ある運動方向の角度が0度に届かず手前で止まれば、その方向にマイナス。同じ状態でも屈曲側から書くか伸展側から書くかで符号が反転する。
| 状態 | 屈曲側の表記 | 伸展側の表記 |
|---|---|---|
| 肘が伸びきらない=屈曲拘縮 | 屈曲10° | 伸展−10° |
| 0°を越えて反る=過伸展(反張肘) | 屈曲−10° | 伸展10° |
| 完全に伸びきる=正常 | 屈曲0° | 伸展0° |
ROMは角度表示が原則だが、角度では測りにくい所は距離(cm)で表示することが基準に定められている。出題は「距離の規定がないのはどれか」の否定形が多いので、距離で表す側を先に覚え、それ以外の選択肢を探す。下の表は出題された代表例。
| 項目 | 何と何の距離か |
|---|---|
| 母指対立 | 母指先端と小指基部(または小指先端) |
| 指(手指)外転・内転 | 中指先端と示指・環指・小指の先端 |
| 指(手指)屈曲 | 指尖と近位手掌皮線(または遠位手掌皮線) |
| 胸腰部屈曲 | 最大前屈での指先と床=指床間距離(FFD) |
| 顎関節 | 開口=上顎の正中線で上歯と下歯の先端の間(参考値 約5.0cm)/左右偏位=上下歯列の正中のずれ(約1.0cm) |
距離の規定がなく角度だけで表すものの出題例:肩甲帯挙上・引き下げ(基本軸=両側の肩峰を結ぶ線、移動軸=肩峰と胸骨上縁を結ぶ線)/膝関節屈曲(基本軸=大腿骨、移動軸=腓骨)。膝の「踵殿距離」は臨床で使うが基準の表示法ではない。肩・肘・股・膝・足関節の四肢の大関節は角度で答える。
顎関節は角度では測らない。「矢状面で〜線と下顎骨中央線のなす角」(床への垂直線・フランクフルト線・上顎骨中央線のどれを基準にしても)は誤り → 正しくは上歯と下歯の先端の距離。オトガイ隆起と胸骨切痕の距離は頸部の屈曲・伸展を距離で代用する見方で、顎関節の計測ではない。
基本軸には骨(線)そのものを使う運動と、ある線・面への垂直線を使う運動がある。「垂直線を基本軸に用いるのはどれか」はこの2群の仕分けで解く。
| 群 | 運動と基本軸(代表例) |
|---|---|
| 垂直線を使う | 肩屈曲・伸展/肩外転・内転=肩峰を通る床への垂直線 肩水平屈曲・水平伸展=肩峰を通る矢状面への垂直線 肩外旋・内旋=肘を通る前額面への垂直線 頸部回旋=両側の肩峰を結ぶ線への垂直線 股外転・内転=両ASISを結ぶ線への垂直線 股外旋・内旋=膝蓋骨より下ろした垂直線 足関節背屈・底屈=腓骨への垂直線/足部内がえし・外がえし=下腿軸への垂直線 |
| 骨・線そのものを使う | 肘屈曲・伸展=上腕骨/膝屈曲・伸展=大腿骨/頸部側屈=第7頸椎棘突起と第1仙椎棘突起を結ぶ線/前腕回内・回外=上腕骨(1-4の表) |
前腕回内・回外の基本軸は現行の基準では上腕骨(1-4)。古い基準に基づく教材・解説では「床への垂直線」と書かれていることがあるので、選択肢でこの語形を見ても慌てない。
竿間角度の読み替え:図で角度計の竿が垂直線そのものではなく、垂直線の元になる線(両肩峰を結ぶ線・下腿軸・前額面)に沿って置かれているときは、竿間の角度は測定値にならない。90°との差が測定値になる。
図の問題はまず基本軸が垂直線の運動かを確認し、竿がその垂直線に乗っているかを見る。「竿間角度をそのまま答えた値」が誤り肢として必ず用意されている。
| 部位 | 運動方向と参考可動域角度 |
|---|---|
| 肩甲帯 | 屈曲20°/伸展20°/挙上20°/引き下げ(下制)10° |
| 肩 | 屈曲180°/伸展50°/外転180°/内転0°/外旋60°/内旋80°/水平屈曲135°/水平伸展30° |
| 肘 | 屈曲145°/伸展5° |
| 前腕 | 回内90°/回外90° |
| 手 | 屈曲(掌屈)90°/伸展(背屈)70°/橈屈25°/尺屈55° |
| 母指 | 橈側外転60°/尺側内転0°/掌側外転90°/掌側内転0°/MCP屈曲60°・伸展10°/IP屈曲80°・伸展10° |
| 指 | MCP屈曲90°・伸展45°/PIP屈曲100°・伸展0°/DIP屈曲80°・伸展0° |
| 頸部 | 屈曲(前屈)60°/伸展(後屈)50°/回旋 左右各60°/側屈 左右各50° |
| 胸腰部 | 屈曲(前屈)45°/伸展(後屈)30°/回旋 左右各40°/側屈 左右各50° |
| 股 | 屈曲125°/伸展15°/外転45°/内転20°/外旋45°/内旋45° |
| 膝 | 屈曲130°/伸展0° |
| 足関節 | 背屈(伸展)20°/底屈(屈曲)45° |
| 足部 | 内がえし30°/外がえし20°/外転10°/内転20° |
| 母趾・足趾 | 母趾MTP屈曲35°・伸展60°/母趾IP屈曲60°/足趾MTP屈曲35°・伸展40°/PIP屈曲35°/DIP屈曲50° |
| 運動 | 測定肢位 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 肩 屈曲 | 前腕中間位 | 前腕回外位は誤り |
