呼吸器の問題は、まず閉塞性か拘束性かを決めることから始まる。判定に使う数値は2つだけ。
| 項目 | 閉塞性換気障害 | 拘束性換気障害 |
|---|---|---|
| 代表疾患 | COPD・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎 | 間質性肺炎・肺線維症・肺切除後・神経筋疾患・側弯 |
| 1秒率(FEV1.0%) | 低下(70%未満) | 正常〜上昇 |
| %肺活量(%VC) | 正常〜 | 低下(80%未満) |
| 残気量・残気率 | 増加(エアトラッピング) | 減少 |
| 全肺気量(TLC) | 増加(過膨張) | 低下 |
| 機能的残気量(FRC) | 増加 | 減少 |
| 肺コンプライアンス | 増加(肺胞壁が壊れる肺気腫での話。弾性を失って膨らみやすくなる。気管支喘息のように気道が主体の閉塞では増加しない) | 低下(硬く膨らみにくい) |
| 気道抵抗 | 増加 | 正常 |
| 肺拡散能(DLCO) | 低下(気腫で拡散面積↓) | 低下(間質肥厚) |
計算の手順 FVC 5.00 L・1秒率80%・予測FEV1 3.46 Lのとき、①実測FEV1=5.00×0.80=4.00 L ②%FEV1=4.00÷3.46×100≒116%。先に実測FEV1を出してから予測値で割る2段階。
| 条件 | 起こること |
|---|---|
| 呼吸筋力が低下する | 肺活量が低下(=拘束性パターン) |
| 気道抵抗が増加する | 1秒率が低下(上昇ではない) |
| 肺コンプライアンスが低下する | 機能的残気量が減少(増加ではない) |
| 肺拡散能が低下する | 最大呼気流量は変わらない(流量は気道の通りやすさで決まり拡散とは独立) |
| 換気血流比が不均等になる | A-aDO2が増大(開大)(低下ではない) |
静肺コンプライアンスの基準値は0.15〜0.30 L/cmH2O。0.09なら低下=肺が硬い=拘束性。%VC低下と組めば拘束性換気障害と断定できる。
呼吸不全の定義は室内気でPaO2 60 Torr以下。PaCO2で2型に分ける。
| Ⅰ型呼吸不全 | Ⅱ型呼吸不全 | |
|---|---|---|
| PaO2 | 低下 | 低下 |
| PaCO2 | 正常〜低下(45以下) | 上昇(45超) |
| A-aDO2 | 増加(開大) | 正常 |
| 本態 | ガス交換障害(拡散障害・換気血流比不均等・シャント) | 肺胞低換気 |
| 代表 | 肺炎・間質性肺炎・肺塞栓・ARDS | COPD急性増悪・ALS・筋ジストロフィー・重症筋無力症クリーゼ |
「Ⅱ型では正常でⅠ型で増加するもの=A-aDO2」。PaO2は両型とも低下、PaCO2はⅡ型で上昇するので、鑑別に効くのはA-aDO2だけ。1秒率・肺活量は換気障害の型の指標であって呼吸不全の型分類には対応しない。
換気が保てず酸素を取り込めない・CO2を出せない → PaO2低下+PaCO2上昇=Ⅱ型。「PaO2低下+PaCO2低下」は過換気の像で逆。
CO2ナルコーシス CO2が貯留している例(Ⅱ型)に高濃度酸素を投与すると、低酸素刺激による呼吸ドライブが消えて自発呼吸が抑制され、CO2がさらに上昇して意識障害に至る。呼吸困難時に患者が自己判断で酸素流量を上げるのは禁忌。酸素は低流量から慎重に。
呼吸商はCOPDの栄養指導につながる。脂質は呼吸商が低くCO2産生が少ないため、CO2を出しにくいCOPDでは高脂肪・低炭水化物が理にかなう。
フローボリューム曲線は縦軸=流量、横軸=肺気量。形で換気障害の型が読める。
| 病態 | 曲線の形 |
|---|---|
| 正常 | ピークフローが高く、下降脚はほぼ直線 |
| 閉塞性(COPD・喘息) | ピークフロー低下+下降脚が下に凸(coving=陥凹)。重症ほどピークが低く曲線全体が小さい |
| 拘束性(肺線維症・肺葉切除後) | 横軸(肺気量)が縮小して全体が小型・縦に細長い。下降脚の形自体は保たれる |
