| ソケット | 荷重・懸垂 | 見分け方・適応 |
|---|---|---|
| PTB式(Patellar Tendon Bearing/膝蓋腱支持) | 膝蓋腱を主な耐圧部とする部分荷重。カフベルトで懸垂 | 標準的な下腿義足。耐圧部と除圧部を分けて作る |
| TSB式(Total Surface Bearing/全表面荷重) | 断端の全表面で荷重を分散。シリコンライナー+ピンで懸垂 | ライナー・ピン・全面接触がキーワード。圧を分散できるので糖尿病・末梢循環障害の例でも選ばれる |
| KBM式 | ソケットの側壁を高くし、大腿骨顆部の上で懸垂(カフ不要) | ライナー+ピンは用いない |
| 在来式 | 差し込み式+大腿コルセットで懸垂 | 旧来の形式 |
| 耐圧部(荷重する) | 除圧部(荷重を避ける) |
|---|---|
| 膝蓋腱・脛骨内側面(前内側面・内側フレア)・前面の骨間部(筋部)・腓腹筋部(膝窩部) | 腓骨頭(総腓骨神経)・脛骨稜・脛骨粗面・脛骨顆部の隆起部・腓骨遠位端・断端末・膝蓋骨 |
「骨が皮下に浅く出ている所と神経の通り道は逃がす。軟部組織が厚い所と平らな骨面で受ける」。腓骨頭を圧迫すると腓骨神経麻痺(下垂足)の危険がある。
| 利点 | 欠点 |
|---|---|
| 断端に密着してピストン運動(ソケット内での断端の上下動)が減る・懸垂性が高い・剪断力を分散して皮膚を守る・衝撃吸収・トリムラインを低くできる | 通気性が乏しく発汗・蒸れ・接触皮膚炎などの皮膚トラブル・装着に手間がかかる・費用 |
写真の判定:ソケット遠位にバルブがあってベルト類が見えない→吸着式。ベルト・バンドが外に見える→非吸着式。ライナーと遠位のピン・ロック機構→ライナー+ピンロック。
| 目的 | 膝継手・機構 | 働き |
|---|---|---|
| 立脚相の安定 | 固定膝(手動ロック膝) | 膝を伸展位で固定。遊脚相の制御はしない |
| 荷重ブレーキ膝 | 体重がかかると制動がかかり膝折れを防ぐ | |
| イールディング機構(yielding) | 荷重下で膝が屈曲しようとしても油圧抵抗でゆっくり曲げ、急な膝折れを防ぐ。坂道・階段の交互降段・不整地で有用 | |
| バウンシング機構 | 立脚初期に膝をわずかに屈曲させて衝撃を吸収 | |
| 多節リンク膝(4節リンクなど) | 瞬間回転中心が後方に移り、立脚相で安定 | |
| 遊脚相の制御 | 定摩擦・可変摩擦膝 | 摩擦で下腿の振り出し速度を制御する |
| 空気圧・油圧(流体制御)・マイクロプロセッサ制御(インテリジェント膝) | 歩行速度の変化に合わせて振り出しを調整 |
イールディング機構は「立脚相の膝折れ防止」であって、膝過伸展の防止や遊脚相の伸展・屈曲補助ではない。振り出し速度の制御は可変摩擦膝(遊脚相)であって荷重ブレーキ膝・イールディング・バウンシング(いずれも立脚相)ではない。
| 使用者 | 優先すること | 例 |
|---|---|---|
| 短断端 | 立脚相の安定性(てこが短く股伸展筋で膝折れを止めにくい) | 膝軸の後方設定・荷重ブレーキ膝・手動ロック膝 |
| 長断端 | 遊脚相の制御(断端で操作でき立脚相は安定させやすい) | 空気圧・油圧制御 |
| 低活動者・高齢者 | 安定性。アライメントによる安定化(膝軸をTKA線より後方に置く) | 固定膝・荷重ブレーキ膝など |
| 不整地を歩く | 立脚相の膝折れ防止 | イールディング機構 |
| 高活動・歩行速度を変える人 | 遊脚相の速度追従 | インテリジェント膝・油圧膝 |
TKA線=大転子(Trochanter)・膝(Knee)・足関節(Ankle)を結ぶ基準線。膝継手軸がTKA線より後方→安定(膝折れしにくい)、前方→膝折れしやすい。
「高齢の切断者には多軸インテリジェント膝」は誤り。インテリジェント膝は重く高価で充電管理も要る、活動性の高い使用者向け。
| 足部 | 特徴 |
|---|---|
| SACH足 | 足関節に可動軸のない一体成型の足部。踵のクッションが底屈の代わりをする。安定重視・低活動者向け |
| 単軸足 | 底背屈の1軸で動く。前後のバンパーで制動 |
| 多軸足(Greissinger足など) | 不整地に対応 |
| SAFE足 | SACH足の改良型。内外側の動きに対応 |
| エネルギー蓄積型足部(フレックス足・Flex-Foot、カーボン板バネ) | 立脚期にたわんで蓄えた弾性エネルギーを蹴り出しで放出し大きな推進力を得る。高活動・スポーツ用 |
