第5章|会話・ナラティブ・語用の発達

対応過去問 約18問/難易度 ★★★☆☆

会話能力の発達

会話発達の年齢的特徴

年齢特徴
乳児期前半話し手と聞き手の交替(ターンテーキング)の原型が存在する
1歳後半言葉で要求を伝え始める
2歳現前事象について簡単な会話が成立
3歳名前・性別を聞かれると答える、初歩的な会話が成立
4歳台話題がそれずに維持しながら語れる
5歳非現前事象について報告できる
6歳台聞き手を考慮して詳しく説明する

「幼児期の会話能力はスクリプト知識の発達を基礎とする」→ スクリプトはナラティブ産出の基盤。会話能力との直接的な基礎関係は問いに注意(第19回No.146の正解は1:ターンテーキングの原型が乳児期前半から存在する)。

「相手に適切なタイミングでフィードバックする能力が幼児期に完成」は誤り(学童期まで発達が続く)。「発話スタイルの使い分けは学童期から出現」は誤り(幼児期後半から出現し始める)。

質問‐応答関係の発達

年齢特徴
2歳前半現前のことに限定された話題
3歳前半初歩的な会話が成立し始める、自己経験を語る
4歳台話題を維持しながら語る
5歳台非現前事象の報告
6歳台聞き手を考慮した詳しい説明

「初歩的な会話が成立し始める」のは3歳前半(5歳台ではない)。
「質問に対して自己経験を語る」のは3歳前半(4歳台と混同しやすい)。

会話の発達に関連する要素

  • ✅ 語用(pragmatics)
  • ✅ ターンテーキング
  • ✅ メタ認知
  • ✅ 心の理論

プレリテラシーは読み書きの前段階的行動であり、会話の発達との関連は低い。

ナラティブ・スクリプト

スクリプトとは

時系列的な事象に関する一般的知識(例:「レストランに行く」と何が起こるかの定型的知識)

  • ナラティブ産出能力の土台・基盤となる
  • ことばに含まれる音の単位の認識はスクリプトではなく音韻意識
  • 前に見たモデルの行動の再現は延滞模倣(象徴機能)
  • 言語そのものを客観的に考える力はメタ言語能力

ナラティブの発達

種類内容
パーソナルナラティブ自分の体験を語る
フィクショナルナラティブ空想の物語・フィクション

「自分の体験を語るのはフィクショナルナラティブ」は誤り。自己体験はパーソナルナラティブ。フィクショナルは空想・架空の物語。

  • ナラティブには空想の物語も含まれる
  • ナラティブには子どもの価値観が反映される
  • スクリプトはナラティブ産出能力の土台となる
  • 幼児期は会話の話題が変わりやすい

4〜5歳の言語発達

  • ✅ ナラティブにマクロ構造(全体的な構成)が現れる
  • ✅ 字義通りではない言葉の意味(比喩・冗談)の理解
  • ✅ 語が音韻の連なりで構成されることがわかる(音韻意識)
  • ✅ 誤信念課題に正答できる(一次の心の理論)

「系列的意味関係に基づく語の連想」(「りんご→バナナ→果物」などカテゴリ的連想)は4〜5歳では難しく、学齢期以降に本格的に発達する。

言語発達の理論的概念

外言・内言の発達

用語内容
外言他者に向けて発せられる社会的言語
内言思考のための内的言語
独語(自己中心的言語)外言が内言に移行する過渡期に出現

外言が先に発達し、内言へ移行するのが正しい方向。「内言が外言に移行する」は逆。「外言と内言はほぼ同時に出現」「相互に影響しあう」も誤り(外言→独語→内言の順)。

プレリテラシー・ディスコース

用語内容
プレリテラシー読み書きができるかのようにふるまう行動(幼児期に出現)
スクリプト場面の定型的な出来事の知識
マザリーズ養育者が乳幼児に向けた特有の発声スタイル(CDS)
ディスコース複数の文からなるまとまった内容のことば(話しことばも書きことばも含む)

「ディスコースは書きことばのみ」は誤り。話しことばも含む。