腎は排泄だけの臓器ではない。内分泌・代謝機能の低下が、腎不全・透析患者の合併症の正体。
| 腎の機能 | 低下したときに起こること |
|---|---|
| 老廃物・水・電解質の排泄 | 尿毒症、高カリウム血症(致死的不整脈)、高リン血症、体液貯留 |
| エリスロポエチン産生 | 腎性貧血。ESA製剤・鉄剤で治療 |
| ビタミンDの活性化 | 低カルシウム血症、骨ミネラル代謝異常(腎性骨症) |
| レニン分泌・体液量調節 | 高血圧、浮腫 |
| 酸の排泄 | 代謝性アシドーシス |
CKDは蛋白尿などの腎障害またはGFR低下が3か月以上続く状態。進行すると末期腎不全となり透析または腎移植が必要。
腎性貧血は透析の方法によらず起こる。原因はエリスロポエチン産生低下という腎そのものの障害なので、血液透析でも腹膜透析でも合併する。
| 血液透析〈HD〉 | 腹膜透析〈PD〉 | |
|---|---|---|
| 場所 | 医療施設 | 在宅(本人・家族が行う) |
| 頻度・通院 | 週3回程度の通院 | 連日自宅で交換し、通院は月1〜2回 |
| 除水の仕方 | 間欠的・短時間に一気に引く | 持続的・緩徐に引く |
| 循環動態 | 血圧変動が大きい(透析後の低血圧) | 血圧変動は小さく安定 |
| アクセス | 内シャント(動静脈瘻) | 腹腔カテーテル |
| 固有の合併症 | 不均衡症候群、シャント閉塞 | 腹膜炎、被囊性腹膜硬化症 |
| 共通の合併症 | 腎性貧血・高カリウム血症・骨ミネラル代謝異常・高血圧 | 同左(腎性貧血はどちらでも起こる) |
「腹膜透析は週2回程度の通院が必要」は誤り → 通院は月1〜2回。週2〜3回通うのは血液透析。
「腹膜透析は血液透析より血圧変動が大きい」は誤り → 持続的に緩徐に除水するのでむしろ小さい。
「透析患者は身体障害者手帳を取得できない」は誤り → 透析を要する腎機能障害は内部障害として手帳の対象。
「シャント側の手の運動は禁忌である」は誤り → 運動そのものは可。禁じられているのは血圧測定・採血・圧迫。
透析の生活指導の選択肢で「〜の摂取は制限しない」と書いてあるものは、まず誤りと判断してよい。制限をひっくり返す誤答が定番。
| 型 | 機序 | 代表疾患 |
|---|---|---|
| 圧痕性(押すと凹む) | 血管内から水が漏れ出る=膠質浸透圧の低下・静脈圧の上昇・血管透過性の亢進 | ネフローゼ症候群、肝硬変、心不全、熱傷、低栄養 |
| 非圧痕性(押しても凹まない) | ムコ多糖類・ヒアルロン酸が間質に沈着し、水が自由に動かない | 甲状腺機能低下症(粘液水腫) |
非圧痕性浮腫=粘液水腫=甲状腺機能低下症。他の候補(ネフローゼ・肝硬変・心不全・熱傷)は機序が違っても全部「水が漏れる型」=圧痕性なので一つだけ浮く。
| 吐血の性状 | 意味 |
|---|---|
| 鮮紅色の大量吐血 | 食道静脈瘤破裂など、胃酸に触れる時間が短い出血 |
| コーヒー残渣様 | 胃・十二指腸からの出血。胃酸で血色素が変性した色 |
「門脈圧の低下が原因」は誤り → 亢進。「吐血はコーヒー残渣様」は誤り → 鮮紅色。「初期は内視鏡で赤色にみえる」は誤り → 初期は青色で、赤色調は破裂前のRC sign。