チャンネルにロッドを入れたクレンザック継手は背屈遊動・底屈制限。チャンネルにスプリングを入れると背屈補助として働くので、図や条件で使い方を確かめる。遊動=自由に動く、制限=機械的に止める、制動=動きに抵抗をかけて制御する、補助=動きを助ける、と言葉を区別する。
踵接地では床反力が膝の後方を通り膝屈曲モーメントが生じる(正常でも荷重応答期に軽く膝屈曲する)。アライメントはこのモーメントを大きくするか小さくするかで考える。
| 膝が屈曲しすぎる(膝折れ・不安定感) | 膝が屈曲しない(伸展位のまま・突っ張る) |
|---|---|
| ソケット初期屈曲角が過大 | ソケット初期屈曲角が不足 |
| ソケットが足部に対して前方(=足部が後方) | ソケットが足部に対して後方(=足部が前方) |
| 後方バンパー(踵)が硬い・底屈制動が強すぎる・足部が背屈位 | 後方バンパーが軟らかい・足部が底屈位 |
| 大腿四頭筋(膝伸展筋)の筋力低下で膝を支えられない | 断端前面末梢部の疼痛(膝を曲げるとソケット前壁に当たるので避ける) |
「ソケットが足部に対して後方すぎる」「足部が底屈しすぎる」「初期屈曲角が小さすぎる」は膝を伸展(安定)方向にするので、膝折れの原因にはならない。初期内転角・toe-out角は前額面・水平面の設定で、矢状面の膝折れの主因ではない。
下腿義足ソケットには通常わずかな初期内転角を付ける。過不足は「足部のどちら側が浮くか」「断端のどこが痛むか」で現れる。
| 初期内転角 | 静的立位 | 歩行時の断端の圧迫 |
|---|---|---|
| 不足 | 外側荷重となり足部内側が浮く | 断端外側遠位に圧迫感 |
| 過大 | 内側荷重となり足部外側が浮く | 断端内側遠位に圧迫感 |
「内側が浮く=内転不足、外側が浮く=内転過大」。圧迫部位は不足なら外側遠位、過大なら内側遠位。後方バンパー・初期屈曲角・トウブレーク・ソケットの前後位置は矢状面の設定なので、左右の浮き上がりの原因にはならない。
断端を内転位に置いて中殿筋(股関節外転筋)を伸張し働きやすくする設定。不足や外側の支持不足は、立脚期の体幹の義足側への側屈につながる。
| 異常歩行 | 相 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 体幹の義足側への側屈(側方動揺) | 立脚期 | ソケット外壁の高さ不足(外側支持不足)・義足側の股関節外転筋(中殿筋)筋力低下・義足が短すぎる・坐骨支持不良・初期内転角の不足 |
| 過度の腰椎前弯 | 立脚期 | ソケット初期屈曲角の不足・股関節屈曲拘縮・股関節伸展筋(大殿筋)の筋力低下・腹筋弱化 |
| 伸び上がり歩行(vaulting)=遊脚相に健側でつま先立ち | 遊脚期 | 義足が長すぎる・膝継手の摩擦過大(膝が曲がらない)・懸垂不良 |
| 分回し歩行 | 遊脚期 | 義足が長すぎる・膝継手の摩擦が強すぎる・遊脚期の膝屈曲不足 |
| 外転歩行 | 全周期 | 義足が長すぎる・ソケット内壁が高すぎる(会陰部の痛みを避ける)・外転拘縮・坐骨支持不良 |
| 踵の過度の上がり(下腿が後方へ大きく蹴り上がる) | 遊脚期 | 膝継手の摩擦が弱すぎる・伸展補助が弱い |
| ターミナルインパクト(膝の伸展衝撃) | 遊脚終期 | 膝継手の摩擦不足・伸展補助装置が強すぎる |
| フットスラップ | 踵接地直後 | 後方バンパー(ヒールクッション)が軟らかすぎる |
| 踵接地時の足部の回旋(外旋) | 踵接地 | 後方バンパーが硬すぎる(底屈抵抗が強い)・ソケットが緩い |
| 踵接地後の膝折れ(膝の不安定) | 立脚初期 | 膝継手軸が前方すぎる(TKA線より前)・後方バンパーが硬い・股関節伸展筋の筋力低下 |
| 内側ホイップ | 踵離地 | 膝継手軸の回旋設定の誤り(外旋位)・ソケット適合不良 |
「長すぎる→伸び上がり・分回し・外転」「短すぎる→義足側への体幹傾斜」が出発点。膝継手の摩擦は「強い=膝が曲がらない(分回し・伸び上がり)/弱い=曲がりすぎる(踵の過度の上がり・ターミナルインパクト)」。ヒールクッションは「軟らかい=フットスラップ/硬い=踵接地で回旋・膝折れ傾向」。
「外転歩行の原因は義足が短すぎる」「過度の腰椎前弯の原因は初期屈曲角が大きすぎる」「内側ホイップの原因はトウブレークが進行方向に直角(=正常設定)」は誤りの定番。図の問題では、まず立脚期の異常か遊脚期の異常か、矢状面か前額面かで切り分ける。