第1章|口腔・咽頭・鼻・唾液腺

対応過去問 13問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:耳鼻咽喉科の「のど・はな・くち」を扱います。ここは構音(ことばの土台)嚥下(のみこみ)の解剖そのもの——咽頭・喉頭は食物と空気の交差点で、嚥下障害の舞台です。中耳と鼻をつなぐ耳管滲出性中耳炎→伝音難聴を生み、聴覚障害にもつながります。この章では①咽頭の区分 ②咽頭腫瘍と睡眠時無呼吸 ③鼻・副鼻腔と嗅覚 ④口腔粘膜 ⑤唾液腺を、過去問の頻出ポイントに絞って整理します。

1-1 咽頭の区分と解剖(上・中・下咽頭)

咽頭は上から上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つに分けます。「どの構造がどの区分に属するか」がそのまま問われます。

区分おもな構造・特徴
上咽頭(鼻咽腔)アデノイド(咽頭扁桃)・耳管咽頭口。上咽頭癌はEBウイルスと関連
中咽頭舌根・口蓋扁桃・軟口蓋・咽頭後壁中部中咽頭癌はHPVと関連
下咽頭梨状陥凹・輪状後部・咽頭後壁下部。食物の通り道
「中咽頭に属するのはどれか」=舌根・口蓋扁桃:中咽頭の代表は舌根と口蓋扁桃。ひっかけの舌体(舌の前2/3)・硬口蓋・頬粘膜は「口腔」であって咽頭ではない。舌は「舌体=口腔/舌根=中咽頭」で境界が変わる点に注意。

喉頭内視鏡でみえる下咽頭・喉頭の解剖

梨状陥凹(梨状窩):喉頭内視鏡で喉頭の左右外側にみえる下咽頭のくぼみ=梨状陥凹で、飲食物はここを通って食道へ向かう。喉頭内視鏡の像では、喉頭蓋谷(舌根と喉頭蓋の間)・声帯・披裂喉頭蓋ヒダ・咽頭後壁との位置関係を押さえる。梨状陥凹は誤嚥や食物残留を評価する要所で、嚥下内視鏡(VE)でも観察する。

1-2 咽頭・上気道の腫瘍と睡眠時無呼吸

咽頭癌とウイルス

中咽頭癌=ヒト乳頭腫ウイルス(HPV):近年増加している中咽頭癌はHPV(16型など)と関連が深く、HPV関連例は比較的予後良好とされる。上咽頭癌はEBウイルス、と「上=EB/中=HPV」で対にして覚える。喫煙・飲酒も頭頸部癌の重要な危険因子。
ウイルスの取り違え注意:アデノウイルス・ムンプスウイルス・水痘帯状疱疹ウイルスは咽頭癌の主因ではない。「中咽頭癌と関係の深いウイルス」を問われたらヒト乳頭腫ウイルスを選ぶ。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

閉塞性睡眠時無呼吸の治療:上気道(軟口蓋・咽頭)の狭窄・虚脱が原因。治療は①体重の減量 ②下顎を前方保持する下顎プロテーゼ(口腔内装置) ③経鼻的持続陽圧呼吸療法(n-CPAP) ④軟口蓋咽頭形成術(UPPP)など、気道を広げる方向で行う。
SASの治療でないもの=喉頭形成術I型:甲状軟骨形成術(喉頭形成術)I型は声帯を内方に寄せて声を改善する音声改善手術で、気道を広げるSAS治療ではない。「気道を広げるか/声を変えるか」で仕分ける。

1-3 鼻・副鼻腔と嗅覚

副鼻腔と鼻腔の開口部

副鼻腔は4つ:上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞の4対。乳突洞(乳突蜂巣)は側頭骨にあり中耳と交通する空洞で、副鼻腔ではない——「副鼻腔でないもの」で乳突洞を選ばせる。
開口部そこに開くもの
下鼻道鼻涙管(涙が鼻に流れる管)
中鼻道上顎洞・前頭洞・前〜中篩骨洞
上鼻道後篩骨洞
蝶篩陥凹蝶形骨洞
「下鼻道に開口するのはどれか」=鼻涙管:副鼻腔(上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞)は中鼻道・上鼻道・蝶篩陥凹に開く。下鼻道に開くのは鼻涙管だけ

