腫瘍=細胞が自律的・過剰に増殖し続ける病変。生体の制御を離れる点が過形成・炎症性の腫れと異なる。良悪を分ける本質は浸潤と転移の有無。
| 項目 | 良性腫瘍 | 悪性腫瘍(がん) |
|---|---|---|
| 発育速度 | 遅い(緩徐に増大) | 速い |
| 発育様式 | 膨張性(圧排性) | 浸潤性・破壊性 |
| 被膜・境界 | 被膜あり・境界明瞭 | 被膜なし・境界不明瞭 |
| 異型性 | 弱い | 強い |
| 分化度 | 高い(母組織に似る) | 低い(未分化) |
| 核分裂像 | 少ない | 多い |
| 出血・壊死 | まれ | 多い |
| 転移 | しない | する |
| 再発 | 少ない | 多い |
悪性で出血・壊死が多いのは、増殖速度に血管新生が追いつかず腫瘍内部が虚血に陥るため。
「良性と比較した悪性の特徴はどれか」型の正答は異型性が強い/浸潤性に発育する/分化度が低い/核分裂が多い/クロマチンが増加するのいずれか。良性側の語(被膜を有する・膨張性発育・境界明瞭・発育速度が遅い・出血壊死が少ない)が並んでいたら全部消してよい。
良性=安全ではない。頭蓋内など逃げ場のない部位の良性腫瘍は、転移しなくても圧迫で生命に関わる。
異型性=正常細胞の形態からの逸脱。分裂が盛んでDNA量が増えるため、変化はとくに核に出る。
| 所見 | 悪性腫瘍細胞ではどうなるか |
|---|---|
| 核/細胞質比(N/C比) | 核腫大により大きくなる |
| クロマチン(染色質) | DNA増加を反映して増量・濃染 |
| 核小体 | 明瞭・腫大 |
| 核分裂像 | 増加(分裂頻度が高い) |
| 染色体異常 | 異数性・転座などが多い |
| 分化の程度 | 低い。未分化型ほど悪性度が高い |
| 細胞の極性 | 乱れる(配列が不規則) |
| 増殖速度 | 速い |
「核/細胞質比が小さい」は誤り → 正しくは悪性細胞では核が大きくなるためN/C比は大きく(高く)なる。N/C比が小さいのは正常細胞・良性腫瘍のほう。
「染色体異常は少ない」「核分裂の頻度は少ない」も誤り → どちらも多い。悪性は「速い・多い・大きい・分化は低い」で語尾がそろう。
上皮由来の悪性腫瘍=癌腫、骨・軟骨・筋・脂肪・血管など非上皮性(間葉系)由来の悪性腫瘍=肉腫。語尾が「〜肉腫(sarcoma)」なら悪性。
| 癌腫(上皮性悪性腫瘍) | 肉腫(非上皮性悪性腫瘍) | |
|---|---|---|
| 由来 | 上皮(皮膚・粘膜・腺) | 骨・軟骨・筋・脂肪・線維・血管 |
| 細胞どうしの結合 | デスモソーム等で相互に結合し胞巣をつくる | 結合が乏しくばらばらに増える |
| 間質との関係 | 癌胞巣と間質が明瞭に区別される | 細胞間にびまん性に間質成分がみられる |
| 代表 | 扁平上皮癌・腺癌 | 骨肉腫・軟骨肉腫・脂肪肉腫 |
| 組織所見 | 対応する腫瘍 |
|---|---|
| 細胞が相互に結合し胞巣をつくる・角化真珠 | 扁平上皮癌 |
| 粘液を産生する | 腺癌 |
| 複数の胚葉成分を含む | 奇形腫(テラトーマ) |
| 神経組織に由来する | 神経膠腫など |
| 細胞間に間質成分がびまん性にみられる | 肉腫(結合組織由来) |
扁平上皮癌の特徴を選ぶなら細胞は相互に結合している。粘液産生・複数胚葉成分・細胞間の間質成分はどれも扁平上皮癌の説明ではない。