| 肩 外転・内転 | 座位または立位(体幹を垂直に保つ) | 「背臥位で測定する」は誤り → 背臥位を用いるのは肩の屈曲や内旋・外旋など。体幹側屈の代償を見るには体幹を起こす必要がある。外転=側方挙上/屈曲=前方挙上で運動面が違う |
| 肩 外旋・内旋 | 上腕を体側・肘90°屈曲 | 前腕は中間位 |
| 股 外転・内転 | 股関節伸展位(中間位)・背臥位 | 骨盤を固定する |
| 股 屈曲 | 背臥位・膝屈曲位 | 骨盤が動き出す手前を終点にする |
| 股 伸展 | 腹臥位・膝伸展位 | 背臥位で下肢を挙げるのは屈曲の肢位 |
| 股 外旋・内旋 | 背臥位で股・膝とも90°屈曲位(下腿を左右に振る) | 膝伸展位では測らない。固定するのは骨盤で、「固定部位は脊柱」は誤り → 脊柱を押さえても骨盤が代償して回ってしまう |
| 膝 屈曲 | 股関節屈曲位 | 二関節筋の大腿直筋を緩めるため |
| 足 背屈・底屈 | 膝屈曲位 | 二関節筋の腓腹筋を緩めるため |
| 手 屈曲・伸展/橈屈・尺屈 | 前腕回内位 | — |
| 運動方向 | 典型的な代償運動 |
|---|---|
| 肩 屈曲 | 体幹伸展(後方へ反る) |
| 肩 外転 | 体幹側屈(対側へ傾く) |
| 肩 水平屈曲 | 肩甲骨の前方突出(外転) |
| 股 屈曲 | 骨盤後傾(対側下肢の浮き上がり) |
| 股 伸展 | 骨盤前傾(腰椎前弯の増強) |
| 運動 | 基本軸 | 移動軸・肢位 |
|---|---|---|
| 肩甲帯 挙上・下制 | 両側の肩峰を結ぶ線 | 肩峰と胸骨上縁を結ぶ線(胸骨上縁が頂点) |
| 肩甲帯 屈曲・伸展 | 両側の肩峰を結ぶ線 | 頭頂と肩峰を結ぶ線(上から見て測る) |
| 足部 内がえし・外がえし | 下腿軸への垂直線 | 足底面。膝関節屈曲位で測る |
| 頸部 側屈 | 第7頸椎棘突起と第1仙椎棘突起を結ぶ線 | 頭頂と第7頸椎棘突起を結ぶ線(背面から) |
| 肘 屈曲・伸展 | 上腕骨 | 橈骨。前腕回外位 |
図の判定問題では軸そのものだけでなくどこを頂点に角度を読むかと測定肢位まで見る。肩甲帯挙上を「両肩峰を結ぶ線の傾き」で読む図、足部内がえしを「下腿軸そのもの」を0°にした図は誤り。
背臥位で非検査側の股・膝を最大屈曲させて腰椎前弯を消す。検査側の大腿が床から浮けば陽性=その側の股関節屈曲拘縮(腸腰筋の短縮)。一側の股関節を屈曲したときに対側下肢が浮いた場合は、浮いた側の腸腰筋短縮を疑う。
| テスト | 対象 |
|---|---|
| Thomas | 股関節屈曲拘縮(腸腰筋短縮) |
| Adson | 胸郭出口症候群 |
| Jackson | 頸椎神経根の圧迫 |
| Lachman | 膝前十字靱帯(ACL)損傷 |
| Neer | 肩インピンジメント症候群 |
| 名称 | 目的 |
|---|---|
| Codman体操(振り子・アイロン体操) | 肩関節のROM改善・疼痛軽減 |
| McKenzie体操 | 腰椎伸展主体。椎間板性腰痛の軽減とROM改善 |
| Böhler体操 | 体幹伸展による背筋強化(脊椎(椎体)圧迫骨折) |
| Buerger-Allen体操 | 末梢循環の改善(閉塞性動脈疾患) |
| Frenkel体操 | 協調性の改善(運動失調) |
手背の熱傷後瘢痕拘縮は伸展拘縮となるため、慢性期は手指屈曲方向のROM練習+圧迫療法(ガーメント)で対応する。手関節背屈位に保持するコックアップ・スプリントは拘縮を助長するため不適。拘縮と逆方向へ伸張するのが原則。
運動機能項目は0〜5の6段階で採点し、1点だけが1A・1B・1Cに細分される。何をもって1A/1B/1Cとするかはテストごとに中身が違うので、テスト名とセットで覚える。
| 段階 | 膝・口テスト(上肢近位) | 手指テスト(上肢遠位) |
|---|---|---|
| 0 | 全く動かない | |
| 1A | 肩のわずかな動きはあるが手が乳頭部に届かない | わずかな動き、または集団屈曲が可能 |
| 1B | 手が乳頭部に届く | 集団伸展が可能 |
| 1C | 手が下顎に届く(課題は完遂できない) | 分離運動が可能だが不十分(全指ではできない) |
| 2 | 課題は遂行できるが著しくぎこちない | |
| 3 | 中等度のぎこちなさ | |
| 4 | 軽度のぎこちなさ | |
| 5 | 健側と同等 | |
| 姿勢 | 主に要る可動域(代表例) |
|---|---|
| 四つ這い | 手関節背屈 約90°+膝関節屈曲 約90° |
| 正座・割り座(踵を殿部の横に置く座り方) | 膝の深い屈曲+強い足関節底屈 |
| 長座位で後ろに手をついて支える | 手関節の大きな背屈+肩関節伸展 |
| 膝を曲げた前傾立位 | 下腿を前に倒す=足関節背屈 |
| 高い座面への腰かけ(手は大腿の上) | 膝屈曲は少なくてよく、手関節・肩の可動域はほとんど要らない |