第58回 理学療法士国家試験 午前 第40問
整形外科疾患理学療法第58回午前
手背に生じた慢性期の熱傷後瘢痕拘縮に対する理学療法として正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 圧迫療法
2. 寒冷療法
3. 神経筋電気刺激療法
4. コックアップ・スプリント
5. 手指屈曲の関節可動域練習
- 1. 圧迫療法 ✓
- 2. 寒冷療法
- 3. 神経筋電気刺激療法
- 4. コックアップ・スプリント
- 5. 手指屈曲の関節可動域練習 ✓
正答:1・5番
解説
# 第58回 第A040問 解説
■ 正答:1番・5番 — 圧迫療法と手指屈曲の関節可動域練習
手背の熱傷後瘢痕拘縮では、**手背側(伸側)の皮膚が瘢痕化して硬く短縮**します。手背側の瘢痕が縮むと手指は伸展位(MP関節伸展・PIP関節伸展)に引っ張られ、屈曲が制限されます。したがって拘縮予防・改善には「手指を屈曲させる」運動と、瘢痕の成熟を促す圧迫療法が有効です。
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【各選択肢の解説】
1. 圧迫療法
✅ 正しい。圧迫療法(弾性包帯・圧迫グローブなど)は肥厚性瘢痕・ケロイドの形成を抑制し、瘢痕の成熟化を促進する標準的治療です。慢性期の瘢痕拘縮管理に有効です。
2. 寒冷療法
❌ 誤り。寒冷療法は急性期の炎症・疼痛・浮腫軽減に用います。慢性期の瘢痕拘縮では組織の伸張性を低下させるため不適切です。慢性期にはむしろ温熱療法を併用して伸張性を高めます。
3. 神経筋電気刺激療法
❌ 誤り。瘢痕拘縮は神経・筋の麻痺ではなく、皮膚・軟部組織の線維化による機械的制限が原因です。神経筋電気刺激の適応ではありません。
4. コックアップ・スプリント
❌ 誤り。コックアップ・スプリントは手関節を背屈(伸展)位に保持する装具で、橈骨神経麻痺などの下垂手に用いられます。**手背熱傷では手指が伸展位に拘縮しやすい**ため、伸展を助長するこの装具は不適切です。手背熱傷では手指をMP屈曲・PIP/DIP伸展位(intrinsic plus肢位)に保持するスプリントが用いられます。
5. 手指屈曲の関節可動域練習
✅ 正しい。手背の瘢痕拘縮では手指の屈曲が制限されるため、屈曲方向の可動域練習で拘縮の進行を防ぎます。瘢痕に対する伸張刺激にもなります。
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【試験対策ポイント】
熱傷拘縮は「**どの面が瘢痕化したか**」で拘縮の方向を判断するのが鉄則です。瘢痕は縮むため、瘢痕のある面と「反対方向への運動」を練習します。
| 熱傷部位 | 瘢痕で制限される運動 | 練習すべき方向 |
|---|---|---|
| 手背(伸側) | 手指屈曲 | **屈曲**を練習 |
| 手掌(屈側) | 手指伸展 | 伸展を練習 |
| 頸部前面 | 頸部伸展 | 伸展を練習 |
| 腋窩 | 肩外転・挙上 | 外転・挙上を練習 |
なお、現在の解説は「正答1・4番」「手指伸展が必須」としていましたが、これは誤りです。手背熱傷では手指は**伸展位に拘縮**するため、屈曲練習が正しく、コックアップ・スプリント(背屈位保持)は不適切です。
- 圧迫療法は肥厚性瘢痕・ケロイドの抑制に有効(成熟化を促進)
- 慢性期は**温熱+伸張**、寒冷療法は急性期のみ