肝硬変の患者の大量吐血=食道静脈瘤破裂。出血性胃炎・逆流性食道炎でも吐血はありうるが大量吐血の主因にならない。吻合部潰瘍は胃切除後の合併症、アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全でつかえ感・嚥下障害が主症状。
| 項目 | 食道癌 |
|---|---|
| 性差 | 男性に多い |
| 組織型 | 扁平上皮癌が大半(日本)。欧米では腺癌が増加 |
| 好発部位 | 胸部中部食道(頸部食道ではない) |
| 危険因子 | 飲酒・喫煙(併用でリスク相乗)、熱い飲食物 |
「ピロリ菌が食道癌の発症に関与する」は誤り → ピロリ菌は胃癌・胃潰瘍・MALTリンパ腫の因子。「高血圧が危険因子」も誤り。
胃・十二指腸潰瘍の二大原因はヘリコバクター・ピロリ菌とNSAIDs。心窩部痛・吐血(コーヒー残渣様)・下血(黒色便)をきたす。
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ〈COX〉を阻害してプロスタグランジン産生を抑える。これが鎮痛・抗炎症作用の本体だが、胃粘膜を保護するプロスタグランジンまで減るため防御が破綻する。予防にはPPIの併用が有効。
| 薬剤 | 代表的な副作用 |
|---|---|
| NSAIDs | 胃潰瘍・消化管出血、腎機能障害(腎血流低下)、アスピリン喘息 |
| 副腎皮質ステロイド | 多幸感などの精神症状、骨粗鬆症、中心性肥満・満月様顔貌、易感染性、高血糖、消化性潰瘍 |
| インスリン・SU薬 | 低血糖 |
「胃潰瘍/多幸感/骨粗鬆症/中心性肥満/低血糖」が並ぶ形は繰り返し出る定番。NSAIDsの答えは胃潰瘍、多幸感・骨粗鬆症・中心性肥満はステロイド、低血糖は血糖降下薬と機械的に切れる。
| 型 | 感染経路 | 慢性化 | ワクチン |
|---|---|---|---|
| A型 | 経口(糞口)感染・生水・生カキ | しない(急性で治癒) | あり |
| B型 | 血液・体液(母子感染・性行為・針刺し) | しうる | あり |
| C型 | 血液(輸血・針刺し) | 高率にする | なし |
| E型 | 経口感染(加熱不十分な肉) | 原則しない | ― |
「A型肝炎の慢性化率は約20%」は誤り → A型は慢性化しない。「慢性肝炎の原因ウイルスで最も多いのはB型」も誤り → C型。
所見はすべて①肝細胞機能(合成能・解毒能)の低下と②門脈圧亢進の2本から導ける。
| 病態 | 生じる所見 |
|---|---|
| 低アルブミン血症(合成能低下) | 腹水貯留・下腿浮腫(圧痕性) |
| 凝固因子の合成低下+脾機能亢進による血小板減少 | 出血傾向・易出血性の紫斑 |
| アンモニア解毒能の低下 | 肝性脳症(羽ばたき振戦・意識障害・見当識障害) |
| ビリルビン処理能の低下 | 黄疸 |
| 門脈圧亢進(側副血行路の発達) | 食道・胃静脈瘤(破裂で大量吐血)、腹壁静脈怒張、痔核、脾腫 |
肝不全で問われる引っかけ。
・血小板は増加ではなく減少する
・高アルブミン血症ではなく低アルブミン血症
・肝性脳症は炎症性の「脳炎」ではない。アンモニア蓄積による代謝性の意識障害
・門脈圧亢進で生じるのは痔核であって裂肛ではない(裂肛は便秘による肛門の裂創)
リハでは出血傾向による打撲・転倒に注意し、腹水による横隔膜挙上で息切れ・易疲労が出ることを見込んで負荷を決める。
