第59回 理学療法士国家試験 午後 第12問
第59回 理学療法士国家試験 午後 第12問(神経疾患理学療法)の正答は 1 です。舌の萎縮(下位運動ニューロン徴候)と腱反射亢進(上位運動ニューロン徴候)が併存し、進行性の筋萎縮と体重減少を伴うことからALS(筋萎縮性側索硬化症)と考えられます。
- 1. BFOの導入 ✓
- 2. 胃瘻造設術の施行
- 3. 気管切開術の施行
- 4. 電動車椅子の導入
- 5. 在宅酸素療法の導入
正答:1番
初回正答率 40%参考値
10人の初回解答から算出(2026年7月28日時点)。母数が少ないため参考値です
同じ利用者の2回目以降の解答は除外しています(再挑戦を含めると正答率は実力より高く出るため)。国家試験の公式発表値ではなく、PTカコモンで実際に解かれた記録にもとづく数値です。
舌の萎縮(下位運動ニューロン徴候)と腱反射亢進(上位運動ニューロン徴候)が併存し、進行性の筋萎縮と体重減少を伴うことからALS(筋萎縮性側索硬化症)と考えられます。着目するのは上肢の筋力分布で、近位筋MMT 2・遠位筋MMT 4=肩や肘で腕を持ち上げられないが手指の機能は残っている状態です。ここで適応となるのがBFO(Balanced Forearm Orthosis=バランス式前腕装具。mobile arm support、ポータブルスプリングバランサーとも呼ぶ)で、前腕を機械的に支持して重力の影響を除くことで、残っている遠位の機能を使った食事や書字などの上肢動作を再び可能にします。呼吸機能・嚥下機能は保たれているため、侵襲的な処置はまだ適応になりません。
【各選択肢の解説】
✅ 正しい。近位筋の筋力低下(MMT 2)に対して遠位筋が保たれている(MMT 4)という組み合わせが、BFOの典型的な適応です。前腕を支えることで自分で食事をとる動作などが可能になります。
❌ 誤り。問題文に「明らかな嚥下障害はない」と明記されており、現時点では適応がありません。体重減少はありますが、嚥下機能の低下が明確になってから検討します。
❌ 誤り。%肺活量95%、PaO₂ 90 Torr、PaCO₂ 40 Torrといずれも正常で、呼吸不全の徴候がありません。
❌ 誤り。下肢MMTは4で移動能力は保たれており、現時点で移動手段を置き換える段階ではありません。
❌ 誤り。動脈血ガスは正常範囲です。またALSの呼吸障害は換気不全(PaCO₂の上昇)が本態であり、酸素投与はCO₂貯留を悪化させうるため第一選択になりません。
【試験対策ポイント】
• BFO=Balanced Forearm Orthosis(バランス式前腕装具)。Brain-Computer Interfaceなどの意思伝達装置とは別物
• 適応は「近位筋の筋力低下+遠位筋の機能残存」。ALSのほか頸髄損傷・筋ジストロフィーでも上肢の食事動作を助ける目的で用いる
• ALSでは症状が出そろう前の胃瘻・気管切開は選ばない。「明らかな嚥下障害はない」「%肺活量95%」が除外の根拠になる
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