PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第55回 理学療法士国家試験 午前 第20問

運動療法第55回午前

第55回 理学療法士国家試験 午前 第20問(運動療法)の正答は 3 です。熱傷は瘢痕拘縮を起こすため、植皮術後は抗拘縮肢位(拘縮を起こす方向と反対の肢位)で保持します。

問題
85歳の女性。自宅仏壇のろうそくの火が右袖に引火し、右前腕から前胸部および顔面にⅢ度5%とⅡ度15%の熱傷および気道熱傷を受傷した。受傷翌日に前胸部から右前腕前面にかけて植皮術を実施した。術後早期から開始する理学療法として正しいのはどれか。
  1. 1. squeezingによる排痰を実施する。
  2. 2. 前腕は最大回内位に保持する。
  3. 3. 肩関節は外転位に保持する。
  4. 4. 筋力増強運動は禁止する。
  5. 5. 起立歩行は禁止する。

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 肩関節は外転位に保持する。

熱傷は瘢痕拘縮を起こすため、植皮術後は抗拘縮肢位(拘縮を起こす方向と反対の肢位)で保持します。前胸部〜右前腕前面の熱傷では、腋窩・上肢前面の瘢痕が内転・屈曲拘縮を招くため、肩関節を外転位に保持して拘縮を予防します。


【各選択肢の解説】

1. squeezingによる排痰を実施する。
❌ 誤り。気道熱傷はあるが、植皮部(前胸部)への用手的圧迫を伴うsqueezingは植皮の生着を妨げるおそれがあり、術後早期には適しません。
2. 前腕は最大回内位に保持する。
❌ 誤り。前腕前面の熱傷では屈曲・回内方向に拘縮しやすいので、抗拘縮として中間位〜伸展・回外方向に保持すべきで、最大回内位は不適切です。
3. 肩関節は外転位に保持する。
✅ 正しい。腋窩・前胸部の瘢痕は内転拘縮を招くため、肩を外転位に保持して拘縮を予防する抗拘縮肢位です。
4. 筋力増強運動は禁止する。
❌ 誤り。植皮部の安静に配慮しつつ、拘縮予防のための運動は早期から行う。一律禁止は不適切です。
5. 起立歩行は禁止する。
❌ 誤り。上肢・体幹の熱傷であり下肢機能は保たれるため、早期離床・起立歩行はむしろ推奨されます。

【試験対策ポイント】

熱傷リハの要は抗拘縮肢位(good position)。瘢痕は屈曲・内転方向に拘縮するので逆方向に保持:頸部=伸展、腋窩=外転位、肘=伸展、手=MP屈曲・IP伸展・母指外転、股=伸展・外転。植皮術後は生着のため植皮部の安静(数日)が必要だが、それ以外の関節は早期から拘縮予防運動・離床を行うのが原則です。

✍️ この解説の作成・点検

ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、理学療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

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