第2章 評価・検査

言語発達障害学 第2章|対応過去問 87問

2-1 知能・発達検査

田中ビネー知能検査V

  • 精神年齢(MA)・知能指数(IQ = MA ÷ CA × 100)を算出
  • 開始は生活年齢より低い年齢級から(生活年齢と等しい年齢級からではない)
  • ある年齢級の項目が全問不通過で中止
  • 基底年齢は全問通過した年齢級(+1ではない)
  • 1歳級で正答が得られない場合は発達チェックへ
  • 適用年齢:2歳〜成人

「IQはCA÷MA×100で算出される」は誤り(分子が逆)。「基底年齢は全問できた年齢級に1を加えた年齢」は誤り。「生活年齢と等しい年齢級から開始」は誤り。

WPPSIシリーズ

  • 適用年齢:2歳6か月〜7歳3か月
  • 言語理解指標の下位検査:知識・単語・理解・語の推理

「絵の名前」はWPPSIの言語理解指標に含まれない。前言語期の評価にWPPSI-IIIは不適切(言語的回答が必要)。

WISCシリーズ

検査指標数指標名適用
WISC-IV4つ言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度5〜16歳
WISC-V5つ言語理解・視空間流動性推理・ワーキングメモリ・処理速度6〜16歳

WISC-Vに「知覚推理指標」「知覚統合指標」「注意記憶指標」はない。WISC-IVは5歳から(4歳には使えない)。

新版K式発達検査2020

  • 姿勢・運動 / 認知・適応(C-A) / 言語・社会(L-S)の3領域
  • 発達指数(DQ)算出
  • 「数選び」は認知・適応(C-A)領域
  • 「四角の模倣」は4歳6か月相当(4歳ではない)
  • 0歳〜成人に適用可能

K-ABC II(KABC-II)

  • 認知尺度:継次・同時・計画・学習の4尺度
  • 習得尺度:語彙・読み・書き・算数
  • 「知覚」はKABC-IIの尺度にない
  • 「位置さがし」は短期記憶の評価(構成能力ではない)
  • 漢字音読の評価が可能
  • 適用:2歳6か月〜18歳

DN-CAS認知評価システム

  • PASS理論(プランニング・注意・同時・継次)に基づく
  • ADHDや学習障害の評価に有用
  • 適用:5〜17歳(4歳未満には適用困難)
  • 言語学習年齢はDN-CASの指標ではない

その他の発達・知能検査

検査名特徴適用年齢
KIDS乳幼児発達スケール保護者への質問紙(子どもに直接実施しない)0〜6歳
遠城寺式乳幼児分析的発達検査法運動・社会性・言語の発達を評価0〜4歳7か月
コース立方体組み合わせテスト非言語性の知的発達水準を測定。言語能力不要全年齢
DAM(人物画知能検査)人物画による動作性知的発達水準の推定3〜13歳
フロスティッグ視知覚発達検査視知覚能力(線の描画含む)を評価4〜7歳
乳幼児精神発達診断法発達遅滞傾向児向きの用紙がある乳幼児

フロスティッグ視知覚発達検査は「非言語性の知的発達水準」ではなく視知覚能力を評価する。M-CHATは「発達プロフィール」ではなくASDのスクリーニングツール。

検査の年齢適応まとめ

対象年齢主に使用できる検査
0〜2歳新版K式・遠城寺式・KIDS・LCスケール・〈S-S法〉・日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙
2〜4歳上記+PVT-R・WPPSI・田中ビネー・KABC-II
4歳WISC-IVは5歳からなので4歳には使えない。PEP-3・PVT-R・KABC-IIは適用可
小学生〜WISC-IV/V・KABC-II・DN-CAS・STRAW-R・LCSAなど
高校生〜WAIS・STRAW-R・教研式Reading-Test

WISC-IVは3歳には使えない(5歳〜)。LCスケールは6歳以上ではなく6歳まで。フロスティッグは小学校高学年以上ではなく4〜7歳。

各検査で「線を描く評価を含むか」

含む:新版K式・〈S-S法〉・フロスティッグ視知覚発達検査・遠城寺式

含まない:絵画語彙発達検査(PVT-R)(絵を指さすだけ)