| 上気道狭窄 | 呼気・吸気とも流量が頭打ちでプラトー(台形) |
| 肺癌 | 曲線に典型像はない。腫瘍の場所と進行度しだいで、中枢気道を塞げば上気道狭窄型、末梢や切除後なら拘束性型と、いろいろな形をとる=「肺癌の曲線」という決まった形を問われたら選べない |
| 気管支拡張薬 吸入後 | ピークフローと流量が改善=気道抵抗の低下(喘息の可逆性) |
吸入後にフローボリューム曲線が改善しても、それは気道が広がった=気道抵抗低下を意味するだけ。呼気筋力の増強・肺拡散能の改善・胸郭柔軟性の改善・肺コンプライアンスの増加はいずれも曲線からは言えない(拡散能は流量−容量曲線では評価できない)。
| 疾患・状態 | 画像所見 |
|---|---|
| COPD・肺気腫 | 単純Xp:肺野透過性亢進・横隔膜平低化・滴状心・肋間腔拡大/CT:上肺野優位の低吸収域、血管影の減少 |
| 間質性肺疾患・IPF | 両側下肺野・胸膜直下優位の網状影、蜂巣肺(ハニカム)、牽引性気管支拡張 |
| 大葉性肺炎 | 肺葉単位の均一な浸潤影(consolidation)、シルエットサイン陽性 |
| 誤嚥性肺炎 | 片側(多くは右)下肺野の浸潤影 |
| 気胸 | 患側に肺血管影のない黒い領域+虚脱肺の縁を示す線状影 |
| 肺葉切除後 | 切除側の容積減少・局所的欠損(拘束性) |
| 肺水腫 | 両側肺門部中心のびまん性浸潤影(バットウィング像) |
| うっ血性心不全 | 心陰影拡大(CTR 50%超)+肺門部中心の蝶形陰影(バタフライシャドウ)+胸水、上肺野の血管陰影増強(cephalization)、Kerley B線 |
| 気管切開術後 | 気管カニューレの陰影が写るだけ。肺野にびまん性の異常影は出ない(出たらVAPなど別の合併症) |
| びまん性汎細気管支炎 | 両肺びまん性の小粒状影 |
| 肺癌 | 結節・腫瘤影、無気肺、閉塞性肺炎など部位しだいで多彩(決まった一つの像はない) |
COPDのXp所見はすべて「肺が膨らみすぎる方向」。したがって横隔膜挙上・肋間腔狭小化・心陰影拡大はいずれも逆向きで誤り。シルエットサイン(心・横隔膜の輪郭消失)は肺炎の所見でCOPDの特徴ではない。
正常呼吸音は聴取部位が中枢に近いほど呼気が強く長くなる。
| 正常呼吸音 | 聴取部位 | 吸気と呼気 |
|---|---|---|
| 肺胞呼吸音 | 末梢肺野 | 吸気>呼気(呼気は弱く短い。呼気終末に強くなることはない) |
| 気管支呼吸音 | 胸骨上部・肩甲間部 | 吸気≒呼気(両相で聴取。吸気のみではない) |
| 気管呼吸音 | 頸部気管上 | 吸気<呼気(呼気が長く大きい) |
| 副雑音 | 時相 | 代表疾患 |
|---|---|---|
| 笛音 wheezes(連続性・高調) | 呼気主体(吸気初期ではない) | 気管支喘息・COPD(気道狭窄) |
| いびき音 rhonchi(連続性・低調) | 呼気主体 | 太い気道の分泌物・狭窄 |
| 捻髪音 fine crackles(断続性・細かい) | 吸気終末(後期)(呼気ではない) | 間質性肺炎・特発性肺線維症(velcroラ音) |
| 水泡音 coarse crackles(断続性・粗い) | 吸気早期 | 肺炎・気管支拡張症・肺水腫(分泌物が多い病態) |
細かい音=間質(拘束性)、粗い音=分泌物(肺炎)。発熱+片側の水泡音なら細菌性肺炎、乾性咳+両下肺の捻髪音なら間質性肺疾患、と反射で結べるようにする。
| COPDで増加するもの | COPDで低下するもの |
|---|---|
| 残気量・残気率/機能的残気量/全肺気量/肺コンプライアンス/気道抵抗/進行期のPaCO2 | FEV1・1秒率/肺拡散能(DLCO)/PaO2/%VC(進行例) |
「COPDで低下するもの」を問われたら肺拡散能か1秒率。残気率・全肺気量・肺コンプライアンスはいずれも増加で、低下と答えると誤り。PaCO2も進行期には上昇する。
COPDの咳は湿性咳嗽。乾性咳嗽・捻髪音は間質性肺疾患の所見であり、COPDの身体所見として選ぶと誤り。打診も濁音ではなく鼓音。
