第5章|小児の聴覚障害

対応過去問 約90問 / 難易度 ★★★★☆

新生児聴覚スクリーニングと早期発見

  • 先天性難聴は出生1,000につき約1〜2人と、新生児マススクリーニング対象疾患の中でも頻度が高い
  • 新生児聴覚スクリーニング(NHS):出生後入院中に実施。自動ABR(AABR)・OAE(耳音響放射)を用いる
  • 結果はパス/リファー(要再検)で表す(「異常」と確定診断するものではない)

1-3-6ルール

時期すること
生後1か月までスクリーニング
生後3か月まで精密聴力検査で確定診断
生後6か月まで補聴器装用・療育開始
OAEは外有毛細胞しか評価しないため、Auditory Neuropathy(後迷路)を見逃す。AABRはより広く拾える。

乳幼児の聴力検査

検査適用月齢の目安方法
BOA(聴性行動反応)0〜6か月音への驚愕・行動反応をみる
COR(条件詮索反応)生後半年〜2,3歳音と光る玩具を連合させ振り向きを条件づけ
遊戯聴力検査/ピープショウ2,3歳〜音に合わせて遊び動作で応答
ABR・ASSR・OAE全月齢(他覚的)睡眠・鎮静下で閾値・神経機能を客観的に推定
  • 月齢・発達に合わせて検査を選ぶのが原則(乳児に純音標準検査はできない)
  • ASSRは周波数別の閾値推定に有用。ABRは神経・閾値の評価に
「乳児には純音聴力検査を行う」は誤り。月齢に応じBOA→COR→遊戯聴力検査、客観的にはABR/ASSR/OAE。

小児難聴の原因

先天性

  • 遺伝性GJB2(コネキシン26)が最多。症候群性(Waardenburg・Pendred・Usher・Treacher Collins・Alport)と非症候群性
  • 胎内感染先天性CMV(最多の非遺伝性・進行性/遅発性に注意)先天性風疹症候群・トキソプラズマ
  • 周産期:低出生体重・重症黄疸(核黄疸)・低酸素

後天性・進行性

  • 細菌性髄膜炎(蝸牛骨化を起こす→人工内耳は早期に)・ムンプス(一側性高度難聴)・反復性中耳炎
  • 前庭水管拡大症(EVA)・CMVは遅発性・進行性・変動性難聴を起こす
スクリーニングをパスしてもCMVやEVAは後から進行する。「新生児期に正常=生涯安心」ではない。

聴覚活用と療育

  • 言語獲得の臨界期があるため早期介入が決定的に重要
  • 補聴器(DSL法・両耳装用)/効果不十分なら人工内耳聴覚活用を図る
  • 場:難聴児通園施設・特別支援学校(聴覚障害)・難聴学級・通級。家庭・保護者支援が土台

言語・コミュニケーション指導法

方法内容
聴覚口話法補聴器・人工内耳の聴覚活用+読話+発話
キュードスピーチ口形+手のサインで音韻を視覚化(読話の弱点を補う)
手話・指文字日本手話/日本語対応手話。視覚言語
トータルコミュニケーション聴覚・口話・手話・文字などあらゆる手段を併用
  • 抽象的・複雑な言語の習得でつまずく「9歳の壁」が知られる

視覚聴覚二重障害(盲ろう)

  • 視覚と聴覚の両方に障害。アッシャー(Usher)症候群=感音難聴+網膜色素変性が代表(進行性に視野狭窄)
  • コミュニケーション手段:触手話・指点字・手のひら書きなど、残存感覚に応じて選ぶ
  • 盲ろう者向け通訳・介助員による支援
Usher症候群は難聴で生まれ、後から視覚(網膜色素変性)が進行する。聴覚だけ評価して見落とさない。