肩を直接打った/手をついて倒れた、で分岐する。エックス線で何を見るかまで問われる。
| 損傷 | 受傷機転 | エックス線所見 | 治療 |
|---|---|---|---|
| 鎖骨骨折 | 転倒して手をつく・肩を打つ | 中央1/3に最多。骨皮質の連続性が途絶え骨折線がみえる | 多くは保存(鎖骨バンド) |
| 肩鎖関節脱臼 | 肩を直接打撲(ラグビーなどコンタクトスポーツの転倒) | 鎖骨遠位端が上方へ偏位し肩鎖関節の裂隙が開大。骨折線はない | Rockwood分類(Ⅰ〜Ⅵ)で決定。軽症は保存 |
| 術後翌日に | 可否 |
|---|---|
| 手指・手関節・肘の自動運動 | 行う。固定していない遠位関節を動かして浮腫と拘縮を防ぐ=術直後から始める第一手 |
| 肩関節の他動可動域練習 | まだ行わない。骨接合部に剪断力がかかり再転位の危険。振り子運動などから段階的に |
| 肩関節挙上の等張性(抵抗)運動 | 行わない。筋収縮が骨片を引く。まずは等尺性から |
| 患部への超音波療法 | 行わない。金属内固定材のある部位への超音波は避ける(発熱・緩みの懸念) |
| 全身安静のためベッド上臥床 | 誤り。上肢の骨折で臥床させる理由はなく、離床・歩行は当日から |
上肢骨折の術直後を問われたら「固定部位の遠位から動かす」の一手で足りる。骨折部そのものを動かす選択肢・安静を強いる選択肢・物理療法を当てる選択肢は全部消える。
スポーツ外傷の肩痛+単純エックス線の設問で「腱板断裂」は選べない。腱板は軟部組織なので単純エックス線に描出されない(MRI・超音波で評価する)。
肩甲上腕関節の脱臼は前方(前下方)脱臼が圧倒的多数。外転・外旋を強制されて骨頭が前下方へ逸脱する。若年者に多く、反復性脱臼へ移行しやすい。
| 関節 | 好発する脱臼方向 | 補足 |
|---|---|---|
| 肩(肩甲上腕) | 前方(前下方) | 外転・外旋の強制。反復性脱臼に移行 |
| 肘 | 後方(約90%) | 手をついて肘が過伸展。前腕骨が後方へ |
| 股 | 後方 | 屈曲・内転・内旋位(ダッシュボード損傷)。坐骨神経麻痺に注意 |
| 胸鎖 | 前方 | 後方脱臼はまれだが気管・大血管を圧迫し危険 |
| 足 | 後方・後外方 | 骨折を伴うことが多い |
肩=前/肘=後/股=後/胸鎖=前。組合せ問題はこの4つで解ける。「肩=後方」「股=前方」「足=前方」はいずれも誤り。
腱板断裂は棘上筋腱の断裂が最多。中高年に好発し、挙上時痛と夜間痛を訴える。
| 徒手検査 | 陽性が示すもの・方法 |
|---|---|
| drop arm test | 腱板(棘上筋)断裂。外転位に挙げた腕をゆっくり下ろせず途中で急に落下する |
| painful arc(有痛弧) | 腱板断裂・インピンジメント。外転60〜120°で疼痛 |
| anterior apprehension test | 肩関節前方不安定性(反復性脱臼)。外転・外旋で脱臼の不安感 |
| Yergason test | 上腕二頭筋長頭腱炎。前腕回外に抵抗→結節間溝部の痛み |
| Speed test | 上腕二頭筋長頭腱 |
| Morley test | 胸郭出口症候群。鎖骨上窩を圧迫→上肢に放散痛 |
| Roos test | 胸郭出口症候群 |
| Thompson test | アキレス腱断裂。腓腹筋を把握して足の底屈が起こるかをみる |
Thompson testは肩の検査ではない。肩の選択肢群に混ぜ込まれる定番の紛れ肢。
誤答肢は「若年者に多い/予後不良/感染性疾患/手術療法が優先」の4パターンで作られる。全部誤りと覚えてよい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 好発年齢 | 小児(5〜8歳がピーク)。老年期はまれ |
| 受傷肢位 | 肘伸展位で手をついて転倒=伸展型が大多数。屈曲位受傷は少数 |
| 最重要合併症 | 前腕の循環不全 → Volkmann拘縮(阻血性拘縮) |
| 神経合併症 | 正中神経(前骨間神経)・橈骨神経の麻痺 |
| 後遺変形 | 内反肘(gun-stock deformity)。外反肘ではない |
| 治療 | 非転位・軽度転位は保存(ギプス固定)が原則。著明な転位や合併症で手術(鋼線刺入) |
骨折部の腫脹による血管圧迫、あるいは鋼線刺入による損傷で前腕がコンパートメント症候群に陥る。前腕の強い疼痛・腫脹・末梢の色調不良・他動伸展時痛があれば緊急。放置すると手指屈筋群の阻血性拘縮=Volkmann拘縮を残す。