覚え方 「気腫=肺がスカスカ」→ 膨らみやすい(コンプライアンス増)が吐けない(残気量増・1秒率低下)、壁が壊れているのでガス交換の面積は減る(拡散能低下)。この1本の筋でCOPDの検査値はすべて説明できる。
急性増悪ではⅡ型呼吸不全(PaO2低下+PaCO2上昇)となり、感染が誘因になることが多い。だからインフルエンザ・肺炎球菌ワクチンが強く推奨される。
機序は一本道。呼気時に口をすぼめる → 気道内圧を高く保つ → 末梢気道の虚脱(早期閉塞)を防ぐ → 呼出改善・エアトラッピング軽減。
| 項目 | 正しい内容 |
|---|---|
| 延長させるのは | 呼気(吸気の2倍程度かけて吐く)。吸気は鼻から。吸気の延長は誤り |
| 呼吸数 | 1回換気量が増えるため減少(増加は誤り) |
| 機能的残気量・全肺気量 | 減少方向(増加は誤り) |
| 呼吸仕事量 | 軽減(増加は誤り) |
| 口の形 | 軽くすぼめてゆっくり呼出。頬は膨らませない |
| 適応 | 閉塞性(COPD・気管支喘息)。喫煙歴と閉塞性障害のある術後例の合併症予防にも有効 |
| 適応外 | 拘束性(肺線維症・間質性肺炎)、神経筋疾患(ALS・Duchenne型筋ジストロフィー)。気道虚脱が病態でないため効果が乏しい |
最も息切れするのは両上肢を頭上に挙上して保持する動作=洗髪。理由は、僧帽筋・前鋸筋・胸鎖乳突筋などの呼吸補助筋が上肢と肩甲帯の固定に取られて呼吸に使えなくなることと、胸郭運動が制限されること。食事・排尿・歯磨きは上肢挙上の保持がなく軽い。
| 負担の大きい要素 | 具体例 | 指導 |
|---|---|---|
| 上肢挙上の保持 | 洗髪・洗濯物干し・高所の物を取る | 洗濯物は肩より低い位置に干す |
| 前屈・腹部圧迫 | 靴下着脱・洗体・低い椅子からの立ち座り | 高めの椅子・シャワーチェアにする。低い椅子は不適 |
| 息こらえ(努責) | 荷物の持ち上げ・排便いきみ | 荷物は分けて運び、労作は呼気に合わせる |
| 床上の起居 | 布団からの起き上がり | 布団よりベッドが負担が少ない |
| 階段 | 昇段のタイミング | 呼気時に昇る(吸気時に昇るは誤り)。口すぼめ呼気でゆっくり |
COPDに「推奨されないもの」を問われたら低脂肪食。脂肪制限は誤りで、むしろ脂肪の割合を高める。上肢の筋力トレーニングは推奨される(ADLで上肢を使うため)。ただし急性期や呼吸困難時に上肢挙上動作を反復させる指導は不適切で、両者を混同しない。
| Grade | 内容 |
|---|---|
| 0 | 激しい運動をしたときだけ息切れ |
| 1 | 平坦な道を急ぐとき、または緩やかな上り坂で息切れ |
| 2 | 息切れのため同年代より平地歩行が遅い、または自分のペースでも立ち止まる |
| 3 | 平地を約100m、または数分歩くと息切れで立ち止まる |
| 4 | 息切れがひどく外出できない、着替えでも息切れする |
特発性肺線維症で誤りやすい記述 →「予後が最もよい」(最も予後不良が正)/「湿性咳嗽が主症状」(乾性咳嗽)/「閉塞性換気障害を示す」(拘束性)/「急性増悪は稀」(起こりうる重要病態)。
| 検査項目 | 対応する疾患・病態 |
|---|---|
| KL-6・SP-D | 間質性肺疾患 |
| CK-MB・トロポニン | 心筋梗塞 |
| BNP・NT-proBNP | 心不全 |
| Dダイマー | 深部静脈血栓症・肺塞栓症 |
| eGFR・クレアチニン | 腎機能 |
| 介入 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 徒手的な胸郭可動域拡大 | 適 | 硬くなった胸郭の柔軟性を保ち換気効率を維持。呼吸補助筋が過活動で吸気時に胸骨上切痕・鎖骨上窩が陥凹する努力性呼吸の例では最優先 |
| 吸気筋トレーニング | 状況次第 | 安定期には呼吸困難軽減・運動耐容能改善に有効。ただし安静時から頻呼吸で補助筋が疲労している状態に高負荷を加えるのは不適 |
