第60回 理学療法士国家試験 午前 第94問
整形外科学第60回午前
成人の熱傷で正しいのはどれか。
1. 化学損傷には洗浄は避ける。
2. 重症熱傷では蛋白質の異化は低下する。
3. 受傷後早期には創傷被覆材は使用しない。
4. Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。
5. 広範囲熱傷の壊死組織に対して早期手術は行わない。
- 1. 化学損傷には洗浄は避ける。
- 2. 重症熱傷では蛋白質の異化は低下する。
- 3. 受傷後早期には創傷被覆材は使用しない。
- 4. Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。 ✓
- 5. 広範囲熱傷の壊死組織に対して早期手術は行わない。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。
成人の熱傷では、体表面積の**Ⅱ度(全層)で20%以上またはⅢ度10%以上**の場合、初期輸液(Parkland公式:4mL × %TBSA × 体重kg、最初の24時間の半量を8時間で投与)が行われます。Ⅱ度20%はちょうど輸液の閾値となります。
---
【各選択肢の解説】
1. 化学損傷には洗浄は避ける。
❌ 誤り。化学損傷は**流水で十分に洗浄**することが初期対応の最重要ポイントです。特に強酸・強塩基は速やかに洗浄します。
2. 重症熱傷では蛋白質の異化は低下する。
❌ 誤り。重症熱傷では**ストレス反応により蛋白質異化が亢進**(筋タンパク分解)し、栄養管理が重要です。
3. 受傷後早期には創傷被覆材は使用しない。
❌ 誤り。受傷後早期から**抗菌性創傷被覆材(シルバーナノ含有など)**を使用して感染予防と湿潤環境維持を行うことが重要です。
4. Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。
✅ 正しい。体表面積の**Ⅱ度深達性以上で20%以上**(またはⅢ度10%以上)の場合、**初期輸液(Parkland公式)**が行われます。
5. 広範囲熱傷の壊死組織に対して早期手術は行わない。
❌ 誤り。広範囲熱傷では**感染予防と早期創の閉鎖が重要**なため、**早期植皮術**(自家皮膚移植)が行われます。壊死組織の早期除去が必要です。
---
【試験対策ポイント】
**成人熱傷の初期輸液基準を整理しましょう。**
| 熱傷面積 | 輸液の有無 |
|---|---|
| Ⅱ度 < 15% | 輸液なし |
| **Ⅱ度 ≥ 20%** | **輸液あり** |
| Ⅲ度 ≥ 10% | 輸液あり |
| 広範囲Ⅱ度 | 輸液あり(Parkland公式) |
**Parkland公式**:4mL × %TBSA(体表面積)× 体重(kg)を最初24時間の半量を8時間で投与。
「**20%の閾値**」は頻出です。