温熱療法はまず「どうやって熱が伝わるか」で分類される。ここが単独で出題される。
| 伝達様式 | しくみ | 代表 |
|---|---|---|
| 伝導熱 | 高温の物体が皮膚に直接触れて熱が移る | ホットパック・パラフィン浴・湯たんぽ |
| 対流熱 | 温められた流体が流動して体表に触れる | 気泡浴・渦流浴・サウナ |
| 輻射(放射)熱 | 電磁波が体表で吸収され熱になる | 赤外線 |
| 変換熱 | エネルギーが組織内で熱に変換される | 超音波・極超短波(マイクロ波)・短波 |
深達度は 超音波・極超短波(深部・数cm)> ホットパック・赤外線・パラフィン(表在)。「極超短波はホットパックより深達度が浅い」は逆。
| 項目 | 加温するとどうなるか |
|---|---|
| 血流/血液の粘性 | 血流は増加、血液粘性は低下(「粘性が増加」は誤り) |
| 代謝率 | 組織温1℃上昇で約13%(約1.13倍)増加。2〜3倍ではない |
| 神経伝導速度 | 組織温1℃上昇で約2 m/sec 増加。0.2 m/secは桁違い |
| 結合組織 | 伸張性が増す(拘縮へのストレッチ前に有効) |
| 反射性血管拡張 | ある部位を加温すると離れた非加温部位の血管が拡張する現象。加温部位そのものの循環増加を指す語ではない |
| 神経線維 | 有髄のAδ線維のほうが無髄のC線維より温度変化の影響を受けやすい |
| 手技 | 選ばれる場面 |
|---|---|
| パラフィン浴 | 手指・足趾など複雑な凹凸。溶けた蝋が密着して均一に加温し保湿もできる。関節リウマチの手指変形での第一選択 |
| ホットパック | 広く平らな部位。変形した手指の細部には密着しない |
| 赤外線・遠赤外線 | 平面的な照射。凹凸のある手指全体の均一加温には不向き |
| 渦流浴・気泡浴 | 温熱+水中での自動運動・浮力を同時に使える。骨端線への影響がなく小児のギプス除去後の拘縮・筋力低下に安全 |
| 極超短波 | 深部加温。金属・水分・汗に熱が集中しやすい |
| 交代浴 | 亜急性期以降の循環改善。急性期に使うと出血・腫脹が悪化 |
温熱療法の禁忌=急性炎症・出血傾向・悪性腫瘍・感覚(知覚)障害部位・循環障害肢(閉塞性動脈硬化症など熱放散が悪く熱傷しやすい)・体内金属やペースメーカー(極超短波)・小児の骨端線(深部温熱)・多発性硬化症(Uhthoff現象)。
極超短波で「悪性新生物に治療効果がある」「金属プレート挿入部へ照射可能」「閉塞性動脈硬化症の患肢に効果的」はいずれも誤り=すべて禁忌側。正しいのは「汗・水分・金属への蓄熱で熱傷を起こしうる」。
水中では浮力が働くため下肢にかかる荷重が減る。水位が高い(深く浸かる)ほど免荷は大きく、免荷率はおおむね水に浸かった体積の割合に一致する。荷重制限のある術後早期や疼痛の強い例の歩行練習に使う。
| 水位 | 一般的な免荷の目安 |
|---|---|
| 頸部(第7頸椎) | 約80〜90%免荷(荷重は体重の1〜2割) |
| 剣状突起・胸部中央 | 約60〜70%免荷 |
| 臍・上前腸骨棘 | 約40〜50%免荷 |
| 大腿中部 | 約30〜40%免荷 |
| 膝 | 約10〜20%免荷 |
基準は割れていない。上の表がそのまま使える。体重の約50%が免荷される水位=臍・上前腸骨棘(腰部)レベルと覚える。腋窩・胸部まで浸かれば60%以上、大腿・膝までなら40%以下で、どちらも50%にはならない。
国試では立位の人体図が5枚並び「体重の約◯%が免荷されるのはどれか」と問われる。図の番号は深さ順に並んでいないので、次の手順で解く。
迷ったときの目印は臍(へそ)1点でよい。水面が臍を横切る図=約50%免荷。加えて「水位が高いほど免荷が大きい/浅いほど荷重が増える」という関係は常に成り立つので、%の絶対値があいまいでも並べ替えだけで残りの肢は消せる。
| パラメータ | 正しい設定と理由 |
|---|---|
| 周波数 | 1MHz=深部(3〜5cm)/3MHz=浅部(1〜2cm)。周波数が高いほど浅い。腰部の筋・筋膜なら1MHz。10MHzは治療用に使わない |
| 強度 | 0.5〜2.5 W/cm2(温熱目的は1.0〜2.0程度)。3.0や10 W/cm2は過大で熱傷・組織損傷 |
| 照射時間率 | 100%(連続)=温熱効果/時間率を下げたパルス(20〜50%)=非温熱効果。急性〜亜急性には間欠照射。軟部組織の伸張性増大は温熱目的なので連続(100%)に近い高い照射率を使う=「10〜20%」では温熱がほとんど得られず不適 |
| BNR(ビーム不均等率) | 低いほど均一で安全。高いとホットスポットができるので導子を速めに動かす。固定法で高BNR導子を使うのは危険 |
| 導子の大きさ | 有効照射面積(ERA)が小さい導子ほどビームは拡散する |
| 治療面積 | 1回に当てる範囲は有効照射面積(ERA)の2〜3倍以内。広げすぎるとエネルギー密度が下がり狙った効果が出ない |
| 導子の移動速度 | 1〜数cm/秒でゆっくり動かす(移動法)。止めたり速すぎたりすると定在波・ホットスポットや効果不足を招く |
| 治療時間 | 1部位あたり3〜5分程度が目安 |
| 接触 | 空気は超音波をほとんど伝えない。カップリング剤を介して皮膚に密着させ移動法で当てる。5cmも10cmも離さない。水中法でも伝達され温熱効果は得られる |
| 疼痛の訴え | 過剰な熱・強度のサイン。強度を下げる |
| 障害 | 痛む部位 |
|---|---|
| ジャンパー膝(膝蓋腱炎) | 膝蓋骨下極〜膝蓋腱 |
| Osgood-Schlatter病 | 脛骨粗面 |
| 鵞足炎 | 脛骨近位の内側 |
| シンスプリント | 下腿遠位1/3の脛骨内側後縁 |
| 足関節内反捻挫 | 前距腓靱帯(外果の前下方) |
| 冷やすと低下するもの | 冷やすと上昇するもの |
|---|---|
| 組織温・代謝・組織の酸素需要量・神経伝導速度・筋紡錘の感受性・毛細血管透過性・筋緊張(痙縮)・浮腫 | 疼痛(痛覚)閾値・血液粘稠度・滑液の粘性 |
「冷やすと下がる」がほぼ全部で、上がるのは疼痛閾値・血液粘稠度・滑液粘性の3つだけ。酸素需要量が減ることで低酸素による二次的損傷を抑えられる、が急性外傷で冷やす理屈。
「痛覚閾値の低下」「神経伝導速度の増加」「毛細血管透過性の亢進」「血液粘稠度の低下」「滑液粘性の低下」はすべて逆。また痙縮緩和は筋紡錘感受性・γ運動ニューロンの抑制を介するもので、「α運動ニューロン活動の抑制」を寒冷の主作用とはしない。