第4章|社会保障・障害福祉の法体系

対応過去問 2問/難易度 ★★☆☆☆
この章のねらい:STが臨床で最も関わる制度は介護保険・障害者総合支援法・身体障害者手帳です。関係法規としては「どの法律が・誰を対象に・どの機関が担うか」の骨格だけを押さえます。給付内容・要介護認定の流れ・生活保護・手帳の等級などの詳細は社会福祉ノートで扱うので、この章は法体系の地図と、関係法規で問われる要点に絞ります(深入りは社会福祉ノートへ)。

4-1 社会保障の全体像と関係法規(4本柱・福祉六法)

日本の社会保障は社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の4本柱で構成されます。関係法規では、各制度がどの柱・どの根拠法に属すかを区別できれば十分です。

主な法律
社会保険健康保険法・国民健康保険法・国民年金法・厚生年金保険法・介護保険法・雇用保険法・労働者災害補償保険法
公的扶助生活保護法
社会福祉福祉六法(児童福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・老人福祉法・生活保護法・母子及び父子並びに寡婦福祉法)・障害者総合支援法・障害者基本法
公衆衛生地域保健法・母子保健法・健康増進法 など
役割分担:この4本柱・福祉六法・生活保護の原理原則・年金・医療保険の詳細は社会福祉ノート(全5章)で解説しています。本章では、関係法規で単独に問われやすい介護保険法身体障害者手帳の申請先にしぼって確認します。

4-2 介護保険法(保険者・給付・要介護認定)

介護保険法は、STが回復期リハ・訪問リハ・通所リハで日々前提とする制度です。関係法規では「規定で正しいのはどれか」で細部が問われます。

項目正しい扱い(○)ひっかけ(×)
保険者・申請先市町村(特別区)に申請都道府県に申請
被保険者第1号=65歳以上第2号=40〜64歳第1号は70歳以上
要介護認定判定は介護認定審査会介護保険審査会が判定する
給付介護給付・予防給付・市町村特別給付予防給付は含まれない
不服申立て介護保険審査会に審査請求できる再審査請求はできない

「審査会」2つの取り違え(最重要):
介護認定審査会=要介護度を判定する(市町村に置かれる)。
介護保険審査会=認定などへの不服(審査請求)を扱う(都道府県に置かれる)。
名前が似ているので、「判定=認定審査会/不服=保険審査会」と対で覚える。第1号被保険者は65歳以上(「70歳」は誤り)、給付には予防給付が含まれる

4-3 障害者福祉の法体系(身体障害者福祉法・障害者総合支援法・障害者基本法)

障害福祉は複数の法律が重なります。関係法規としては「基本理念を定める法/サービスを定める法/手帳を定める法」の役割の違いを押さえます。

法律役割
障害者基本法障害者施策の基本理念(共生社会・合理的配慮の理念)を定める
障害者総合支援法障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付・自立支援医療・補装具)を定める
身体障害者福祉法身体障害者手帳(18歳以上)・更生援護を定める
発達障害者支援法発達障害の定義・支援体制を定める
役割分担:介護給付/訓練等給付の中身・補装具・合理的配慮・ICF・リハビリテーションの4領域などは社会福祉ノート 第5章で詳しく扱います。ここでは「基本理念=障害者基本法/サービス=総合支援法/手帳=身体障害者福祉法」の3本の柱だけ確実に。

4-4 身体障害者手帳(申請先・音声言語そしゃく機能障害)

身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づき、音声・言語・そしゃく機能障害失語症など、STの対象者に直接関わる手帳です。交付の申請先が問われます。

項目内容
対象18歳以上の身体障害者(15歳未満は保護者が申請)。障害区分に音声・言語・そしゃく機能障害を含む
交付(申請先)都道府県知事(指定都市市長・中核市市長)。※申請は居住地の市町村を経由
判定身体障害者更生相談所(指定医の診断書に基づく)

「手帳の交付申請先はどれか」の答え:都道府県知事。市区町村長・保健所長・厚生労働大臣・身体障害者更生相談所長は誤り(窓口として市町村を経由するが、交付するのは都道府県知事)。音声言語そしゃく機能障害・失語症の等級はSTに直結するので、詳細は社会福祉ノートで確認。

つながる知識:社会保障・障害福祉の法体系を地図として持ったら、第5章個人情報保護・権利擁護(個人情報保護法・児童虐待防止法・労災)へ。守秘義務(第2章)と個人情報保護法は、STが記録・情報共有を行ううえで表裏一体です。給付・サービスの詳細は引き続き社会福祉ノートを参照してください。