第4章|訓練法

対応過去問 9問 / 難易度 ★★★★☆

訓練法の分類と特徴

主な訓練法

訓練法内容対象
構音位置づけ法構音操作を直接教示する;図や模型を使って位置・動きを理解させる機能性構音障害全般
聴覚刺激法(聴覚的刺激法)正しい音の聴覚的・視覚的モデルを与えて模倣させる被刺激性が高い場合
漸次接近法(シェーピング)構音可能な音から目標音に段階的に近づける難しい音の誘導
音声環境法(キーワード法)目標音が産生できる語(キーワード)を見つけて活用特定音の安定産生
語音弁別訓練正しい音と誤った音の聴き分けを練習識別能力の向上

「聴覚的刺激を与えて模倣させる」=聴覚刺激法。「構音操作を教示して目標音を導く」=構音位置づけ法。「構音可能な音から近づける」=漸次接近法。「目標音が産生できる語を探して活用」=音声環境法(キーワード法)。これらの定義の混同が頻出。

各異常構音の訓練法

鼻咽腔構音の訓練

  • 外鼻孔の閉鎖(鼻をふさいで口腔からの呼気を促す)
  • 口腔から呼気を出す練習

口蓋化構音の訓練

  • 舌背の過剰挙上を抑制する
  • 弁別訓練([t]と[k]の聞き分け)
  • 構音位置づけ法

側音化構音の訓練

  • 音声環境を利用する
  • 語音弁別訓練
  • 異常な舌運動を除去する
  • 構音位置づけ法
  • 鏡を用いた視覚的フィードバック

声門破裂音の訓練

  • 喉頭の緊張を除去する
  • あくびや笑いを利用して喉頭を脱力させる

[k]→[t]置換(軟口蓋音→歯茎音)の訓練

  • 奥舌の挙上練習
  • 構音位置づけ法(軟口蓋での接触を教示)
  • 語音弁別

訓練音の選択と導入順序

[k]→[t]置換の訓練で最も難しい訓練語

  • 「たかい」——語頭に[t]があり[k]が直後に続く;語頭[t]の影響で[k]が[t]に引きずられやすい(同化しやすい)
  • 語頭に目標音が来る語は難しい;語中・語末の方が易しい

側音化構音の訓練導入音

  • イ列音・拗音全般に側音化がある場合、まず[i]母音から導入(最も簡単な音環境)

口蓋化構音(全歯茎音)の訓練導入音

  • [s]から導入(歯茎音の中で構音位置づけがしやすい)

訓練の一般原則(小児)

適切な訓練の原則:

  • 安定してできるまで反復練習
  • 望ましい反応が得られたら即時強化(すぐにほめる)
  • 子どもに合わせたステップ設定
  • 正しいモデルを聴覚的・視覚的に提示
  • 家庭学習を指導する
  • 構音位置づけ法が有効

適切でない訓練:

  • 誤反応の場合に無視する(無視ではなく正しいフィードバックが必要)
  • 月1回の訓練頻度(週1回以上が原則)
  • 誤り音があればすぐに訓練を始める(発達段階・適応基準を確認してから)

3歳5か月でサ行が言えない場合の対応

適切な対応:

  • 自然治癒の可能性を保護者に伝える(3歳台はまだ発達途上)
  • 直接的介入の開始(状況による)
  • 家庭で舌を使う遊びをする
  • 心理的サポート

不適切な対応:

  • サ行音が入る言葉を避けるように指導する(回避を促すことは言語使用を制限し発達を妨げる)

構音類似運動検査

各音の構音類似運動

構音類似運動
[r]開口して舌尖を上顎前歯裏につける
[p]口唇を閉鎖し呼気をためて破裂させる
[h]大きく開口して強く息を吐く
[m]口唇を閉じてそのまま声を出す
[t]上顎前歯裏に舌をつけて破裂させる(舌を歯間に出す必要はない)

[φ](両唇摩擦音)は「口唇を閉鎖して破裂させる」ではなく、口唇を接近させて隙間から息を出す摩擦音。「口唇を閉鎖して破裂させる」は[p]の操作。