第4章|中枢神経系

解剖学 第4章

4-1 ニューロン・グリア・神経線維

灰白質と白質

  • 中枢神経=脳・脊髄/末梢神経=脳神経・脊髄神経・自律神経。
  • 灰白質=神経細胞体(ニューロン体)の集まり白質=有髄神経線維(軸索)の集まり。白く見えるのは髄鞘の脂質のため。
  • 大脳は外側が灰白質(皮質)・内側が白質。脊髄は中央が灰白質・外側が白質で配置が逆。脊髄の中心管の周囲はH字状の灰白質。
白質(線維の束)灰白質(細胞体の集まり)
脳梁・内包・外包・放線冠・内側毛帯・各索(後索・側索・前索)大脳皮質・視床・尾状核・被殻・淡蒼球・脊髄前角/後角

「白質は大部分を神経細胞の細胞体が占める」は誤り → 白質の大部分は有髄線維(軸索)。細胞体が集まるのは灰白質。

「脳の白質は無髄神経線維である」も誤り → 白質は有髄線維の集まりで、髄鞘の脂質のために白く見える。

ニューロンの構造

  • 細胞体・樹状突起・軸索からなり、興奮は樹状突起 → 細胞体 → 軸索の一方向に伝わる。
  • 感覚の一次ニューロンは偽単極性で、細胞体が伝導路の途中から横に張り出す形をとる(=細胞体が後根神経節にあり、線維はそのまま脊髄へ入る)。

グリア細胞(神経膠細胞)

細胞働きポイント
希突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)中枢神経の髄鞘形成1個が複数の軸索に髄鞘をつくる
Schwann細胞末梢神経の髄鞘形成1個で1軸索の1区間のみ
星状膠細胞(アストロサイト)支持・血液脳関門の形成足突起で毛細血管を取り囲む
小膠細胞(ミクログリア)貪食・免疫中枢のマクロファージ役
上衣細胞脳室・中心管の内面を覆う脳脊髄液との境界をつくる

模式図で「軸索に巻きついて髄鞘をつくっている細胞」を指されたら中枢では希突起膠細胞。毛細血管に接している細胞は星状膠細胞。樹状突起はグリアではなくニューロンの入力部

神経線維の性質

  • Ranvier絞輪は有髄線維にのみ存在(髄鞘の切れ目)。跳躍伝導の場となり伝導が速い。無髄線維に絞輪はない。
  • 伝導速度は線維の直径に比例する(太いほど速い。Aα線維が最速)。反比例ではない。
  • 圧迫では太い有髄線維(Aα・Aβ=運動・触圧覚)から障害される。局所麻酔は細い線維(痛覚・温度覚・自律神経)から遮断される。障害の順序が逆になる。
  • 自律神経は節前線維=有髄(B線維)/節後線維=無髄(C線維)

4-2 大脳の機能局在

  • 中心溝(Rolando溝)は前頭葉と頭頂葉の境。前が中心前回(運動)、後ろが中心後回(感覚)。
  • 外側溝(Sylvius裂)は前頭葉・頭頂葉と側頭葉の境。その奥に埋もれた皮質が島。
領野部位(回)Brodmann野
一次運動野中心前回前頭葉4野
一次体性感覚野中心後回頭頂葉3・1・2野
一次視覚野鳥距溝周囲後頭葉17野
一次聴覚野上側頭回(横側頭回=Heschl回)側頭葉41・42野
一次嗅皮質鈎・梨状葉側頭葉内側(辺縁系)
Broca野(運動性言語)下前頭回前頭葉44・45野
Wernicke野(感覚性言語)上側頭回後部側頭葉22野

頻出の誤り組合せ → 一次運動野=側頭葉/一次嗅皮質=後頭葉/一次視覚野=前頭葉/一次聴覚野=辺縁葉・頭頂葉/一次体性感覚野=側頭葉/Broca野=側頭葉/Wernicke野=後頭葉はすべて誤り。上表の対応が正しい。

  • 言語野(Broca・Wernicke)はどちらも優位半球(多くは左)にある。
  • 体部位局在(ホムンクルス)=手・顔面・口の領域が広く、体幹・下肢は狭い。「手と顔面の領域が小さい」は誤り。
  • 下肢領域は半球内側面(傍中心小葉)に回り込む → 前大脳動脈領域の梗塞で下肢優位の症状が出る。
  • 一次運動野の出力細胞であるBetzの巨大錐体細胞は第Ⅴ層にある(第Ⅲ層ではない)。

