第2章|語音・各種聴覚検査
対応過去問 約35問 / 難易度 ★★★★☆
語音聴力検査
2つの指標
| 検査 | 測るもの |
| 語音聴取(了解)閾値 SRT | 語音が50%聞き取れる最小の音圧(2桁数字語表など) |
| 語音明瞭度(最高明瞭度) | 各音圧での正答率の最大値。「ことばの聞き分け(弁別)」の能力 |
- 語表:57式語表・67-S語表(単音節)など。各音圧で正答率を求める
- 語音明瞭度は補聴器適合・人工内耳適応・身体障害等級の重要指標
明瞭度曲線(articulation curve)の型
| 型 | 曲線の特徴 |
| 正常・伝音難聴 | 音圧を上げれば100%に達する(右へ平行移動するだけ) |
| 内耳(感音)性 | 最高明瞭度が100%に届かず頭打ち |
| 後迷路性 | ロールオーバー=音圧を上げると一度上がってから明瞭度が低下する |
「伝音難聴では語音明瞭度が100%に達しない」は誤り。伝音難聴は音圧を上げれば100%に達する。頭打ち・ロールオーバーは内耳性・後迷路性の所見。
自記オージオメトリ(ベケシー/Jerger分類)
仕組み
- 被検者が「聞こえる間はボタンを押し続け、聞こえなくなったら離す」を繰り返し、閾値を自動記録
- 連続音と断続音の2本の曲線を比較する。Jerger(イェルガー)の I〜V型に分類
Jerger分類
| 型 | 連続音と断続音の関係 | 示唆する病態 |
| I型 | ほぼ一致 | 正常・伝音難聴 |
| II型 | 高音域で連続音がやや下方に分離・振幅が小さい | 内耳(蝸牛)性 |
| III型 | 連続音が著明に大きく下方へ低下 | 後迷路性 |
| IV型 | 全周波数で連続音が下方に分離 | 後迷路性 |
| V型 | 連続音が断続音より上方(逆転) | 機能性難聴(心因性・詐聴) |
- 内耳性(II型)は補充現象を反映して振幅(押し離しの幅)が小さくなる
- V型は連続音と断続音の上下が逆転するのが特徴=機能性難聴の手がかり
「V型は内耳性難聴を示す」は誤り。V型=機能性難聴。内耳性はII型、後迷路性はIII・IV型。
補充現象・後迷路性の検査
補充現象(リクルートメント)
- 内耳(外有毛細胞)障害の特徴。小さい音は聞こえにくいのに、少し上げると急に大きくうるさく感じる(ラウドネスの異常増大)
- ダイナミックレンジが狭くなる=補聴器のフィッティングを難しくする
部位診断のための検査
| 検査 | 所見 | 示唆 |
| ABLB(交互両耳ラウドネスバランス) | 難聴耳で補充現象陽性 | 内耳性 |
| SISI(短音増分感度指数) | 高スコア(1dB増分を聞き分ける) | 内耳性 |
| Tone decay(一過性閾値上昇/聴覚疲労) | 持続音で閾値がどんどん上昇(減衰) | 後迷路性(聴神経腫瘍) |
- SISI高値・ABLB陽性・自記オージオII型=内耳性のセット
- 著明なトーンディケイ・自記オージオIII/IV型・ロールオーバー=後迷路性のセット
「SISIが高値=後迷路性」は誤り。SISI高値は内耳性(補充現象陽性)。後迷路性はトーンディケイが著明。
機能性難聴・詐聴の検査
- 機能性(心因性)難聴:器質的異常がないのに聴力低下を訴える。学童期の女児に多い
- 詐聴:意図的に難聴を装う(補償目的など)
見抜く所見
- 純音閾値と語音聴取閾値が乖離(語音の方がはるかに良い)
- ABR・OAEは正常、純音閾値より低い音圧で耳小骨筋反射(SR)が出る
- 自記オージオV型、検査の再現性が乏しい
- ステンガー試験:一側性の詐聴・機能性難聴の検出に用いる
他覚的検査(ABR・OAE・SR)が良好なのに自覚的閾値だけ悪い=機能性難聴・詐聴を疑う。