第3章|訓練法

対応過去問 22問 / 難易度 ★★★★☆

3-1 間接訓練(食物を用いない)

嚥下反射惹起遅延への対応

  • 咽頭冷圧刺激法(アイスマッサージ):前口蓋弓を冷圧刺激
  • 刺激部位:前口蓋弓(口腔前庭・硬口蓋・喉頭室・喉頭蓋谷ではない)

頭部挙上訓練(シャキア法)

  • 適応:食道入口部開大不全・咽頭残留
  • 方法:つま先を見るように頭部を挙上(肩が浮くまで挙上は誤り)
  • 目的:舌骨上筋群の強化→食道入口部の開大

「肩が浮くまで頭部を挙上させる」は誤り(つま先を見るように頭部のみ挙上)。
2歳の脳性麻痺児にシャキア法は行わない(成人向け訓練)。

K-point刺激法

  • 目的:開口反射・嚥下反射の惹起(唾液分泌の誘発は誤り)
  • 意識レベルが低い症例・開口困難な症例に適応

メンデルゾーン法

  • 目的:食道入口部の開大時間延長・喉頭挙上の持続
  • 機序:甲状軟骨を意識的に挙上保持する

その他の間接訓練

訓練法目的
バルーン拡張法食道入口部開大不全の改善
ブローイング法軟口蓋挙上・鼻咽腔閉鎖の練習(嚥下反射惹起ではない)
舌根後退運動喉頭蓋谷残留の改善
随意的咳訓練誤嚥喀出困難への対応
バンゲード法小児の摂食訓練(脱感作・口腔感覚の正常化)
ガム・ラビング小児の口腔感覚刺激

「バルーン拡張法→鼻咽腔閉鎖の強化」は誤り(食道入口部の開大が目的)。
「ブローイング法→嚥下反射の惹起」は誤り(軟口蓋・鼻咽腔閉鎖が目的)。
「鼻腔への逆流→舌尖挙上訓練」は誤り(鼻咽腔閉鎖の訓練が必要)。

パーキンソン病の訓練法

パーキンソン病に用いる訓練:フレージング法・メトロノーム法・リー・シルバーマン法・リズミックキューイング法

チューブ法(バルーン法)はパーキンソン病の訓練ではない(食道入口部狭窄の訓練)。

3-2 直接訓練(食物を用いる)

直接訓練の姿勢・代償法

病態有効な姿勢・手技
一側咽頭・喉頭麻痺頸部回旋位(患側に回旋)
嚥下反射惹起遅延頭部前屈位(顎を引く)
喉頭挙上障害頭部挙上訓練・リクライニング位
食道入口部開大不全バルーン拡張・メンデルゾーン法
不顕性誤嚥+咽頭残留側臥位

「軟口蓋挙上不全→頚部後屈位」は誤り(後屈は誤嚥リスクが高まる)。
「食道入口部開大不全→交互嚥下」は誤り(バルーン拡張・メンデルゾーン法が適応)。

咽頭残留への対応

咽頭残留の除去に用いる方法:努力嚥下・頸部回旋・複数回嚥下・交互嚥下

息こらえ嚥下法は咽頭残留除去には用いない(声門閉鎖強化が目的)。
前舌保持嚥下訓練(舌保持嚥下)も咽頭残留除去には用いない(舌根後退訓練の一種)。

嚥下手技

手技目的
息こらえ嚥下法(息止め嚥下)嚥下反射惹起前の声門閉鎖強化
努力嚥下咽頭嚥下圧の生成・咽頭残留軽減
交互嚥下咽頭残留の除去・声門閉鎖不全への対応
複数回嚥下咽頭残留の除去
メンデルゾーン法食道入口部開大時間の延長

直接訓練の開始条件・中止条件

開始に適切でない状態

  • 意識レベルJCS20以上(意識障害あり)
  • 血中酸素飽和度95%未満

開始可能な状態

  • 自力歩行が困難でも可
  • 気管切開を受けていても可(カフ管理で)
  • 咳嗽反射が保たれている
  • 血中酸素飽和度95%以上

中止の要因:発熱・意識レベルの低下・CRP値の上昇・血中酸素飽和度の低下

「血清アルブミン値の低下」は栄養状態の指標だが直接訓練の中止を判断する直接要因ではない
「誤嚥がないことが開始条件」は誤り(誤嚥があっても訓練可能な場合がある)。

訓練食の性状(嚥下反射惹起遅延)

嚥下反射惹起遅延がある患者の訓練食:冷たい・均一な性状のもの

流動性が高いもの・細かくきざんだものは不適切(誤嚥リスク)

誤嚥時の対応

嚥下訓練中に激しく誤嚥した場合の対応(優先順位):

  1. 咳を促す
  2. 口腔咽頭内を吸引する
  3. 側臥位にする