI検査で髄内信号異常を認める。
3. 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する。
4. 末梢神経の連続刺激でM波の振幅が漸増する。
5. 末梢神経刺激で誘発されるF波の潜時が短縮する。
- 1. 髄液検査で細胞数が増加する。
- 2. 頸髄MRI検査で髄内信号異常を認める。
- 3. 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する。 ✓
- 4. 末梢神経の連続刺激でM波の振幅が漸増する。
- 5. 末梢神経刺激で誘発されるF波の潜時が短縮する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する。
Guillain-Barré症候群(GBS)は脱髄性の末梢神経障害であり、脱髄によって神経伝導速度が低下することが特徴的な検査所見です。
---
【各選択肢の解説】
1. 髄液検査で細胞数が増加する。
❌ 誤り。GBSの髄液検査では「蛋白-細胞解離」が典型的で、蛋白が著増する一方で細胞数は正常範囲内(通常10以下)です。
2. 頸髄MRI検査で髄内信号異常を認める。
❌ 誤り。GBSはくも膜下腔や神経根の造影増強が見られることはありますが、脊髄実質の髄内信号異常は典型的ではありません。
3. 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する。
✅ 正しい。脱髄により軸索周囲のミエリン鞘が障害されるため、神経伝導速度が低下します。これはGBSの診断確定に重要です。
4. 末梢神経の連続刺激でM波の振幅が漸増する。
❌ 誤り。連続刺激による反復性m波の漸増はEaton-Lambert症候群の特徴で、GBSではみられません。
5. 末梢神経刺激で誘発されるF波の潜時が短縮する。
❌ 誤り。GBSではF波潜時は延長または消失します。潜時短縮は起こりません。
---
【試験対策ポイント】
• GBSの髄液所見:蛋白-細胞解離(蛋白↑、細胞→正常)
• 神経伝導検査:伝導速度低下、振幅低下、F波延長・消失
• 脱髄性vs軸索変性:脱髄は伝導速度低下、軸索変性は振幅低下が主体