第58回 理学療法士国家試験 午前 第15問
神経疾患理学療法第58回午前
67歳の男性。Parkinson病。発症後5年経過。Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅢ。四肢に中等度の筋強剛を認めるが、筋力や関節可動域に明らかな問題はない。歩行場面では、開始後しばらくして小刻み歩行で小走りとなり、会話しながらだとそれが顕著となる。腰掛けるために椅子に近づくと、すくみ足がみられる。この患者の歩行障害への対応で適切なのはどれか。
1. 狭い場所を歩く。
2. 直線上を継ぎ足で歩く。
3. 長下肢装具を用いて歩く。
4. 認知課題を追加しながら歩く。
5. リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
- 1. 狭い場所を歩く。
- 2. 直線上を継ぎ足で歩く。
- 3. 長下肢装具を用いて歩く。
- 4. 認知課題を追加しながら歩く。
- 5. リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
本患者はParkinson病に伴う小刻み歩行、歩行加速(festination)、すくみ足を呈しており、これらは大脳基底核の機能障害による歩行制御異常です。聴覚刺激によるリズム提供は、小脳を経由した歩行リズム形成を支援し、Parkinson病の歩行障害に対して最も有効な対応です。
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【各選択肢の解説】
1. 狭い場所を歩く。
❌ 誤り。狭い場所は視覚情報を制限し、むしろすくみ足を悪化させます。Parkinson病の患者は環境的制約によって歩行障害が増悪する傾向があります。
2. 直線上を継ぎ足で歩く。
❌ 誤り。継ぎ足歩行は通常の歩行パターンをさらに制限し、小刻み歩行や加速を助長します。むしろ大股で歩くことが推奨されます。
3. 長下肢装具を用いて歩く。
❌ 誤り。筋力や関節可動域に明らかな問題がないため、装具の適応はありません。Parkinson病の歩行障害は筋骨格系の問題ではなく神経学的問題です。
4. 認知課題を追加しながら歩く。
❌ 誤り。患者の病歴「会話しながらだと小走りが顕著となる」から、認知課題併用は歩行をさらに悪化させることが明らかです。注意リソースの分散により加速が増悪します。
5. リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
✅ 正しい。メトロノームや音楽などの聴覚刺激は小脳を活性化し、大脳基底核機能低下を補完します。歩行リズムを外部から与えることで、小刻み歩行や加速の制御が改善され、すくみ足も軽減します。
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【試験対策ポイント】
**Parkinson病の歩行障害の特徴と対応**を整理しておくことが重要です。
- **小刻み歩行+歩行加速(festination)+すくみ足**は、大脳基底核のドーパミン不足による歩行リズム生成障害です
- **聴覚刺激によるリズム提供**は、小脳経由の歩行制御メカニズムを活用した、エビデンスに基づいた対応です
- **認知課題の追加は禁忌**:デュアルタスク状況では加速が顕著になることが国試頻出です
- 装具は筋骨格系の問題がある場合に限定されます
- 視覚情報や狭い環境はすくみ足を増悪させるため避けるべきです