第2章|形態論

頻出テーマ/難易度 ★★★★☆

2-1 形態素の種類

種類内容
自由形態素単独で語となれる(名詞・動詞語幹など)
拘束形態素単独では語となれない(助詞・接辞など)
機能語(付属語)文法的機能を持つ(助詞・助動詞)
内容語(自立語)語彙的意味を持つ(名詞・動詞・形容詞など)
「日本語の機能語は→助詞」(第22回)
「日本語の内容語(実質語)は→形容詞・動詞など(a,e)」(第28回)

2-2 異形態(allomorph)

同一形態素の音声的バリエーション。

  • 異形態は同一形態素のバリエーション
  • 音韻的に異なっていてもよい(同一音素に限られない)
  • 屈折・派生・複合いずれにも現れる
  • 母語話者はその音韻的違いが分かる
  • 表記上区別されないこともある
「異形態は同一音素の場合に限られる」→ 誤り(第16回)
「ら抜き可能形は異形態の一例」→ 正しい(「られる」の異形態として「れる」が使われる)

2-3 語形成プロセス

プロセス内容
複合2つ以上の語幹を結合高校野球
派生語根に接辞を付加高さ・抽象化
屈折文法的形式の変化(活用)食べる→食べた
重複語の全部・一部を繰り返すやまやま・ひとびと
刈り込み(省略)語の一部を省略学割・空母・ワープロ
補充法語根が別形式になるgo→went

派生語・複合語・刈り込みの区別

派生語
「高さ」(高い+さ)・「抽象化」・「重み」(重い+み)・「厚み」(厚い+み)
第28回:「派生語は→抽象化
第25回:刈り込みを経てできた語→「学割」「空母」(a,e)
※「ワープロ」も刈り込み(word processor)
第26回:「み」が形容詞から名詞を派生→「重み厚み(a,e)」
※「励み・好み・歩み」は動詞からの派生

2-4 複合動詞の種類

種類特徴
語彙的複合動詞意味が合成されない(慣用的)飛び上がる・泳ぎ回る
統語的複合動詞補助動詞的食べ残す・歩き続ける
「語彙的複合動詞は→飛び上がる」(第20回)

2-5 重複

  • 完全重複:やまやま・ひとびと
  • 部分重複:つつく(「突く」の重複)
  • 重複でないもの:しんじん(新人)→漢字が重複しているが音の重複ではない

2-6 補充法

尊敬語基形補充法
来られる来るなし(形式が同じ)
ご覧になる見るあり(見る→ご覧)
召し上がる食べるあり(食べる→召し上がる)
おいでになる来る/いる/行くあり
お食べになる食べるなし
第25回:補充法を用いていないのは→「来られる・お食べになる(a,e)」→正答2

2-7 日本語の動詞活用

種類語幹の末尾
子音語幹動詞(五段)子音で終わる書く・飛ぶ・羽ばたく
母音語幹動詞(一段)母音で終わる食べる・見る・起きる
サ変する
カ変来る
「母音語幹動詞でない→減る」(第18回)
※「減る」は五段活用(語幹「へ」+「る」→子音語幹)

ら抜き言葉(第21回)

「食べれる」「見れる」→ ら抜き言葉
※可能形「られる」を「れる」に変えた形
「見える」は可能形ではない(自発・知覚の動詞)(第17回)

2-8 音節とモーラ

汽車 → 音節2・モーラ2 ✅ 一致 象 → 音節1・モーラ2(長音が別モーラ) 蜜柑 → 音節2・モーラ3(撥音「ん」が別モーラ) 切符 → 音節2・モーラ3(促音「っ」が別モーラ)
第26回:「音節数とモーラ数が一致→汽車」(音節2・モーラ2)

2-9 漢字と表記

種類機能
漢字表語(1文字で形態素を表す)+音読みで表音的にも
ひらがな・カタカナ表音(音節を表す)
ローマ字表音
「1文字で表音と表意の両方→漢字」(第21回)
単字として形態素を表さない表記:「珈琲(コーヒー)」「小豆(あずき)」(第16回)
各漢字に決まった読みを利用していない:「五月雨」「五月蠅い」(第22回)
音読みを含む語:「生死(せいし)」「お新香(おしんこ)」(第25回)

確認問題

Q1. 「高さ」「重み」「抽象化」「泣く泣く」「ワープロ」をそれぞれの語形成プロセスに分類せよ。
Q2. 「異形態は同一音素の場合に限られる」はなぜ誤りか。
Q3. 補充法を使っている尊敬語を2つ挙げよ。
Q4. 「蜜柑」の音節数とモーラ数をそれぞれ答えよ。
Q5. 「珈琲」「小豆」は漢字表記だが、単字として形態素を表さない理由を説明せよ。
言語学の過去問を解く →