4-3 大脳基底核・大脳辺縁系

大脳基底核

  • 構成核=尾状核・被殻・淡蒼球(+機能的に視床下核・黒質を含める)。
  • 線条体=尾状核+被殻レンズ核=被殻+淡蒼球。線条体は入力部、淡蒼球は出力核。
  • 紛れやすい核の所属 … 視床=間脳/上丘=中脳/歯状核=小脳核/下垂体・松果体=内分泌器官。いずれも基底核ではない。
部位障害で出やすい症候
黒質(緻密部)パーキンソニズム(無動・固縮・振戦)
線条体不随意運動(舞踏運動=Huntington病)
視床下核片側バリズム
視床対側の感覚障害・視床痛
扁桃体情動行動の異常
赤核振戦・運動失調

黒質緻密部のドパミン作動性ニューロンは線条体(被殻・尾状核)へ投射する(黒質線条体路)。この経路の変性がParkinson病。

大脳の白質線維

種類つなぐもの代表
交連線維左右の大脳半球脳梁(最大の交連線維)・前交連
投射線維皮質と皮質下・脊髄内包・放線冠
連合線維同側半球内の皮質どうし上縦束・鈎状束

脳梁は線維束なので白質に分類される。同じ問題で並ぶ視床・被殻・淡蒼球・脊髄前角はいずれも灰白質

大脳辺縁系

  • 構成=海馬・扁桃体・帯状回・乳頭体・脳弓・中隔核・嗅球。線条体・松果体・下垂体は含まれない。
  • Papez回路(記憶)=海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬。
構造働き
海馬記憶(エピソード記憶の形成・長期記憶の固定)
扁桃体情動(とくに恐怖・不安)
帯状回情動・意欲に加え運動の調節・運動学習
嗅球嗅覚の一次中枢

「海馬=体温調節」「視床下部=長期記憶」「扁桃体=短期記憶」「嗅球=内分泌」はすべて誤り。体温・内分泌は視床下部、記憶は海馬、情動は扁桃体

画像問題の海馬=側頭葉内側、側脳室下角の底〜内側壁に沿う巻き込み状(タツノオトシゴ状)の灰白質。冠状断で左右対称に描出される。側脳室体部(中央上方)・視床(正中)・尾状核(側脳室前角〜体部に沿う上外側)・帯状回(脳梁直上)・島(外側溝の奥)・前頭弁蓋(外側溝上方の前頭葉下面)と取り違えない。Alzheimer型認知症では早期から萎縮する。

4-4 錐体路と錐体外路

皮質脊髄路(錐体路)の走行

中心前回(4野)→ 放線冠 → 内包後脚 → 大脳脚(中脳腹側)→ 橋縦束 → 延髄錐体 →〔錐体交叉〕→ 側索を下行(外側皮質脊髄路)。交叉するのは約75〜90%で、交叉しない線維は前索を下る前皮質脊髄路となる。「約30%が交叉」は誤り。

皮質脊髄路に含まれないものが定番のひっかけ → 中心後回(=感覚野)・内包前脚(=前頭橋路)・視床(=感覚の中継核)・海馬・脳梁・上/中/下小脳脚。含まれるのは大脳脚

内包の区分通る主な線維
前脚前頭橋路・視床前放線
皮質核路(皮質延髄路=脳神経運動核へ)
後脚皮質脊髄路(錐体路)・視床皮質路(感覚)・視放線・聴放線

錐体外路

  • 錐体外路=錐体路以外の運動調節系で、大脳基底核(線条体・淡蒼球・黒質・視床下核)が中心。
  • 錐体交叉は名前に「錐体」が付くが錐体路の構造であり、錐体外路には含まれない。
  • 下行路(=運動)… 皮質脊髄路・赤核脊髄路・網様体脊髄路・前庭脊髄路・視蓋脊髄路・皮質橋路。
  • 上行路(=感覚)… 外側/前脊髄視床路・後索(薄束・楔状束)・前/後脊髄小脳路・内側毛帯。
  • 語尾での見分け … 「〜脊髄路」「皮質〜路」は基本下行(運動)、「〜視床路」「〜小脳路」「〜毛帯」は上行(感覚)

