粗大運動は頭尾方向(頭→体幹→下肢)に、そして抗重力の程度が低い姿勢から高い姿勢へ順に獲得される。月齢の目安は個人差があるが、国試は月齢と運動の対応をそのまま問う。
| 月齢の目安 | 獲得する粗大運動 |
|---|---|
| 新生児〜2か月 | 腹臥位で顔を横に向ける。四肢は屈曲優位 |
| 3〜4か月 | 定頸(腹臥位で頭を持ち上げる)・正中位指向 |
| 5〜6か月 | 寝返り |
| 6〜7か月 | 支えなしの座位が始まる(7〜8か月で独座が安定) |
| 7〜8か月 | 腹臥位で前腕支持から手支持へ・ずり這い |
| 8〜9か月 | 四つ這い(はいはい) |
| 8〜10か月 | つかまって立ち上がる(つかまり立ち) |
| 10〜11か月 | つたい歩き。高這い(膝を伸ばした四つ這い)もこの頃以降 |
| 12〜15か月 | 独歩 |
| 1歳6か月頃 | 走る・階段を這って上る |
| 1歳半〜2歳 | ボールを前にける |
アンカーは3つ。定頸3〜4か月・独座7か月前後・独歩1歳前後。これを軸に前後を推定すれば、細かい月齢を丸暗記しなくても順序問題は解ける。
ボールを前にける=1歳6か月では、まだできない。「1歳6か月までに獲得されるのはどれか」型では走る・階段を這って上る・積み木を重ねるは○だが、ボールをけるは×(1歳半〜2歳)。走ることとセットで1歳半と覚えると引っかかる。
図に示された姿勢を古い順に並べる形式が繰り返し出る。図が読めなくても、次の原則で並べれば正答に届く。
| 図に描かれた姿勢 | 該当する時期 |
|---|---|
| 腹臥位で頭を上げる(定頸) | 3〜4か月=最早期 |
| 背臥位で物へ手を伸ばす(随意的なリーチ) | 4〜5か月。ただし背臥位で頭を横に向け、顔側の上下肢が伸びている図はリーチではなくATNR(出生時〜。後述「図に立位がないとき」で扱う) |
| 腋窩を支えられた立位(他動的に立たせた姿勢で、自分では保持できない) | 5〜6か月 |
| 支えのない座位 | 6〜8か月 |
| 四つ這い位 | 8〜9か月 |
| つかまり立ち(自分で物につかまって立ち上がる) | 8〜10か月 |
| 支持なしの独り立ち | 11〜12か月 |
臥位以外を先頭に置いた選択肢は、まず消してよい。座位や立位を最初に置く並びは発達の方向と逆で誤り。逆に、臥位を最後に置く並びも同じ理由で誤り。
立位は1つの図でなく3段階で出る。①腋窩を支えられた立位(5〜6か月。他動的に立たせた姿勢で、自分では保持できない)→②つかまり立ち(8〜10か月。自分で物につかまって立ち上がる)→③支持なしの独り立ち(11〜12か月)。図の並べ替えで立位が2つ出てきたら、支えられているほうが必ず先。ただし図に立位が1枚も描かれていないとき(背臥位・抱え上げ・反応をみる肢位だけのとき)は、このものさしは使えない——後述「図に立位がないとき」で並べる。
寝た姿勢から立つまでのやり方そのものが年齢で変わる。図の並べ替え・月齢当てで出る。
| 年齢の目安 | 立ち上がり方 |
|---|---|
| 1歳半〜2歳ごろ | いったん腹臥位になり、四つ這い→高這いを経て立つ(完全な回旋を伴う) |
| 3〜4歳ごろ | 体幹を部分的に回旋させ、片手を床につきながら立つ |
| 5歳(60か月)ごろ | 回旋を伴わない対称的な立ち上がり=背臥位から体幹を屈曲し、両手を床につかずにしゃがみ位を経てまっすぐ立つ。成人と同じ型が完成する |
読み方は表と同じ向き=発達につれて回旋と手支持は「減って消えていく」。図に腹臥位・四つ這い・高這いを経る完全な回旋があれば2歳前後、部分的な回旋や片手の床支持が残っていれば3〜4歳、回旋も床への手支持もなく、体幹を正中で屈曲したまましゃがみ位を経てまっすぐ立つ対称的な型なら5歳(60か月)。8か月ではそもそも自力で立ち上がれない(つかまり立ちの段階)ので、選択肢に月齢が並んだら「回旋・手支持がどれだけ残っているか」で読む。
向きを逆に覚えると全滅する。回旋と手支持は「幼いほど多い」。左右対称で床に手をつかない立ち上がりを見て「まだ未熟」と読むのは誤り——それが成人と同じ型=5歳(60か月)で完成する最も成熟した立ち上がり。
並べ替えの図が、立位でも座位でもなく反射・反応をみる肢位のことがある。背臥位・抱え上げ・傾けた姿勢しか描かれていない図には、冒頭の「臥位→座位→立位」も「立位3段階」も当てはまらない。使えるのは臥位が最も早いことだけで、残りはその反射・反応が出現する月齢で並べる。