鼻出血

鼻出血の対応で誤り=仰臥位:出血部位の多くは鼻腔前方(キーゼルバッハ部位)で、小児やアレルギー性鼻炎で頻度が高い。止血困難例は鼻腔後方からの出血が多い。抗凝固薬服用者は出血しやすい。対応は座位・やや前傾で小鼻を圧迫——仰臥位は血液が咽頭へ流れ込むため望ましくない(誤り選択肢)。

嗅覚障害と嗅覚検査

嗅覚のしくみと検査:においを感じる嗅細胞は嗅裂(鼻腔上部)の粘膜上皮にある。嗅覚障害は好酸球性副鼻腔炎・頭部外傷などで生じる。静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)で無反応なら嗅覚回復は困難とされる。
基準嗅覚検査(T&Oオルファクトメーター)の方向:基準嗅覚検査は薄い(低濃度)検査液から濃い方へ進める上昇法で閾値を測る。「濃い検査液から下降法で行う」は誤り。

1-4 口腔粘膜の疾患

ウイルスによる口腔病変:口腔にできるウイルス感染症の代表は疱疹性歯肉口内炎(単純ヘルペス)・手足口病(コクサッキー等)白板症は前癌病変、黒毛舌は菌交代現象、口腔カンジダ症は真菌感染でありウイルスではない。
口腔粘膜所見原因
コプリック斑麻疹(頬粘膜の白色斑)
リガ・フェーデ病下顎の先天歯・乳歯による舌下面の潰瘍
ベドナーアフタ人工乳首・指などの機械的刺激
ヘルパンギーナコクサッキーウイルス(熱傷ではない)
フォーダイス斑異所性の皮脂腺(風疹ではない)
誤った組合せ=「ヘルパンギーナ―熱傷」「フォーダイス斑―風疹」:ヘルパンギーナはコクサッキーウイルス感染、フォーダイス斑は正常でもみられる異所性皮脂腺。原因の取り違えを選ばせる問題。

1-5 唾液腺の疾患

唾石症と唾液腺腫瘍

唾石症の特徴=摂食時の腫脹と疼痛:唾石は顎下腺に最も多い(耳下腺ではない)。食事のときに唾液が出ようとして石で流れがせき止められ、摂食時に唾液腺が腫れて痛む(唾疝痛)のが特徴。唾液腺腫瘍で最も多いのは多形腺腫(ワルチン腫瘍ではない)。耳下腺腫瘍は顔面神経麻痺がなくても悪性を否定できない

流行性耳下腺炎(ムンプス)

ムンプスの合併症=睾丸炎・感音難聴:ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、思春期以降の男性で精巣炎(睾丸炎)、髄膜炎、そして高度の感音難聴(ムンプス難聴、多くは片側)を合併しうる。唾石・口腔乾燥症・乾燥性角結膜炎はシェーグレン症候群の所見で、ムンプスとは異なる。学校保健では耳下腺腫脹が出た後5日を経過し全身状態が良好になるまで出席停止(解熱すれば登校可、ではない)。
ST接続:ムンプス難聴は突然の高度感音難聴で、小児では気づかれにくく片側性の重度難聴として発見されることがあります。難聴の医学的原因として聴覚障害聴覚系のノートにつながる重要トピックです。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群=乾燥症状:外分泌腺を侵す自己免疫疾患で、唾液腺炎・口腔乾燥症(ドライマウス)・乾燥性角結膜炎(ドライアイ)・関節炎がみられる。アナフィラキシー(急性アレルギー)は含まれない——「みられないもの」でアナフィラキシーを選ぶ。