内包後脚は皮質脊髄路が密に集まる場所。放線冠〜内包後脚の小梗塞(ラクナ梗塞)でも対側の片麻痺が出る。拡散強調像(DWI)の高信号=急性期梗塞。左半球深部の病変なら右片麻痺。

4-5 間脳(視床・視床下部)

部位働き
視床嗅覚以外の感覚を中継して大脳皮質へ送る
視床下部ホメオスタシスの最高中枢=自律神経・内分泌・体温・摂食/飲水・概日リズム
下垂体視床下部の指令でホルモンを分泌する内分泌器官(調節中枢ではない)
松果体メラトニン分泌・概日リズム(内分泌器官)
  • 視床の主な中継核 … 後外側腹側核(VPL)=体性感覚外側膝状体=視覚内側膝状体=聴覚
  • 視床は感覚の中継核なので、運動の下行路(皮質脊髄路)は視床を通らない
  • 嗅覚だけは視床を経由せず、嗅球・嗅索から直接大脳(側頭葉内側)へ入る。「視床の障害で嗅覚障害が出る」は誤りで、視床障害で出るのは感覚障害・視床痛。
  • 視床下部は下垂体を介して内分泌を統括する。下垂体・松果体そのものは調節中枢ではない。「視床下部=長期記憶」も誤りで、記憶は海馬。

高血圧性脳出血の好発部位=被殻(最多)・視床・小脳・橋・皮質下。CTでは深部正中寄り(第三脳室外側・被殻より内側)の高吸収域=視床出血、より外側のレンズ核なら被殻出血。視床出血では対側の感覚障害・上方注視麻痺・内下方偏倚(鼻先凝視)が特徴。

視床痛(Déjerine-Roussy症候群):視床(とくにVPL)の血管障害後に生じる中枢性疼痛。触れただけで痛むアロディニアや感覚過敏を呈する。発症要因は末梢の組織損傷ではなく中枢神経系の可塑的変化・脱抑制。痙縮・腱板断裂・過負荷・拘縮といった末梢性の要因とは機序が異なる。

4-6 脳幹と小脳

脳幹3部の代表構造と中枢

部位代表構造中枢・機能
中脳大脳脚・黒質・赤核・四丘体(上丘・下丘)・動眼神経核対光反射・眼球運動・姿勢反射
橋核・橋縦束大脳と小脳の連絡、呼吸調節
延髄錐体・オリーブ・薄束核/楔状束核生命の座嚥下・呼吸・循環・嘔吐・咳・くしゃみ

嚥下中枢は延髄の網様体にあり、咽頭期の嚥下反射を統合する。赤核(中脳)・小脳・橋にはない。延髄外側症候群(Wallenberg症候群)で嚥下障害(球麻痺)が出るのはこのため。脳と脊髄の移行部も延髄。

中脳の断面(背側→腹側)

  • 中脳蓋(四丘体:上丘=視覚反射/下丘=聴覚中継)→ 中脳水道 → 被蓋(赤核・動眼神経核)→ 黒質 → 大脳脚(最腹側)の順。
  • 錐体路(皮質脊髄路)は最腹側の大脳脚を通る。黒質は大脳脚と被蓋の間にある。
  • Parkinson病の病変部位=大脳脚の背側にある黒質。図では赤核(被蓋中央の円形)より腹外側の帯状構造。

「皮質脊髄路は被蓋を通過する」は誤り → 通るのは大脳脚。中脳蓋が背側・大脳脚が腹側という前後関係は正しい。

小脳と小脳脚

小脳脚連絡する部位通る主な線維
上小脳脚中脳小脳からの遠心路(歯状核赤核視床路)・前脊髄小脳路
中小脳脚(橋腕)橋核→小脳の求心路(橋小脳路。3対で最大)
下小脳脚延髄脊髄・延髄からの求心路・後脊髄小脳路

「中小脳脚は中脳と小脳を連絡する」は誤り → 中小脳脚はと小脳を結ぶ。中脳と結ぶのは上小脳脚。小脳脚には錐体路は通らない。

  • 小脳の働き=運動の協調・平衡・筋緊張の調節。障害で運動失調。
  • 運動制御の内部モデルの形成・更新(誤差学習・運動適応)を担うのは小脳。予測した感覚結果と実際の結果の誤差を検出して修正する。
  • Purkinje細胞は小脳皮質で唯一の出力(遠心性)ニューロンで、軸索は小脳核へ投射する。求心性線維ではない。

