徒手筋力検査(MMT)は重力と徒手抵抗を操作して筋力を0〜5の6段階で判定する。段階の定義そのものが繰り返し問われる。
| 段階 | 呼称 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 5 | Normal | 最大抵抗に抗して全可動域を動かし、最終肢位を保持できる |
| 4 | Good | 中等度の抵抗に抗して全可動域を動かせる |
| 3 | Fair | 抵抗なしで、重力に抗して(抗重力位で)全可動域を動かせる |
| 2 | Poor | 重力を除いた肢位(運動面を水平にする)で全可動域を動かせる |
| 1 | Trace | 筋収縮を触知できるが、関節運動は起こらない |
| 0 | Zero | 筋収縮を触知できない |
段階1と0の差は収縮を触知できるかどうかであって、関節が動くかどうかではない。段階1でも関節運動は起こらない。
表情筋は皮膚に停止し関節運動を起こさないので、重力に抗せるかや抵抗量では段階づけできない。Danielsらの方法では機能するかどうかの4段階で判定する。
| 段階 | 判定 |
|---|---|
| F(functions) | 指示された表情運動を正常に行える |
| WF(weak functions) | 弱いながら機能を果たしている(運動は起こるが弱い・左右差がある) |
| NF(non-functional) | 機能を果たしていない(わずかな収縮のみ) |
| 0 | 全く活動を認めない |
顔面筋には「N(Normal)」の段階はない。四肢の段階5(Normal)を持ち込んだ「N―筋力は正常である」が引っかけ。最上位はF。
段階3以上=抗重力位(運動方向が重力と逆になる肢位を組む)/段階2以下=重力除去位(運動面を水平にして重力の影響を消す)。同じ運動でも判定したい段階によって肢位が変わる、これが肢位問題の解き方の全部である。
| 肩関節の運動 | 段階2(重力除去位) | 段階3以上(抗重力位) |
|---|---|---|
| 屈曲 | 側臥位 | 座位(または立位) |
| 外転 | 側臥位 | 座位 |
| 伸展 | 側臥位 | 腹臥位 |
| 外旋・内旋 | 腹臥位で上肢を台の外に垂らす | 腹臥位または座位(段階4は抵抗を加えて判定) |
| 水平内転 | 座位(前腕を支持台にのせ水平に動かす) | 背臥位 |
| 水平外転 | 座位(同上) | 腹臥位 |
組合せ問題で狙われる誤りの型。屈曲の段階2=背臥位は誤り → 背臥位では重力が抵抗になる。正しくは側臥位。伸展の段階3=座位は誤り → 腹臥位。水平内転の段階2=腹臥位・水平外転の段階2=側臥位はいずれも誤り → どちらも座位で支持面上を水平に動かす。
心疾患・呼吸障害のある人のMMT:努責(息こらえ)と上肢の等尺性収縮は血圧を上げる。上肢挙上位での抵抗、座位で大筋群に抵抗をかける検査は負担が大きく、腹臥位は胸腹部が圧迫され換気を妨げる。側臥位の股関節外転は胸郭を圧迫せず努責も起きにくく、影響が小さい検査の例。
座位で抗重力位になるのは持ち上げる向き(重力と反対向き)に動く運動だけ。この視点で消去法が使える。
| 可否 | 筋と運動 |
|---|---|
| 座位で段階3を判定できる | 上腕三頭筋(肘伸展。前腕を下垂位から伸展させる)/縫工筋(股屈曲+外転+外旋+膝屈曲で踵を対側の膝へ運ぶ)/腸腰筋(股屈曲=大腿を座面から持ち上げる)/大腿四頭筋(膝伸展) |
| 座位では判定できない | 大胸筋(肩水平内転→抗重力位は背臥位)/肩甲下筋(肩内旋→腹臥位)/ハムストリングス(膝屈曲→腹臥位。座位では下腿が下垂し重力に抗さない)/下腿三頭筋(足底屈→立位の片脚踵上げ) |
下腿三頭筋は頻出のひっかけ。段階3以上の標準肢位は立位での片脚踵上げ(自分の体重が負荷)。座位で足を底屈させても負荷が軽すぎ、正しい段階3判定にならない。
| 座位で行う(例) | 座位で行わない(例) |
|---|---|
| 肩関節水平外転の段階2(座位でテーブルに上肢を乗せ水平面で動かす。段階3以上は腹臥位) | 肩関節水平内転の段階3以上=背臥位 |
| 膝関節伸展の段階3以上(端座位で下腿を下垂) | 膝関節伸展の段階2=側臥位 |
| 股関節外旋・内旋の段階3以上(端座位) | 股関節外旋・内旋の段階2=背臥位 |
| 肘関節屈曲の段階2〜5 | 肘関節屈曲の段階1・0=背臥位で触診 |