偏差知能指数について

偏差知能指数は同年齢の集団の中における位置を示す(正規分布上の相対的位置)。

2-2 言語・コミュニケーション検査

PVT-R(絵画語い発達検査)

  • 受容語彙(理解語彙)を評価(表出語彙ではない)
  • 4枚の絵から選択(6枚ではない)
  • 語彙年齢を算出(語彙指数・コミュニケーション指数ではない)
  • 適用:3〜12歳・線を描く評価は含まない

LCスケール・LCSA

検査特徴適用
LCスケール言語・コミュニケーション能力を幅広く評価。語連鎖・状況画理解(心の理論)・時間的語・疑問詞理解など。知能指数は算出できない0〜6歳
LCSA(学齢版LC)リテラシー指数(音読・音韻意識・文章読解)が算出できる小学1〜6年

LCスケールは「言葉芽生え期」から適用可能。「6歳以上」は誤り。LCSAは「音読と音韻意識」だけでなく文章読解も含めてリテラシー指数を算出。

〈S-S法〉言語発達遅滞検査

  • 記号形式・指示内容関係(Symbol-referent)を評価
  • 発達段階の順序:機能的操作 → ふるい分け → 選択 → 身振り記号 → 音声記号
  • 語順・かな文字音読も評価可能
  • 助詞の理解も評価できる・線を描く評価を含む
  • 適用:0〜6歳

J.COSS日本語理解テスト

  • 文の理解(構文理解)を4択図版で評価
  • ナラティブの評価ではない
  • 適用:3歳〜

読み書き関連検査

検査名評価内容特徴
STRAW-R読み書きの正確性・流暢性漢字音読年齢を算出可能
URAWSS II音読の流暢性学校教材使用
RAN自動化能力(音韻意識の評価ではない)発達性読み書き障害の評価
WAVES視空間認知能力発達性読み書き障害の鑑別
教研式Reading-Test漢字読み・語彙・文法・文章読解(発語の明瞭さは評価しない小学生〜高校生
SCTAW表出性語彙能力

RAN課題は自動化能力の評価であり、音韻意識の評価ではない。KABC-IIで漢字音読の評価が可能。

質問-応答関係検査

  • 会話能力・語用の発達を評価(構文理解の評価ではない)
  • 「なぞなぞ」「説明」なども含む
  • 適用:2歳〜就学前

文法の習得状況を評価する項目

適切:動詞・語順・代名詞・時制

慣用句は文法習得状況の評価項目として適切でない。

2-3 ASD評価ツール

検査名特徴
M-CHAT乳幼児のASDスクリーニング(早期発見)。保護者への質問紙
CARS(CARS2)観察評価が中心(親面接ではない)
ADI-R保護者への構造化面接による診断ツール
ADOS-2半構造化観察による診断ツール(直接評価)
PARS-TR保護者への面接。こだわり・社会性を評価
PEP-3発達・行動プロフィールの評価(TEACCHで使用)
FOSCOMコミュニケーション機能の評価
CCC-2語用・コミュニケーションを評価

Conners3はADHDの評価ツール(ASDの評価には適切でない)。URAWSS(音読の流暢性)はASDの評価法として適切でない。CARSは親面接ではなく観察評価。

心の理論課題

課題内容通過年齢
サリー・アン課題一次の心の理論4歳頃
スマーティ課題一次の心の理論4歳頃
ストレンジストーリー二次の心の理論・冗談・皮肉の理解学齢期

LCスケールでは状況画の理解課題で心の理論が評価できる。

2-4 発達段階・発達評価のポイント

初語のない2歳児の評価項目

適切な評価項目:指さし・社会的参照・見本合わせ・事物の機能的操作

「音韻意識」は初語のない2歳児の評価項目として適切でない(音韻意識は前言語期の課題ではなく幼児後期〜学齢期の課題)。

田中ビネー知能検査Vの開始手順

  • 生活年齢より低い年齢級から開始
  • 基底年齢:全問通過した年齢級
  • 全問不通過で中止

言語発達障害児の初期評価のまとめに必要な内容

障害の鑑別・情報の整理統合・指導支援目標の設定・養育者への助言と支援

(指導効果の測定は初期評価の目的ではない)