第6章 社会言語学・語用論

言語学 第6章

6-1 方言・言語変異

地域方言と社会方言

種類内容
地域方言地域によって異なる言語変異おおきに・しばれる・めんこい・すいとっと・おかん
社会方言職業・年齢・グループによる変異しゃり(寿司屋)・オペ(医療)・学割・マジ卍

「いとをかし」は古語(現代日本の変異でない)。

現代日本の変異と見なされないもの

「いとをかし」→ 古語・文語表現であり現代の地域方言・社会方言ではない

コード切り替え

同一話者が場面・相手によって言語や方言を切り替える現象。

  • 方言→共通語・共通語→方言への切り替え

コード切り替えの社会言語学的説明として正しい:

  • コード切り替え ✅
  • 変異(バリエーション)✅
  • 選択 ✅

社会言語学的説明でない:

  • 異化・変化→ 異化は音声変化、変化は長期的言語変化

意味変化と社会方言

語の意味が変化する場合:

  • 若年層のみに見られる意味変化→ 社会方言ではなく進行中の言語変化
  • 言語共同体全体に広まるまでは地域方言ではなく社会方言または変化の過程

6-2 語用論・言語の機能

語用的側面の発達

言語の語用的側面(実際の使用・文脈に合わせた使用)の発達に関係するもの:

会話の持続(ターンテイキング・話題維持など)

語彙の増加・音韻の意識・喃語の出現・助詞の獲得は語用的側面の発達とは直接関係しない

機能語と内容語

内容語(実質語):実質的な意味を持つ語類

  • 名詞・動詞・形容詞・副詞

機能語:文法的機能を担う語類

  • 助詞・助動詞・接続詞

「日本語における機能語」として正しいのは助詞。「接続詞」は内容語と機能語の中間的な位置づけだが、一般的には機能語に分類されることもある。

6-3 敬語

敬語の種類

種類内容
尊敬語動作の主体を高めるご覧になる・いらっしゃる・行かれる・お出になる
謙譲語動作の主体(話者)を低めるいただく・参る・申し上げる
丁寧語聞き手への丁寧さです・ます

尊敬語でない(謙譲語)「この弁当はいただいて下さい」の「いただく」→ 謙譲語

共通語での誤用

誤用とされる用法:

  • 「食べれない」(ら抜き)
  • 「読ませていただきます」→ 誤用とされることもあるが使用例は多い

6-4 自動詞・他動詞

自動詞と他動詞の対応

他動詞自動詞
落とす落ちる
付ける付く
外す外れる
流す流れる
起こす起きる
裂く裂ける
溶かす溶ける
入れる入る(はいる)

「走る─走れる」は自他対応ではなく、走る(自動詞)─走れる(可能形・同じく自動詞)。他動詞文の見分け方:ヲ格の目的語が必要かどうか。

自動詞と他動詞が同じ音形を持つ動詞吹く(風が吹く:自動詞 / 笛を吹く:他動詞)

他動詞文(ヲ格に目的語をとる)

  • まやがボールを蹴った ✅
  • ゆうきがケーキを食べた ✅

6-5 「の」の用法

「の」の機能

「景品の旅行券」=同格(旅行券が景品である)

同じ機能(同格)の「の」:

  • 「皆勤賞の田中さん」→ 田中さんが皆勤賞 ✅
  • 「先生の田中さん」→ 田中さんが先生 ✅(同格)
  • 「田中さんの小説」→ 所有・作者
  • 「田中さんの資産」→ 所有
  • 「田中さんのお父さん」→ 関係