| 損傷 | 後遺変形・合併症 |
|---|---|
| 上腕骨顆上骨折 | 内反肘・Volkmann拘縮 |
| 上腕骨外顆骨折 | 外反肘 → 遅発性尺骨神経麻痺(肘部管症候群) |
| 上腕骨内側上顆骨折 | 尺骨神経障害。外反肘の原因にはならない |
| 尺骨肘頭骨折 | 肘伸展機構(上腕三頭筋)の障害 |
| 橈骨頭(小頭)骨折 | 前腕の回旋制限 |
外顆=外反肘/顆上=内反肘。「外は外、顆上は内」と対で覚える。外反肘は後年の尺骨神経麻痺の原因になる点まで問われる。
前腕で「骨折+脱臼」が同時に起こる冠名骨折はこの2つだけ。対で覚える。
| 名称 | 骨折する骨 | 脱臼する関節 |
|---|---|---|
| Monteggia骨折 | 尺骨骨幹部(近位) | 橈骨頭(小頭)の脱臼 |
| Galeazzi骨折 | 橈骨遠位骨幹部(遠位1/3) | 遠位橈尺関節(DRUJ)の脱臼 |
折れる骨と外れる側は必ず逆になる。Monteggiaは尺骨が折れて橈骨頭が外れる、Galeazziは橈骨が折れて尺骨側(遠位橈尺関節)が外れる。
「Monteggia骨折 ― 上腕骨」は誤り。前腕(尺骨)の骨折である。部位を問う組合せ問題では上腕骨と書かれて出る。
| 名称 | 遠位骨片の転位 | 受傷肢位 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Colles骨折 | 背側(手背側) | 手関節背屈(伸展)位で手をつく | フォーク状(dinner fork)変形。中高年女性・骨粗鬆症に多い |
| Smith骨折 | 掌側 | 手関節掌屈位で手をつく | 逆Colles骨折とも呼ばれる |
| Barton骨折 | 背側または掌側 | ― | 橈骨遠位端の関節内骨折(脱臼骨折の形をとる) |
| chauffeur's骨折 | ― | ― | 橈骨茎状突起の骨折 |
Garden分類は大腿骨頸部骨折の分類。「Colles骨折の分類にGarden分類を用いる」という選択肢は誤り。
| 損傷 | 部位 | 要点 |
|---|---|---|
| 舟状骨骨折 | 手根骨 | 転倒して手をついて受傷。血行に乏しく偽関節・骨壊死を起こしやすい。受傷直後のエックス線に写らないことがある |
| 月状骨脱臼 | 手根骨 | 正中神経の圧迫を伴うことがある |
| Kienböck病 | 月状骨 | 月状骨軟化症(無腐性壊死)。外傷ではなく慢性の骨壊死 |
| Bennett骨折 | 第1中手骨基部 | 関節内骨折+亜脱臼。母指CM(手根中手)関節に生じ、整復・固定を要する |
| Rolando骨折 | 第1中手骨基部 | Bennett骨折の粉砕型 |
Bennett骨折は第1中手骨。月状骨・舟状骨・尺骨・橈骨はいずれも別の病態であり、選択肢に並んでも選ばない。
組合せ問題は上肢の知識だけでは解けず、全身の冠名骨折が並ぶ。ここで一括して押さえる。
| 骨折名 | 部位 | 内容 |
|---|---|---|
| Colles | 橈骨遠位端 | 背側転位・フォーク状変形 |
| Smith | 橈骨遠位端 | 掌側転位 |
| Barton | 橈骨遠位端 | 関節内骨折 |
| chauffeur's | 橈骨茎状突起 | ― |
| Monteggia | 尺骨 | 尺骨骨幹部骨折+橈骨頭脱臼 |
| Galeazzi | 橈骨 | 橈骨遠位骨幹部骨折+遠位橈尺関節脱臼 |
| Bennett | 第1中手骨基部 | 関節内骨折+亜脱臼 |
| Jefferson | 環椎(C1) | 前後弓が破綻する破裂骨折 |
| Malgaigne | 骨盤 | 同側の骨盤輪が前方(恥骨・坐骨枝)と後方(仙腸関節付近)で離断する不安定型。垂直不安定性を伴う |
| Duverney | 腸骨翼 | 骨盤の骨折(骨盤輪は保たれる) |
| Straddle | 両側恥坐骨枝 | 騎乗位骨折 |
| Cotton | 足関節 | 三果骨折(内果・外果・後果) |
| Dupuytren | 足関節 | 腓骨遠位部骨折+脛腓靱帯損傷 |
ひっかけの定番=「Bennett―脛骨」「Jefferson―大腿骨」「Cotton―大腿骨/橈骨」「Dupuytren―第1中手骨」「Straddle―上腕骨」「Smith―上腕骨」「Duverney―橈骨」。骨盤に関わるのはMalgaigne・Duverney・Straddleの3つ、足関節はCotton・Dupuytrenの2つとまとめて覚える。