第1章|言語聴覚士法① 目的・定義・免許・登録・欠格事由

対応過去問 11問/難易度 ★★★☆☆
この章のねらい:関係法規の本丸は言語聴覚士法(1997年公布)です。あなた自身の資格の根拠となる法律で、「誰が免許を与えるか」「何を登録するか」「どんな場合に免許を取り消されうるか」が問われます。国試ではこの章の免許=厚生労働大臣・名簿の登録と変更(30日以内)・欠格事由が、「正しいのはどれか」「誤っているのはどれか」「欠格事由でないのはどれか」という形で毎回のように出ます。ここは条文の骨格を押さえれば暗記で確実に取れる安定得点源――捨てずに固めましょう。業務・守秘義務は第2章、制度の全体像は言語聴覚障害総論ノートと重なります。

1-1 言語聴覚士法の目的と「言語聴覚士」の定義

言語聴覚士法は、言語聴覚士の資格を定めてその業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及・向上に寄与することを目的とします。「言語聴覚士」は次のように定義されます(第2条)。

定義(第2条):厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて音声機能・言語機能・聴覚に障害のある者について、その機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練・これに必要な検査・助言・指導その他の援助を行うことを業とする者。

定義のキーワード(穴埋め・組合せで頻出):対象は「音声機能・言語機能・聴覚」に障害のある者。免許を与えるのは厚生労働大臣(都道府県知事ではない)。行うのは機能の「維持向上」(=治療・診断ではない。診断は医師の権限)。この3点が定義文のひっかけどころ。

1-2 免許 ― 厚生労働大臣が与える(交付・再交付・返納)

言語聴覚士の免許は、国家試験に合格した者に対して厚生労働大臣が与えます(第3条)。免許は言語聴覚士名簿に登録することによって行われ、厚生労働大臣が免許証を交付します。「都道府県知事が交付する」は典型的な誤り選択肢です。

項目正しい扱い(○)ひっかけ(×)
免許を与える者厚生労働大臣都道府県知事/文部科学大臣
免許証の交付・再交付厚生労働大臣(再交付は認められる勤務先施設長/市町村長/「再交付は認められない」
免許(免許証)の返納先厚生労働大臣都道府県
国籍要件日本国籍でなくても取得できる日本国籍が必要
免許証の携帯携帯義務はない常時携帯する義務がある
再交付を行うのは?厚生労働大臣。免許に関わる行政行為(付与・取消・停止・再交付・名簿の管理)は、すべて厚生労働大臣が主語になると覚える。都道府県知事・市町村長・施設長・保健所長はすべて誤り。

1-3 言語聴覚士名簿への登録と変更(30日以内)

厚生労働省に言語聴覚士名簿が備えられ、免許に関する事項が登録されます。国家試験に合格しても、自動的に免許が交付されるわけではなく、名簿への登録申請が必要です。

名簿に登録される(○)登録されない(×)
登録番号・登録年月日養成施設名(学校名は登録事項ではない)
本籍地都道府県名・氏名・生年月日・性別
試験合格の年月
免許の取消・業務停止に関する事項

変更・返納の「日数」ひっかけ(頻出):
・登録事項(氏名・本籍地など)に変更があったとき→30日以内に名簿の訂正を申請する(「10日以内」は誤り)。
・免許を取り消されたとき→30日以内に免許証を返納する。
・国家試験の受験手数料は、受験しなくても返還されない。受験回数に制限はない
・再交付を受けた後に失った旧免許証を発見したとき→返納が必要(「返納不要」は誤り)。

1-4 欠格事由(相対的欠格)

言語聴覚士法の欠格事由は、いずれも「該当すれば免許を与えないことがある/取り消すことがある」という相対的欠格です(必ず不許可になる絶対的欠格ではありません)。次の4つが規定されています(第4条)。

相対的欠格事由(○=規定あり)
罰金以上の刑に処せられた者
② ①のほか、言語聴覚士の業務に関し犯罪または不正の行為があった者
心身の障害により言語聴覚士の業務を適正に行うことができない者(厚生労働省令で定めるもの)
麻薬・大麻・あへんの中毒者

「欠格事由でないのはどれか」の定番の答え:
日本国籍以外の者=欠格事由ではない(外国籍でも取得できる)。
科料に処せられた者=欠格事由ではない(科料は罰金より軽い財産刑。欠格は「罰金以上の刑」なので科料は含まれない)。
アルコール依存症(アルコール中毒)の者=欠格事由ではない(規定は「麻薬・大麻・あへんの中毒者」であり、アルコールは含まれない)。
逆に、罰金以上の刑に処せられた者は取り消されることがあり、欠格事由に該当する場合は名称の使用停止を命じられることがある。免許の取消・停止を行うのは厚生労働大臣(都道府県知事ではない)。

1-5 国家試験・受験

言語聴覚士国家試験は厚生労働大臣が行い、年1回実施されます。受験できるのは、文部科学大臣が指定した学校・都道府県知事が指定した養成所などで所定の課程を修めた者です(大学・専門学校ルート、他の医療系有資格者の短縮ルートなど)。

ここも「大臣」で統一:試験の実施も、合格の認定も、免許の付与・取消も、すべて厚生労働大臣。受験回数に制限はなく、受験手数料は返還されない。この章は「主語=厚生労働大臣」「期限=30日以内」の2本を軸にすると、ほぼ取りこぼしがなくなる。
つながる知識:免許・登録・欠格を固めたら、第2章言語聴覚士の「業務」――診療の補助(医師・歯科医師の指示)・名称独占・多職種連携・守秘義務――に進みます。臨床で「これは自分がやってよい行為か」「主治医の指示・指導が要るか」を判断する土台が、まさにこの言語聴覚士法です。業務範囲や職業倫理の全体像は言語聴覚障害総論ノートとも重なります。