| 反射・反応 | 肢位・図での見え方 | 出現/消失 |
|---|---|---|
| 非対称性緊張性頸反射〈ATNR〉 | 背臥位で頭を横に向けると、顔を向けた側の上下肢が伸展し(手も開く)、後頭側の上下肢は屈曲する(手は握る) | 出生時からみられ、4〜6か月で消失=この3つで最も早い |
| Landau反応 | 腹臥位懸垂(腹部を支えて水平に抱え上げる)で頭部を挙上し、続いて体幹・股関節が伸展する。四肢はまだ垂れ下がっていることが多い | 3〜4か月ごろから段階的に出現(6か月ごろ完成)・1〜2歳で消失 |
| 前方パラシュート反応(保護伸展反応) | 体幹・骨盤を持って頭から前下方へ傾けると、両上肢を伸ばし手を開いて床につく | 6〜7か月ごろ出現し、消えずに生涯残る=この3つで最も遅い |
並べる順はATNR(出生時)→ Landau(3〜4か月)→ 前方パラシュート(6〜7か月)。パラシュート(保護伸展)反応は方向で時期がずれる——下方(おおむね4か月ごろ。文献により4〜6か月と幅があるので、下方の月齢を単独で断定しない)→ 前方6〜7か月 → 側方7〜8か月 → 後方9〜10か月。原始反射と違って消失せず生涯残るのが特徴。
下方と前方は「誘発のしかた」で見分ける——下方は児を縦(立位の向き)に保ったまま床へ下ろすと下肢が伸展・外転する反応。前方は体幹・骨盤を持って頭から前下方へ傾けると両上肢を伸ばして手を開き床につく反応。図で手が床についていれば前方(6〜7か月)と読む。
この3つが並ぶ図に「立位」は1枚もない。抱え上げられた姿勢を「支えられた立位」と読み替えて立位3段階のものさしを当てるとまず外す。抱え上げ・傾けた肢位が出てきたら、姿勢のカテゴリではなく反射・反応の名前と出現月齢で並べる。
手の機能は近位から遠位へ・手掌全体から指先へ洗練される。把握のかたちには段階ごとに名前がついており、そのまま出題される。
| 時期 | 把握のかたち | 内容 |
|---|---|---|
| 新生児〜 | 手掌把握反射 | 手掌に触れると握る。随意的でない |
| 3〜4か月 | 正中位指向 | 身体の正中で両手を合わせる |
| 4〜5か月 | リーチ・手掌握り | 物へ手を伸ばし、手掌全体で握る |
| 6〜7か月 | レーキグリップ | 5本指全体で熊手のようにかき寄せる |
| 9〜10か月 | スクープグリップ | 母指と他の指ではさむ。まだ精密でない |
| 12〜13か月 | ピンセットグリップ | 母指と示指の精密なつまみ。通過率75% |
| 14〜15か月 | 同上 | 通過率90%に達する |
「母指と示指によるつまみは9〜10か月」は誤り。9〜10か月はスクープグリップの段階で、母指と示指の精密なつまみが75%通過するのは12〜13か月。3〜4か月はまだ反射的な握りにとどまる。
「最も早く可能になるのはどれか」型では、手掌握り(新生児期の把握反射に始まる)が独座・つかまり立ち・高這い・バイバイのいずれよりも早い。
発達の遅れを1領域・1時点だけで判断しない。複数領域の通過状況と経過、養育環境を合わせて評価する。
| JDDST-R(デンバー式) | 遠城寺式 | |
|---|---|---|
| 領域数 | 4領域 | 6領域 |
| 領域名 | 個人-社会/微細運動-適応/言語/粗大運動 | 移動運動/手の運動/基本的習慣/対人関係/発語/言語理解 |
| 読み方 | 通過率25・50・75・90%の月齢を棒で読む | 領域ごとに発達年齢を折れ線で結ぶ(発達プロフィール) |
| 性格 | スクリーニング検査 | 同じくスクリーニング検査 |
領域名の細かさで見分けられる。運動を「移動運動」と「手の運動」に分け、生活面を「基本的習慣」として立てているのが遠城寺式。運動をまとめて「粗大運動」「微細運動-適応」の2本で扱うのがJDDST-R。
| 時期 | 項目 |
|---|---|
| 7〜8か月 | ビスケットを自分で食べる(この群で最も早い) |
| 11か月前後 | コップを自分で持って飲む |
| 1歳前後 | お菓子のつつみ紙をとって食べる |
| 1歳過ぎ | 簡単なお手伝いをする |
| 1歳半〜2歳 | 上着などを脱ぐ |
| 2〜3歳 | 手を洗ってふく |