4-7 脊髄の構造

  • 延髄に続き、成人では第1〜2腰椎の高さ(脊髄円錐)で終わる。新生児ではL3付近とやや低い。L3・4のレベルではない。
  • 脊髄円錐は脊髄の下端であって脳との移行部ではない。それ以下の神経根の束が馬尾。腰椎穿刺をL3/4以下で行うのは脊髄円錐を避けるため。
  • 終糸は脊髄円錐から下行し尾骨の背面(後面)に付着する。前面ではない。
  • 膨大部は頸膨大・腰膨大の2つ(3つではない)。それぞれ上肢・下肢への神経が出入りする。

灰白質の区分と神経根

部位中身
前角(灰白質)α・γ運動ニューロンの細胞体。軸索は前根から骨格筋へ
後角(灰白質)感覚を中継する二次ニューロンの細胞体
側角(灰白質・T1〜L2)交感神経の節前ニューロン
後索・側索・前索(白質)上行/下行の伝導路。細胞体はない
  • 前根=運動(遠心性)/後根=感覚(求心性)=Bell-Magendieの法則。
  • 後根には脊髄神経節(後根神経節)があり、感覚一次ニューロンの細胞体が集まる。前根にはない。
  • 自律神経の起始=交感=胸腰系(T1〜L2の側角)副交感=頭仙系(脳幹+S2〜4)

「運動神経細胞は後角にある」「前角は白質からなる」はどちらも誤り → 運動ニューロンの細胞体は前角、前角は灰白質。後索・前索・側索は白質なので細胞体は存在しない。

脊髄反射 … 伸張反射(膝蓋腱反射など)は単シナプス反射で、Ⅰa線維 → 後根 → 前角のα運動ニューロン → 前根 → 筋という最短経路をとる。屈曲反射(逃避反射)は介在ニューロンを挟む多シナプス反射。前角細胞(下位運動ニューロン)が障害されると筋萎縮・線維束性収縮を伴う弛緩性麻痺となる(ALS・ポリオ)。

4-8 体性感覚の伝導路(上行路)

3つのニューロン

細胞体のある場所
一次ニューロン後根神経節(脊髄神経節)=脊髄の外。偽単極性ニューロン。全感覚路に共通
二次ニューロン温痛覚=脊髄後角/深部覚=延髄の薄束核・楔状束核
三次ニューロン視床(VPL核)→ 大脳皮質中心後回へ投射

「一次ニューロンの細胞体は後角にある」「延髄にある」「視床にある」はすべて誤り → 後根神経節。後角・延髄の核は二次、視床は三次。

主な上行路の比較

伝導路伝えるもの交叉する場所走る場所
後索-内側毛帯路(薄束・楔状束)深部感覚(位置覚・振動覚)・識別性触覚・圧覚延髄(薄束核・楔状束核で換わってから交叉)後索 → 内側毛帯 → 視床VPL
外側脊髄視床路温痛覚(温覚・冷覚・痛覚)脊髄(入った1〜2節上位で交叉)対側の側索 → 視床
前脊髄視床路粗大な触覚・圧覚脊髄対側の前索 → 視床
後脊髄小脳路無意識性の深部感覚(下肢・体幹)交叉しない側索 → 下小脳脚 → 小脳
前脊髄小脳路無意識性の深部感覚交叉して再交叉側索 → 上小脳脚 → 小脳
  • 薄束=下半身、楔状束=上半身の情報を運ぶ(どちらも後索)。
  • 「後(後脊髄小脳路)は下小脳脚・前(前脊髄小脳路)は上小脳脚」と逆対応で覚える。
  • 毛帯の区別 … 内側毛帯=後索系(深部覚・識別性触覚)で視床へ上行外側毛帯=聴覚/三叉神経毛帯=顔面の感覚。

頻出の誤り → 「深部感覚は前索を上行」「深部覚は脊髄視床路を上行」「温痛覚・痛覚は後索を上行」「圧覚は脊髄視床路を通る」「触覚は中脳で交叉」「痛覚は延髄で二次ニューロンになる」はすべて誤り。上表のとおり、深部覚は後索で延髄交叉、温痛覚は脊髄視床路で脊髄交叉

