第1章 言語の基本的性質

言語学 第1章

1-1 言語記号の性質

恣意性(arbitrariness)

言語記号において、記号表現(能記・シニフィアン)と記号内容(所記・シニフィエ)との結びつきに必然性がないこと。

  • 「犬」という音と「イヌ」という動物の概念に必然的な関係はない
  • オノマトペ(擬音語・擬態語)には有契性・有縁性がある(音と意味に関連がある)

「具象名詞にあって、抽象名詞にはない性質を有契性・有縁性という」は誤り。有契性はオノマトペ等に見られる性質。

線条性(linearity)

音素や語などが時間軸上に一列に配列される性質。音声言語の能記(シニフィアン)は線条性を持つ。

音声言語の能記(シニフィアン)は「空間的構造を持つ」は誤り(線条性を持つ)。能記は言語普遍的ではない。

二重分節性(double articulation)

文を形態素に、形態素を音素に分解できる性質。

「発話は形態素からなり、形態素は音素からなることを二重文節という」は正しい。

生産性(productivity)

新たな語や文を無限に作り出す性質。二重分節性と最も関係が深い。

有契性・有縁性

記号表現と記号内容との間に何らかの関連がある性質。擬音語などに見られる。

  • オノマトペ(擬音語):「わんわん」「ごーん」などは有契性あり
  • 擬態語:音と様態の関係に有縁性あり

「日々もんもんと暮らしている」の「もんもん」は擬態語で有契性があるように見えるが、実際には記号表現と内容の間に必然的な関係はなく恣意性がある。設問では「有契性がない」=恣意的なものを選ぶ問題に注意。

文法性判断と規範性

  • 文法性判断:ある文が文法的かどうかの母語話者の直観的判断
  • 規範性:正しい言語使用を規定する規則

「文が文脈中で適切に使用されているか否かの母語発話の直観的判断を文法性判断という」は誤り。文法性判断は文脈の適切さではなく文法的な正否の判断。

共時論と通時論

  • 共時論:ある時点の言語を記述する立場
  • 通時論:言語の歴史的変化を記述する立場

共時的記述で考慮されないもの:歴史的音変化・語の歴史的来源

考慮されるもの:形態論上の異形態・音韻論上の異音・語の体系の中での他の語との関係

記述主義

言語の実態をあるがままに記録・記述する立場。

「介入することで変化した人の割合を記録した」は記述主義的でない(介入は規範主義的)。

1-2 音声言語と記号

音声言語の特徴

  • 離れたところにいる人に伝わる
  • 多くの語彙を表現できる
  • 道具がいらない
  • 恣意的な記号である
  • 静的な呈示ができない(時間とともに消える)

「静的な呈示ができる」は音声言語の特徴として誤り。静的呈示は文字言語の特徴。