骨転移を高頻度に生じる原発巣=肺・乳・前立腺・腎・甲状腺(肺乳前腎甲)。最も生じやすいのは前立腺癌で、骨盤・腰椎へ転移し造骨性(骨形成性)転移を示す。PSA高値・疼痛・病的骨折を伴う。乳癌・肺癌は溶骨性が多い。
| 原発巣 | 転移の主体 |
|---|---|
| 前立腺癌 | 骨転移(造骨性)が最多クラス |
| 胃癌 | リンパ行性転移・腹膜播種 |
| 肝細胞癌 | 門脈を介した肝内転移・肺転移 |
| 大腸癌 | 肝転移が最多(門脈経由)→ 次いで肺転移 |
| 膀胱癌 | リンパ節転移・肺転移 |
骨転移例は病的骨折リスクから荷重・運動の制限が課題になる。
| 因子 | 意味 | 評価する内容 |
|---|---|---|
| T | Tumor(原発腫瘍) | 原発巣の大きさ・深達度・進展の程度 |
| N | Node(リンパ節) | 所属リンパ節転移の有無と広がり |
| M | Metastasis(転移) | 遠隔転移の有無 |
3因子を組み合わせてステージ0〜Ⅳを決める。
「TNM分類は臓器に特異的な分類である」は誤り → 正しくは多くの臓器のがんに共通して使える国際的・汎用的な病期分類。がんの病期分類であること・腫瘍の大きさ/リンパ行性転移/遠隔転移を含むことはいずれも正しい記述。
確定診断は生検による病理組織診断が大原則。悪性骨軟部腫瘍を疑う場合も同じ。
| 検査 | 役割(=確定診断はできない) |
|---|---|
| 生検 | 組織を採取して悪性度・組織型を確定。骨軟部腫瘍では播種を避けるため専門施設での計画的生検 |
| PET-CT | 全身の病変検索・転移評価 |
| MRI・CT | 局在と進展範囲の評価 |
| 超音波 | 軟部腫瘍の性状評価 |
| 血液検査 | 全身状態・腫瘍マーカーの補助 |
| 骨密度測定 | 骨粗鬆症の評価法。腫瘍診断には用いない |
疾病の外因は物理的・化学的・生物学的要因に大別。炎症の原因分類ではこれに免疫学的要因(アレルギー・自己免疫)が加わる。出題は振り分けを問うだけ。
| 分類 | 該当するもの |
|---|---|
| 物理的要因 =エネルギーによる障害 | 熱(高温・低温)・圧力(外力・外傷・気圧)・電気・放射線・紫外線(日光)・騒音 |
| 化学的要因 =化学物質による障害 | 薬物・毒物・酸・アルカリ・重金属(鉛・水銀)・一酸化炭素・フグ毒・アルコール・喫煙・アスベスト |
| 生物学的要因 | 細菌(肺炎球菌など)・ウイルス・真菌・寄生虫 |
「放射線 ── 化学的原因」の組合せは誤り → 放射線は物理的原因。外傷=物理的、日光=物理的、寄生虫=生物学的、アルカリ=化学的はいずれも正しい組合せ。
引っかかる3つ。フグ毒は「毒」でも実体はテトロドトキシンという化学物質=化学的要因。アスベストは鉱物繊維だが化学的性質で障害を起こす=化学的要因(中皮腫・肺がんの原因)。騒音は音響エネルギー=物理的要因(騒音性難聴)。
| 時期 | 放射線療法の副作用 |
|---|---|
| 急性期 (照射中〜数週) | 放射線宿酔(倦怠感・嘔気)・皮膚炎・脱毛・粘膜炎・骨髄抑制・脳浮腫・結膜炎 |
| 晩期 (数か月〜数年) | 骨壊死(顎骨壊死など)・線維化・二次がん・白内障・脊髄症 |
晩期障害を選ぶなら壊死・線維化・二次がん。脱毛・宿酔・結膜炎・脳浮腫は照射中〜直後の急性期反応で多くは可逆性。