4-9 特殊感覚の伝導路

感覚経路中継核終着
視覚網膜→視神経→視交叉→視索→外側膝状体→視放線外側膝状体後頭葉・一次視覚野(17野)
聴覚蝸牛→蝸牛神経核→(一部交叉:台形体・上オリーブ核)→外側毛帯→下丘→内側膝状体内側膝状体上側頭回(横側頭回=Heschl回)
嗅覚嗅球→嗅索視床を通らない唯一の感覚側頭葉内側(梨状皮質・鈎)
味覚顔面神経(舌前2/3)・舌咽神経(舌後1/3)・迷走神経孤束核→視床頭頂弁蓋・島

外=視覚(外側膝状体)/内=聴覚(内側膝状体)。視覚路の順序は視交叉 → 視索 → 外側膝状体 → 視放線で固定。視交叉では鼻側網膜の線維が交叉する。聴覚路は途中で一部交叉して両側性に上行するため、一側の中枢病変では片側性難聴になりにくい

視野障害と障害部位の対応 … 視神経=同側の全盲視交叉=両耳側半盲(下垂体腫瘍が典型)/視索・外側膝状体より後方=対側の同名半盲/視放線・後頭葉=対側同名半盲(黄斑回避を伴うことがある)。視野障害を訴える症例では病変が後頭葉・視放線側にあり、内包後脚〜放線冠の梗塞(片麻痺)とは部位が異なる。

「視覚路は内側膝状体を通る」は誤り → 外側膝状体。「味覚は副神経を経由する」も誤り → 副神経は胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配する運動性の脳神経で感覚は運ばない。下垂体・松果体・乳頭体・扁桃体は視覚伝導路に含まれない。

4-10 髄膜・脳室・脳脊髄液・先天奇形

髄膜と腔

  • 外側から硬膜 →(硬膜下腔)→ くも膜 → くも膜下腔 → 軟膜の順。くも膜と軟膜の間がくも膜下腔で、脳脊髄液が満たし太い血管が走る(くも膜下出血の場)。
  • 硬膜のヒダ … 大脳鎌=左右の大脳半球の間(大脳縦裂)小脳テント=大脳と小脳の間。大脳鎌はSylvius裂内ではなく、小脳テントは脳底槽にあるのでもない。
  • 硬膜静脈洞は硬膜の2葉の間を通る。硬膜下腔ではない。
  • 透明中隔は左右の側脳室の間にある薄い膜。第三脳室と第四脳室の間ではない。

脳脊髄液の流路

脈絡叢で産生 → 側脳室 → Monro孔(室間孔)→ 第三脳室 → 中脳水道 → 第四脳室 → Magendie孔(正中)・Luschka孔(外側)→ くも膜下腔 → くも膜顆粒で吸収

  • 第三脳室と第四脳室をつなぐ唯一の通路が中脳水道。ここが狭窄すると水頭症になる。
  • Monro孔は側脳室と第三脳室の間、Magendie孔・Luschka孔は第四脳室からくも膜下腔への出口。脈絡叢は産生組織であって流路そのものではない。

脳実質に痛覚受容器はない:頭痛を感じる侵害受容器は硬膜・くも膜・軟膜・脳血管(脳動脈)・静脈洞・頭蓋骨膜・頭皮に分布するが、大脳皮質を含む脳実質には存在しない。覚醒下脳手術が可能なのはこのため。

中枢神経の先天奇形

奇形特徴
二分脊椎(脊髄髄膜瘤)下肢麻痺・膀胱直腸障害。Chiari II型を介して水頭症を合併しやすい
Arnold-Chiari奇形小脳扁桃・脳幹が大孔から脊柱管側へ下垂(嵌入)する。「脊髄が頭蓋内へ嵌入」は向きが逆で誤り
Dandy-Walker症候群第四脳室の嚢胞状拡大・小脳虫部低形成。後頭蓋窩は拡大(縮小ではない)
滑脳症脳回・脳溝の形成不全で脳表が平滑化=脳溝は減少(増加ではない)
小頭症脳の発育不全で頭囲が小さい。脳圧亢進は生じにくい
全前脳胞症終脳の分割不全で顔面正中部の異常(単眼症など)。外側の欠損ではない