| 徴候 | 中身・国試での問われ方 |
|---|---|
| 安静時振戦 | 4〜6Hz、丸薬丸め(pill-rolling)。安静時に出て動作で軽減・消失する |
| 固縮(筋強剛) | 他動運動でカクカク抵抗する歯車様固縮、持続的に抵抗する鉛管様固縮 |
| 無動・寡動 | 動作緩慢、仮面様顔貌、小声、小字症 |
| 姿勢反射障害 | 立ち直り反応が低下し易転倒。突進現象(前後に加速し止まれない)。Hoehn & YahrⅢ以降で明らか |
語呂「振・固・無・姿」。歩行は小刻み歩行・すくみ足・突進歩行。
痙縮・深部腱反射亢進・Babinski反射陽性・分回し歩行はいずれも錐体路障害(脳卒中片麻痺)の所見で、パーキンソン病では出ない。パーキンソン病は「固縮」であって痙縮ではなく、腱反射は正常範囲。
運動失調・眼振・動作時振戦は小脳症状で、パーキンソン病の症候ではない。感覚障害も出ない(感覚は保たれる)。ミオクローヌスも主徴候ではない。
| 系統 | 症状 |
|---|---|
| 循環 | 起立性低血圧(血圧低下)・不整脈(心拍調節異常) |
| 発汗 | 発汗異常 |
| 消化管 | 便秘・下痢 |
| 排尿・性機能 | 神経因性膀胱、性機能障害 |
| 瞳孔 | 対光反射異常 |
自律神経症状と間違えやすいもの。振戦=錐体外路(不随意運動)、複視=外眼筋・動眼神経、視力低下=視神経・屈折系。いずれも自律神経障害の症状ではない。
自律神経障害が前面に出る疾患=パーキンソン病・多系統萎縮症(Shy-Drager症候群)・糖尿病性神経障害。
| ステージ | 判定の中身 |
|---|---|
| Ⅰ | 一側性のみ。症状は片側に限局 |
| Ⅱ | 両側性(例:両上肢の固縮)。姿勢反射障害なし・ADLはほぼ自立 |
| Ⅲ | 両側性+姿勢反射障害あり(転倒しそうになる)。日常生活は自立 |
| Ⅳ | 起立・歩行は可能だが介助を要する。転倒しやすく日常生活は高度に障害される |
| Ⅴ | 車椅子・寝たきりで全介助。介助なしの起立・歩行は不能 |
境界は2つだけ。①姿勢反射障害の有無=Ⅱ/Ⅲ ②生活が自立か介助か=Ⅲ/Ⅳ。「日常生活は自立、でも転倒しそう」ならⅢ、「屋内移動に介助が必要」ならⅣ。
よくある誤り。
判定に使うのは運動症状だけ。起立性低血圧(自律神経症状)・四肢の拘縮(重症化・廃用の結果)・Romberg徴候(深部感覚障害の所見)はH&Yの判定基準ではない。
包括的評価スケール。4部構成で押さえる。
| Part | 内容 |
|---|---|
| Ⅰ | 精神機能・行動・気分(知的機能・認知障害を含む) |
| Ⅱ | 日常生活動作 |
| Ⅲ | 運動能力(振戦・固縮・姿勢と姿勢の安定性・歩行・すくみ足) |
| Ⅳ | 治療の合併症(ジスキネジアの持続時間と程度、wearing-off) |
感覚はUPDRSの評価項目に含まれない。パーキンソン病は運動障害が主体で感覚は保たれるため。姿勢・歩行・知的機能・ジスキネジアはすべて含まれる。
コリン作動薬は誤り。ドパミンとアセチルコリンのバランスが崩れるため、使うのは逆の抗コリン薬。β遮断薬(高血圧・不整脈・本態性振戦)・カルシウム拮抗薬(高血圧・狭心症)・インスリン(糖尿病)・NSAIDs・抗菌薬(ペニシリン系/セフェム系)はいずれもパーキンソン病の治療薬ではない。
| 名称 | 特徴 | キーワード |
|---|---|---|
| wearing-off現象 | 薬効の持続時間が短縮し、次の服薬前に症状が悪化。血中濃度に同期し予測できる | 「薬の効用時間が短くなった」 |