| 項目 | 正しい姿 |
|---|---|
| 好発部位 | 乳房の外側上部(外上部・C領域)=乳腺組織が最も多い区域。約半数がここに生じる |
| 好発年齢 | 40〜60歳代(ピークは40代後半と60代前後)。20歳代は稀 |
| 5年生存率 | 90%以上(全病期)。「40%前後」は低すぎる |
| 発症率の国際比較 | 日本は欧米より低い(増加傾向にあるが3倍ではない) |
| 疼痛 | 初期は無痛性のしこりが典型。月経前に痛むのは乳腺症で乳癌ではない |
| 転移 | 腋窩リンパ節へのリンパ行性転移が多い。骨転移は溶骨性 |
乳癌の設問は「外側上部」だけ覚えれば正答が立つ。残りの肢は「20歳代」「5年生存率40%」「欧米の3倍」「月経前に痛む」と、いずれも数字を悪い方へ誇張するか、乳腺症の症状を混ぜてくる。
| 食道癌(日本) | 胃癌 | 大腸癌 | |
|---|---|---|---|
| 組織型 | 扁平上皮癌が約90% | 腺癌が大多数 | 腺癌が大多数 |
| 好発部位 | 胸部中部食道(下部より多い) | 幽門前庭部〜胃体部(噴門部ではない) | S状結腸・直腸で約7割 |
| 性差・年齢 | 中高年男性に多い(男女比おおむね5:1) | 男性にやや多い | 男性にやや多い。罹患数は全がん中で最多クラス(胆管癌よりはるかに多い) |
| 危険因子 | 飲酒・喫煙。少量飲酒で顔が赤くなる体質は高リスク | ピロリ菌・塩分 | 高脂肪・低繊維・赤身肉・加工肉、肥満、潰瘍性大腸炎、家族性大腸腺腫症 |
| 転移 | 粘膜下リンパ網が豊富で早期からリンパ行性転移 | リンパ行性転移・腹膜播種 | 肝転移が最多(門脈経由)。肺転移はその次 |
| 治療 | 手術・化学放射線療法 | 放射線感受性は低い → 手術・化学療法が中心 | 手術が中心。進行例は化学療法を併用 |
| 検診 | — | 内視鏡・X線 | 便潜血検査が一次スクリーニング。陽性なら大腸内視鏡へ |
| 動向 | — | 除菌と食生活変化で減少傾向。悪性腫瘍死因の第1位でもない | 食生活の欧米化で増加傾向 |
消化器のがんは組織型がほぼ腺癌。食道癌(扁平上皮癌)が例外と覚える。欧米で食道腺癌が多いのはBarrett食道由来で、日本の一般像ではない。
大腸癌で「肺転移が最も多い」は誤り → 正しくは肝転移が最多。消化管の静脈血は門脈から肝へ集まるため、胃・大腸のがんはまず肝に転移する。例外は直腸下部で、下直腸静脈が門脈を経ず下大静脈へ流れるため肺転移が起こりやすい。
| 良性 | 悪性 |
|---|---|
| 骨軟骨腫・内軟骨腫・骨巨細胞腫・脂肪腫・海綿状血管腫 | 骨肉腫・軟骨肉腫・Ewing肉腫・脊索腫・多発性骨髄腫・血管内皮腫 |
「良性はどれか」の答えは海綿状血管腫(拡張した血管腔からなる血管腫)。脊索腫は脊索の遺残から発生し仙骨・斜台に好発する悪性、多発性骨髄腫は形質細胞が腫瘍化した造血器の悪性で、名前に「肉腫」がつかなくても悪性である点に注意。
| 項目 | 骨肉腫の特徴 |
|---|---|
| 好発年齢 | 10〜20歳代の若年者(成長期)。壮年期ではない |
| 好発部位 | 膝関節周囲=大腿骨遠位・脛骨近位。大腿骨近位ではない |
| 症状 | 初期から運動時痛・夜間痛・腫脹。痛みが乏しいわけではない |
| 血液検査 | 骨形成亢進により血中ALP(アルカリフォスファターゼ)は上昇 |