| 段階 | 症状 | 断酒による可逆性 |
|---|---|---|
| アルコール性脂肪肝 | ほぼ無症状(腹痛は出ない) | 可逆(改善する) |
| アルコール性肝炎 | 発熱・腹痛・黄疸と症状が強い。重症化しうる | 可逆 |
| アルコール性肝硬変 | 腹水・黄疸・肝性脳症など | 不可逆。線維化・結節は正常化しない |
「アルコール性肝炎は自覚症状に乏しい」「アルコール性脂肪肝では腹痛がみられる」は両方とも誤り=症状の入れ替え。無症状なのは脂肪肝、症状が強いのが肝炎。
| 急性膵炎 | 慢性膵炎 | |
|---|---|---|
| 成因 | アルコールが最多、次いで胆石(女性では胆石性が多い) | アルコールが最多 |
| 好発 | 中年男性(60歳以上の女性ではない) | 中年男性 |
| 症状 | 上腹部の激痛と背部への放散痛、悪心・嘔吐 | 反復する腹痛 |
| 検査 | 血清・尿アミラーゼ、リパーゼの上昇 | 画像で膵石・膵管拡張 |
| 特徴的所見 | 重症例は循環不全・呼吸不全・腎不全=多臓器不全に至り死亡率が高い | 膵石・糖尿病(内分泌低下)・脂肪便(外分泌低下) |
急性膵炎の設問で並ぶ誤答は、ほぼ慢性膵炎の所見の混入。「膵石がみられる」「初期から糖尿病を合併する」はどちらも慢性膵炎のもの。また「重症での死亡率は1%未満」も誤りで、重症急性膵炎の死亡率は数〜十数%に達する。
切り分けは「腸管が物理的にふさがっているか(機械的)/動きが止まっているか(機能的)」の一点。リハ場面で問われるのは長期臥床=機能的(麻痺性)イレウス。
| 機械的イレウス | 機能的イレウス | |
|---|---|---|
| 本体 | 腸管腔が物理的に閉塞 | 閉塞はないが腸管運動が止まる |
| 原因 | 開腹術後の腹腔内癒着(最多)・大腸癌などの腫瘍・腸重積・鼠径ヘルニアや内ヘルニアの嵌頓・糞塊 | 長期臥床(不動)・麻痺性=腹膜炎・開腹術直後・脊髄損傷・低カリウム血症・抗コリン薬/痙攣性=鉛中毒など |
| 腸雑音 | 亢進(金属音)。閉塞部より上で腸が戦う | 減弱〜消失 |
| 下位分類 | 血流障害のない単純性/血流が絞扼される複雑性(絞扼性)=緊急手術 | 麻痺性(大多数)・痙攣性 |
「長期臥床 ─ 機械的イレウス」は誤り → 長期臥床は腸管が詰まっているわけではないので機能的(麻痺性)イレウス。逆に腹腔内癒着・大腸癌・腸重積・内ヘルニアはすべて機械的。
| 病原体 | 関連する腫瘍 |
|---|---|
| B型・C型肝炎ウイルス | 肝細胞癌(慢性肝炎→肝硬変→肝癌) |
| EBウイルス | Burkittリンパ腫、上咽頭癌、Hodgkinリンパ腫 |
| HTLV-I | 成人T細胞白血病/リンパ腫〈ATL〉 |
| ヒトパピローマウイルス〈HPV〉 | 子宮頸癌(16・18型などの高リスク型。ワクチンで予防) |
| ヘリコバクター・ピロリ菌 | 胃癌、MALTリンパ腫(慢性萎縮性胃炎を経る) |
「A型肝炎ウイルス ─ 肝細胞癌」は誤りの組合せ。A型は経口感染で急性肝炎を起こすが慢性化せず、発癌に関与しない。肝細胞癌の原因ウイルスはB型・C型。
軸は「慢性化するか」。A型・E型は急性で終わるので肝硬変にも肝癌にもならない。B型・C型は慢性化し、肝硬変→門脈圧亢進→食道静脈瘤、および肝細胞癌へつながる。