| on-off現象 | 服薬時刻・血中濃度と無関係に、スイッチのように突然オン/オフが切り替わる。予測困難 | 「服用後30分で突然動けない」「1日に何度も繰り返す」 |
| ジスキネジア | 薬効ピーク時に出る不随意運動 | 効いている時間帯に出る |
紛らわしい「〜現象」。Cushing現象=頭蓋内圧亢進時の血圧上昇・徐脈/pusher現象=脳卒中後に麻痺側へ押し倒す姿勢異常/Raynaud現象=寒冷・ストレスで手指が蒼白になる末梢循環障害/Westphal現象=Huntington病などで論じる緊張性筋反応/frozen(すくみ足)=歩き出しで足が出ない歩行現象。どれもL-dopaの薬効変動ではない。
| 治療 | 可否と位置づけ |
|---|---|
| リズム刺激(聴覚キュー) | ○ すくみ足・歩行の改善に有効な非薬物療法 |
| 脳深部刺激療法(DBS) | ○ 進行期で薬効が減弱した際に運動症状を改善し、薬剤量も減らせる |
| 経頭蓋磁気刺激法(TMS) | ○ 抑うつ・運動症状への補助的治療 |
| LSVT BIG | ○ 大きな動作を反復する運動療法 |
| ボツリヌス毒素療法 | × パーキンソン病の主症状には適応外。痙縮・眼瞼痙攣・局所ジストニア向けの治療 |
すくみ足・小刻み歩行・突進現象への基本対応は外的手がかり(cue)でリズムと歩幅を確保すること。指導の方向性は「大きく・ゆっくり・リズミカルに」。
| 有効(○) | 悪化させる(×) |
|---|---|
| 床の横線・はしご状の目印をまたぐ(視覚cue) | 二重課題(会話・暗算・お盆のコップを運ぶ) |
| メトロノーム・かけ声・号令でリズムをとる(聴覚cue) | できるだけ速く歩く(突進現象を助長) |
| 等間隔の線を踏みながら歩く | 歩幅を狭める・一歩目を小さく出す |
| 広い場所で歩く | 狭い場所・方向転換(すくみの誘因) |
| 遠くの目標を見て歩く | 足元や目標の手前を注視して歩く |
| 横歩き・階段昇降・スラローム歩行 | 継ぎ足(タンデム)歩行・床の一本線上を歩く |
| 大きな歩幅・大きな動作 | 足関節の重錘バンド・両下肢の弾性包帯 |
視覚cueは進行方向を横切る規則的なパターンでなければ効かない。床の図柄なら市松模様(チェッカー柄)が最良。太い横帯1本は一歩ごとの目印にならず劣り、縦線(進行方向と平行)や逆三角形は手がかりにならず無効。
継ぎ足歩行・一本線上歩行は支持基底面を狭めるため、姿勢反射障害のある患者では転倒リスクを上げるだけ。長下肢装具は筋力・関節可動域に問題のないパーキンソン病には適応がない。弾性包帯は浮腫対策の道具ですくみ足には無効。
| 整備の内容 | 可否と理由 |
|---|---|
| 居室の出入り口を開き戸にする | × 扉を引く・押すために方向転換や後退が必要でバランスを崩す。引き戸が安全 |
| 脱衣場と浴室の段差を解消する | ○ 段差はすくみ足での転倒の誘因 |
| 寝室からトイレの廊下に手すり | ○ 夜間頻尿で使う動線の転倒予防 |
| ベッドに介助バーを設置 | ○ 起き上がり・立ち上がりの支持になり介助負担も減る |
| トイレ前の廊下にはしご状の目印 | ○ 視覚cueとしてすくみ足を解除する |
判断軸は「cueは足す・方向転換と段差は減らす」。
| 疾患 | 決め手になる所見 |
|---|---|
| 進行性核上性麻痺(PSP) | 垂直方向(とくに下方視)の核上性眼球運動障害・後方への易転倒・頸部後屈。L-dopa無効。中脳被蓋の萎縮=ハチドリ徴候。タウオパチー |
| 大脳皮質基底核変性症(CBD) | 左右差の強いパーキンソニズム・失行・他人の手徴候。タウオパチー |