「自分で口へ運ぶ」が最も早く、「衣服の着脱」「手洗い」など手順の多い身辺処理ほど遅い。この粗さでも順序問題は足りる。
領域は6つ。移動運動・手の運動・基本的習慣・対人関係・発語・言語理解。JDDST-Rの4領域と数が違う点で区別する。
| 時期 | 獲得する項目 |
|---|---|
| 6〜7か月 | 支えなしで座る |
| 6〜9か月 | 人見知りをする |
| 8〜10か月 | つかまって立っている |
| 9〜11か月 | パチパチ・バイバイ |
| 10〜11か月 | つたい歩き |
| 11か月前後 | コップを自分で持って飲む |
| 1歳 | ひとり歩き・有意味語1語・つつみ紙をとって食べる |
| 1歳〜1歳半 | 2語言える |
| 1歳3か月前後 | 積み木を2つ重ねる |
| 1歳半 | 走る |
| 1歳半〜2歳 | ボールを前に蹴る |
| 2歳前後 | 積木を横に2つ以上ならべる・まねて直線を引く |
| 2歳以降 | 親から離れて遊ぶ |
| 2〜3歳 | 大きい・小さいがわかる/自分の姓名を言う |
組合せ問題で頻出の「早すぎる」誤り。5か月で人見知り(正しくは6〜9か月)、6か月でつかまり立ち(正しくは8〜10か月)、12か月で積み木を2つ重ねる(正しくは1歳3か月前後)、15か月で自分の姓名を言う(正しくは2〜3歳)。
「つたい歩きをする時期に可能なのはどれか」のように、運動の月齢を手がかりに他領域を当てさせる形式がある。月齢で横に並べておくと即答できる。
| 月齢 | 移動運動 | 手・生活 | 対人・言語 |
|---|---|---|---|
| 7〜8か月 | 独座・ずり這い | ビスケットを自分で食べる | 人見知り |
| 9〜10か月 | 四つ這い・つかまり立ち(8〜10か月) | スクープグリップ | バイバイ・パチパチ(9〜11か月) |
| 10〜11か月 | つたい歩き | コップを自分で持って飲む(11か月前後) | 喃語から有意味語へ |
| 12〜15か月 | 独歩・高這い | ピンセットグリップ・つつみ紙をとる | 有意味語1語 |
| 1歳半 | 走る(ボールをけるのは1歳半〜2歳でまだ) | 積み木を積む(2つ重ねるのは1歳3か月前後)・上着を脱ぐ | 2語・簡単なお手伝い |
| 2〜3歳 | 階段昇降 | 直線の模倣・手を洗ってふく | 姓名を言う・大小がわかる |
組合せ問題は「月齢が早すぎる肢」から消すのが最短。残った1つを検算する。
腹這いを無理に促すのは適切でない(本人が嫌う姿勢)。寝返り・背臥位も誤り——寝返りはより早期の段階で発達的に後退、背臥位は抗重力活動を引き出せない。起き上がりも第一選択にしない——シャフリング児はすでに座位を獲得しており、起き上がりは臥位↔座位の行き来を増やすだけで下肢への荷重を経験させない。課題は「立位・歩行へつながるか」で選ぶ。
「優先して行う運動はどれか」型は、今できていることの1つ先を選ぶ。飛ばした段階も、すでに獲得済みの段階も誤り。
| 現在の状態 | 優先する課題 | 選んではいけない課題 |
|---|---|---|
| 8か月・座位保持可、腹臥位で手支持可 | 四つ這い(次の移動手段) | 寝返り(獲得済み)/膝立ち・立ち上がり・免荷立位での交互振り出し(段階が先) |
この抱き方で体幹伸展筋は促通されない(体幹は屈曲位)。頭部は正中で安定させるので頭部回旋の促通でもない。Galant反射は脊柱側方の皮膚刺激で誘発される反射で、抱き方とは無関係。下肢を体幹前面にまとめるためキッキングも促されない。
NICU入室中の低緊張児では、生命維持>発達支援>長期的な機能改善の順で優先度が決まる。
| 優先度 | 介入 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | 呼吸理学療法 | 呼吸筋力低下があり生命維持に直結 |
| 高 | ポジショニング | 異常姿勢の予防・褥瘡対策 |
| 高 | 運動発達指導 | 発達遅滞のリスクが高く、早期の刺激が予後を左右 |
| 高 | 保護者への育児指導 | 退院後の在宅管理のためNICU期から始める |
| 低 | 装具療法 | 適応は状態が安定した外来フォロー期以降 |
急性期の病棟で「装具」「歩行練習」など長期的・高負荷の選択肢が並んだら、それが優先度の低い肢である可能性が高い。