| 上肢の筋力増強 | 適 | 「行わない」は誤り。ただし呼吸困難が強い時期は酸素需要が増すため避ける |
| 神経筋電気刺激(NMES) | 適 | 運動耐容能が低い例の選択肢になる。禁忌ではない |
| 体位排痰法・気道吸引 | 不適 | 線維化が主体で分泌物過多の病態ではない |
| 有酸素運動 | 適 | 目標はSpO2 90%以上の維持。「SpO2 60%を目標」は論外の低値 |
| 腹部引き込み(ドローイン) | 的外れ | 腹横筋を選択的に働かせる体幹安定化=腰痛の運動療法。呼吸練習として使うものではなく、換気量や酸素化の改善には直結しない |
悪性腫瘍の合併がない初発の皮膚筋炎・多発性筋炎で死因として最も頻度が高い合併症は間質性肺炎(特に急速進行性)。予後因子は間質性肺炎・悪性腫瘍・嚥下障害(誤嚥性肺炎)。
| 大葉性肺炎(細菌性) | 誤嚥性肺炎 | |
|---|---|---|
| 手がかり | 発熱+片側の水泡音+肺葉単位の均一な浸潤影 | 嚥下障害の経過(むせ・脳血管障害の既往)+発熱+右下肺野の浸潤影 |
| 起炎 | 肺炎球菌など | 唾液・食物・胃内容の誤嚥 |
死因順位は年次で動くので設問が示す年次に合わせて答える。近年は1位=悪性新生物・2位=心疾患で固定されていて、動くのは3位以下。ただし「どの年次でも」ではない――悪性新生物が1位になったのは1981年(昭和56年)から、心疾患が脳血管疾患を抜いて2位になったのは1985年(昭和60年)からで、それ以前は並びが違う。
平成23〜28年(2011〜2016)=①悪性新生物 ②心疾患 ③肺炎。平成22年以前は3位が脳血管疾患で、高齢化により肺炎がこれを上回った。「平成23年以降の第1〜3位」を問う出題はこの構成を答える。
平成29年(2017)=①悪性新生物 ②心疾患 ③脳血管疾患 ④老衰 ⑤肺炎。この年から誤嚥性肺炎を肺炎と分けて計上するようになり、肺炎が3位から5位へ落ちて脳血管疾患が3位に戻った。老衰はまだ4位。平成28年と平成30年のあいだにこの単年だけ別の並びが挟まるので、年次を確認して答える。
平成30年(2018)以降=①悪性新生物 ②心疾患 ③老衰 ④脳血管疾患 ⑤肺炎(覚え方「がん・心・老・脳・肺」)。老衰の増加が続き、平成30年に老衰が脳血管疾患を抜いて3位となってこの並びになった。近年の統計を問う出題ではこちらが正しく、3位を「肺炎」と答えると誤る。
順位低下はこの統計上の分離と老衰の増加によるもので、高齢者の肺炎そのものが減ったわけではない。「肺炎(誤嚥性肺炎を含む)で死亡する例は減少している」は誤り。
| 期 | 内容 | 障害への対応 |
|---|---|---|
| 先行期 | 認識・食行動 | 食事のペースを指導する |
| 準備期 | 咀嚼・食塊形成 | 咀嚼時間の確保 |
| 口腔期 | 食塊を咽頭へ送る | 低粘度・流動性の高い食物(高粘度食は誤り) |
| 咽頭期 | 嚥下反射(不随意・約0.5秒) | 頭頸部屈曲(顎引き)で嚥下(伸展は誤嚥リスク増) |
| 食道期 | 蠕動で胃へ | 食後の姿勢保持 |
原発性自然気胸を「肥満者に多い」「低身長者に多い」「60歳以上に多い」「再発は稀」とするのはすべて誤り。やせ・高身長・若年男性・再発多いが正。
| 疾患 | 呼吸に関する要点 |
|---|---|
| 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 呼吸筋麻痺 → 肺胞低換気 → PaCO2上昇。NPPV導入の目安はPaCO2上昇(例:60 mmHg)・%FVC 50%未満・夜間SpO2低下(88%以下の持続)・起座呼吸 |
| Duchenne型筋ジストロフィー | X連鎖劣性・男児。動揺性歩行・登攀性起立(Gowers徴候)・腓腹筋仮性肥大。10歳前後で車椅子 → 側弯進行が呼吸機能をさらに悪化 → 思春期以降に呼吸不全が顕在化。咳嗽力が低下し排痰困難(カフアシスト・夜間NPPV) |