| 多系統萎縮症(MSA) | 小脳失調+パーキンソニズム+自律神経障害(起立性低血圧・膀胱直腸障害)。MRIで橋の十字サイン、小脳・脳幹の萎縮 |
| Lewy小体型認知症 | 幻視・認知機能の変動 |
| 薬剤性パーキンソニズム | 抗精神病薬などによる固縮・無動・振戦 |
取り違えやすい点。PSPで萎縮するのは中脳で延髄ではない。頸部はPSPが後屈・パーキンソン病が前屈で逆。MIBG心筋シンチの心/縦隔比が低下するのはパーキンソン病・Lewy小体型認知症で、PSPでは低下しない。L-dopaが著効するのはパーキンソン病で、PSPは効きにくい。
| 病型 | 旧来の呼称 | 主徴 |
|---|---|---|
| MSA-P | 線条体黒質変性症 | パーキンソニズム優位 |
| MSA-C | オリーブ橋小脳萎縮症 | 小脳失調優位 |
| 自律神経優位型 | Shy-Drager症候群 | 起立性低血圧・膀胱直腸障害 |
進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症はMSAに含まれない(タウオパチーとして別枠)。Friedreich失調症も常染色体劣性遺伝の脊髄小脳変性症の一型で、MSAではない。
MSAは進行期に声帯(外転筋)麻痺を合併し、吸気性喘鳴・睡眠時の上気道閉塞・呼吸困難をきたして突然死の原因となる。一方、失語(大脳の言語野)・拮抗失行(脳梁離断・前頭葉内側)・下方注視麻痺(PSP)・他人の手徴候(CBD)はMSAの合併症ではない。
| 振戦の種類 | 出現場面 | 病巣・疾患 |
|---|---|---|
| 静止時(安静時)振戦 | 安静時。動作で軽減 | 黒質(パーキンソン病) |
| 企図振戦=動作時振戦 | 運動の終末、目標に近づくほど振幅が増す | 小脳皮質〜上小脳脚 |
| 姿勢時振戦 | 姿勢保持時 | 本態性振戦 |
小脳性失調の徴候=測定障害(dysmetria)・企図振戦・反復拮抗運動障害・断綴性言語・眼振。小脳では筋出力そのものは保たれるため運動麻痺は出ず、体性感覚路の障害でないため感覚障害も出ない。ジストニアは大脳基底核(被殻・淡蒼球)の障害による持続性の不随意な筋収縮で、小脳症状ではない。
| 病態 | 所見 |
|---|---|
| アカシジア | じっとしていられず足踏みする静坐不能 |
| 急性ジストニア | 眼球上転・頸部の捻転など、投薬後早期の持続的な異常姿勢 |
| 薬剤性パーキンソニズム | 固縮・無動・振戦 |
| 悪性症候群 | 高熱・筋強剛・自律神経症状・CK上昇 |
| 緊張病症候群(カタトニア) | 昏迷・無言・拒絶症・カタレプシー(蝋屈症)・常同・反響言語/動作・興奮 |
「他者がとらせた不自然な姿勢をそのまま保ち続ける=蝋屈症」なら緊張病症候群。統合失調症などでみられる。
レム睡眠行動障害はパーキンソン病の非運動症状として頻出のため、睡眠障害は病態別に区別しておく。
| 分類 | 疾患 |
|---|---|
| 概日リズム睡眠・覚醒障害 | 睡眠相後退症候群(入眠・覚醒の時刻が遅い方向にずれる)、交代勤務障害 |
| 過眠症 | ナルコレプシー(日中の過度の眠気・情動脱力発作、オレキシン低下) |
| 睡眠時随伴症(パラソムニア) | 睡眠時遊行症(ノンレム睡眠中に歩き回る)、レム睡眠行動障害(夢に伴い大きく体を動かす) |
| 睡眠関連運動障害 | むずむず脚症候群(安静・夜間の下肢の不快感と動かしたい衝動) |
「体内時計のずれ」が問われたら睡眠相後退症候群。レム睡眠行動障害はパラソムニアであって概日リズム障害ではない。