第3章|訓練法

対応過去問 23問 / 難易度 ★★★★☆

各タイプの訓練法

弛緩性構音障害の訓練

  • 筋力強化訓練(筋力低下への直接介入)
  • 舌抵抗訓練
  • プッシング法(声門閉鎖強化)
  • 鼻咽腔閉鎖機能改善訓練

痙性構音障害の訓練

筋緊張を抑制・低下させる介入が基本:

適切な訓練:

  • アイシング(寒冷刺激で筋緊張を抑制)
  • 持続的伸長(ストレッチ)
  • バイブレーション(振動刺激で抑制)
  • 筋のリラクゼーション
  • 呼吸と発声の協調
  • 下顎と舌の分離運動

痙性構音障害に不適切:

  • プッシング法(声門・筋緊張をさらに高める→痙性には禁忌)
  • タッピング(筋緊張を高める刺激)
  • 圧迫刺激

痙性構音障害は筋緊張亢進が本質。タッピング・圧迫・プッシングは筋緊張を高める手技であり禁忌。アイシング・ストレッチ・バイブレーションは筋緊張を抑制するため適切。

失調性構音障害の訓練

  • 発話速度の低下訓練(速度を上げるのは誤り)
  • フレージング法(意図的な休止挿入)
  • タッピング法(拍に合わせる)
  • 代償的発話ストラテジー

「失調性構音障害=発話速度の上昇訓練」は誤り——速度を下げることで安定性が増す。

運動低下性構音障害(パーキンソン病)の訓練

  • 努力性の発声・発話訓練(声を大きく・はっきり出す)
  • リー・シルバーマン音声療法(LSVT/BIG):大きな声を意図的に出す
  • モーラ指折り法(1モーラずつ指を折りながら話す→速度調節)
  • フレージング法
  • タッピング法

不適切な訓練

  • 内緒話法(声量をさらに低下させる→運動低下性には不適切)

運動過多性構音障害の訓練

  • 代償的発話ストラテジーの習得
  • 不随意運動への対処

発話速度調整の訓練法

訓練法内容適応
タッピング法指やリズムに合わせて1音ずつ発話発話速度の調節全般
モーラ指折り法1モーラずつ指を折りながら話すパーキンソン病・速度調節
フレージング法意図的に休止を挿入する速度調節・加速現象への対応
聴覚遅延フィードバック(DAF)自分の声を遅らせて聞く→速度低下発話速度の減速
ポインティングスピーチ五十音表を指さしながら話す速度の大幅な低下・明瞭度補助

「声量低下へのDAF訓練」は誤り——DAFは速度調整の訓練。声量低下にはリー・シルバーマン音声療法などの努力性発声訓練。

鼻咽腔閉鎖機能不全への訓練・装具

訓練法

鼻咽腔閉鎖機能改善に有効:

  • ハミング(軟口蓋を意識的に挙上)
  • 軟口蓋の挙上介助
  • ブローイング(吹く練習→口腔内圧を高める)

鼻咽腔閉鎖機能改善に不適切:

  • タッピング(鼻咽腔閉鎖の訓練ではない)
  • ハフィング(咳払い様呼気——声門機能の訓練)
  • [s]の持続発声(口腔内圧・呼気流の訓練)

鼻咽腔閉鎖不全の訓練として「ハミング+軟口蓋挙上介助」が中心。「タッピング・ハフィング・[s]発声」は鼻咽腔への直接訓練ではない。

装具・補装具

装具目的・対象
軟口蓋挙上装置(PLP)鼻咽腔閉鎖不全——軟口蓋を機械的に挙上
パラタルリフトPLPと同義(軟口蓋挙上)
舌接触補助装置(PAP)舌の機能低下——舌が口蓋に接触しやすくする
ペーシングボード発話速度の調節(神経原性吃音にも使用)
ピックアップマイク声量補助(声量低下への代償手段)
五十音表発話補助(ポインティングスピーチ)

「エピテーゼ」は顔面の人工補綴物(眼・耳・鼻など)であり鼻咽腔閉鎖不全への装具ではない。「鼻咽腔瘻閉鎖床」は器質性(口蓋裂など)の装具——運動障害性では軟口蓋挙上装置を使う。「DAFは声量低下の訓練」は誤り。

鼻咽腔閉鎖不全の症状

  • 開鼻声
  • 鼻漏れによる子音の歪み(摩擦音・破裂音の弱化)

発話明瞭度改善のアプローチ

発話明瞭度を改善するもの:

  • 発声訓練
  • 発話速度の調節
  • プロソディ訓練
  • 構音機関の運動訓練

発話明瞭度改善にならないもの語音弁別訓練(聴知覚の訓練——発話の産生には直結しない)

不適切な訓練初期から発話速度を上昇させる(速度は下げるのが原則)