| 重症筋無力症クリーゼ | 呼吸筋・球筋の急激な筋力低下。嚥下障害・咳嗽機能低下を伴う。誘因はステロイドの急激な増減・感染・手術。発症頻度は約2割 |
「重症筋無力症のクリーゼは閉塞性換気障害をきたす」は誤り → 筋力低下が原因なので拘束性換気障害(FVC低下)。同様に「Duchenne型に口すぼめ呼吸が有効」も誤りで、口すぼめ呼吸は閉塞性の手技。「側弯は呼吸機能に影響しない」「咳をする力は保たれる」「呼吸不全は5歳以下から生じる」もすべて誤り。
ALSの導入判定でPaO2 80 mmHg・睡眠中SpO2 94%・最大吸気圧75 cmH2O・%FVC 85%はいずれも保たれた値でNPPVの根拠にならない。酸素化が保たれていてもCO2が貯留するのがこの病態の要点で、安易な高濃度酸素投与はCO2ナルコーシスを招く。
| 低流量系 | 高流量系 | |
|---|---|---|
| 機器 | 鼻カニュラ・簡易マスク | ベンチュリマスク・ネブライザー付き機器 |
| 吸入酸素濃度 | 患者の呼吸様式で変動する | 設定した一定濃度を供給 |
| 加湿 | 低流量では不要なことが多い | 必要(高流量ガスで気道が乾燥するため「加湿不要」は誤り) |
| 人工呼吸器装着患者の理学療法 | 可否 |
|---|---|
| 循環・呼吸が安定していれば端座位・立位まで進める | 適(「ベッドアップ60°まで」と一律に制限するのは誤り) |
| 体位変換で気道内分泌物の移動を促す | 適 |
| 気管吸引は挿入時に陰圧をかけず、引き抜くときにかける | 適(挿入時の陰圧は低酸素・粘膜損傷を招く) |
| 気管吸引には滅菌カテーテルを使う(無菌操作) | 適 |
| 発声できないため筆談・文字盤で意思疎通を支援 | 適 |
COPD急性増悪で人工呼吸器管理中、発熱・努力性呼吸がある急性期に徒手的抵抗運動は不適切(酸素消費と呼吸仕事量が増える)。この時期は呼吸介助・体位排痰法・ベッドアップ・関節可動域運動で二次的合併症(無気肺・肺炎・拘縮・廃用)の予防に徹する。
腹臥位で促されるのは背側(=それまで虚脱していた側)の換気と背側肺の排痰。「上部胸式呼吸を促す」「腹式呼吸を促す」「肺尖部の換気を促す」はいずれも腹臥位の目的ではない。また肺動静脈奇形(肺動静脈瘻)のシャントは血管の構造そのものなので、体位を変えても酸素化は改善しない——体位で変わるのは重力で分布が動く V/Q 不均等と虚脱肺のシャントだけ。
大原則は痰のある区域を上(高い位置)にして、その区域の気管支が下を向く(重力で中枢へ落ちる)ようにする。だから右肺に病変があれば左側臥位、左肺なら右側臥位になる。「病変側を下にする」は逆で誤り。
| 痰のある区域 | とらせる体位 |
|---|---|
| 肺尖区(上葉 S1) | 座位(やや前傾) |
| 上葉 後上葉区(S2) | 前傾側臥位(患側を上にして腹側へ倒す) |
| 上葉 前上葉区(S3) | 背臥位(水平) |
| 舌区(左 S4・S5)/右中葉(S4・S5) | 患側を上にした背臥位+約45°の側臥位、頭低位(骨盤を約15〜20cm挙上)。腹臥位ではない |
| 下葉 上−下葉区(S6) | 腹臥位(水平) |
| 下葉 後肺底区(S10) | 腹臥位+頭低位 |
| 下葉 前肺底区(S8) | 背臥位+頭低位 |
| 下葉 外側肺底区(S9) | 患側を上にした側臥位+頭低位 |
| 片肺全体(例:右肺の病変) | 健側を下にした側臥位=右肺なら左側臥位 |
睡眠関連の検査 睡眠日誌(睡眠表)が最も有用なのは睡眠相後退症候群など概日リズム障害=「寝る時刻がずれている」ことそのものが病態だから、日々の就床・起床時刻の記録が診断に直結する。閉塞性睡眠時無呼吸障害とレム睡眠行動障害は終夜睡眠ポリグラフ(PSG)、ナルコレプシーは反復睡眠潜時検査(MSLT)、むずむず脚症候群は問診と睡眠時随伴運動の記録が要る。原発性(精神生理性)不眠症でも睡眠日誌は使うが、それは経過を追う補助であって「最も有用な検査」ではない——時刻のずれが本体ではないので、日誌だけでは診断できない。