| 転移 | 血行性の肺転移が多く予後を左右する |
| X線像 | Codman三角・sunburst(spicula)像 |
骨肉腫は「若年・膝周囲・ALP上昇・肺転移」の4点セット。骨転移しやすい原発巣(肺乳前腎甲)とは別の話なので混同しない。
| 腫瘍 | 良悪・悪性度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 膠芽腫(神経膠芽腫) | 悪性・WHO grade Ⅳで最悪性 | 急速に浸潤・進展し予後きわめて不良 |
| 髄膜腫 | 多くは良性(grade Ⅰ) | 頻度が高く緩徐に発育 |
| 下垂体腺腫 | 良性 | ホルモン分泌異常・両耳側半盲 |
| 神経鞘腫 | 良性 | 聴神経鞘腫が代表。難聴・耳鳴・平衡障害 |
| 頭蓋咽頭腫 | 良性 | トルコ鞍上部。小児に多く視野障害・内分泌障害 |
| 髄芽腫・転移性脳腫瘍 | 悪性 | 髄芽腫は小児に多い |
「悪性はどれか」「悪性度が最も高いのはどれか」はいずれも膠芽腫。神経膠腫(グリオーマ)系だけが悪性で、他の選択肢(海綿状血管腫が混じることもある)は良性と割り切ってよい。
同じ「転移」でも精神分析では腫瘍の転移と別物。転移=患者が過去の重要人物(親など)に向けていた感情を治療者に向ける現象。
| 用語 | 方向 | 内容 |
|---|---|---|
| 陽性転移 | 患者 → 治療者 | 好意・信頼・愛情などの肯定的感情 |
| 陰性転移 | 患者 → 治療者 | 敵意・反発・嫌悪・軽蔑などの否定的感情 |
| 逆転移 | 治療者 → 患者 | 治療者側に生じる無意識的感情反応(過剰な親近感・怒りなど。肯定/否定どちらもある) |
| 行動化 | — | 転移感情が言語化されず行動として表出されること |
「陽性転移はどれか」の答えは患者が医療者に好意を寄せる。医療者が患者に親近感や怒りを抱くのは逆転移、患者が医療者を嫌悪・軽蔑するのは陰性転移。主語がどちらかを先に確認する。正しい記述として使えるのは転移は逆転移を誘発する・転移は行動化の原因となる・転移の解釈は患者の葛藤を解消する手段となるの3つ。
「心理治療の目的(目標)は陽性転移の出現である」は誤り → 目的は転移を出現させること自体ではなく、転移を分析・解釈して患者の無意識的葛藤への洞察を促すこと。
ほかに誤りの定番3つ。「陰性転移の解釈は避ける」→ 陰性転移も重要な解釈の対象で避けない。「逆転移は治療の阻害因子となる」→ 阻害にもなり得るが現在は患者理解の手がかりとして治療に活用され、一概に阻害因子とはいえない。「逆転移は治療者の意識的反応である」→ 無意識的な反応。
語尾が「〜腫」でも炎症や血管奇形のことがある。麦粒腫は眼瞼の化膿性炎症で腫瘍ではない。組合せ問題で狙われる眼疾患は次のとおり。
| 疾患 | 正しい病態 | ありがちな誤りの組合せ |
|---|---|---|
| 白内障 | 水晶体の混濁 | 硝子体の混濁 |
| 麦粒腫 | 眼瞼の化膿性炎症 | 眼瞼の悪性腫瘍 |
| Behçet病 | ぶどう膜の炎症(再発性、とくに後ぶどう膜炎) | —(これが正しい組合せ) |
| 流行性角結膜炎 | アデノウイルスによる角膜・結膜の急性炎症 | 色素上皮の剥離 |
| 緑内障 | 眼圧の上昇により視神経が障害される | 眼圧の低下 |