第5章|個人情報保護・権利擁護・その他法規

対応過去問 6問/難易度 ★★★☆☆
この章のねらい:STは日々カルテ・検査記録・音声/画像データという「個人情報」を扱い、家族・多職種と共有します。だからこそ個人情報保護法守秘義務(第2章)は表裏一体で、国試でも「個人情報でないのはどれか」「要配慮個人情報でないのはどれか」で頻出です。あわせて児童虐待防止法(通告義務)労災など、対象者・支援者の権利を守る法規を確認します。守秘義務の条文は第2章、福祉サービスは社会福祉ノートとつながります。

5-1 個人情報保護法 ― 個人情報の定義(死者は対象外)

個人情報保護法でいう「個人情報」とは、生存する個人に関する情報で、氏名・生年月日などにより特定の個人を識別できるものです。ここから、頻出の「◯◯でないのはどれか」が作られます。

個人情報にあたる(○)個人情報にあたらない(×=ひっかけ)
患者の氏名・住所・生年月日・病歴死者の情報/死亡時刻(=「生存する個人」ではない)
患者の診療録(カルテ)
従業員・法人役員の個人に関する情報

定番の答え:「個人情報でないのはどれか」→死者の情報・死亡時刻。法の保護対象は生存する個人なので、亡くなった人の情報そのものは(この法律の)個人情報にはあたらない。氏名・住所・病歴・診療録・生年月日はすべて個人情報。

5-2 要配慮個人情報と第三者提供

要配慮個人情報は、不当な差別・偏見が生じないよう、取扱いに特に配慮を要する情報です。取得や第三者提供には原則として本人の同意が必要です。

要配慮個人情報にあたる(○)あたらない(×=ひっかけ)
病歴・健康診断等の結果学歴(要配慮個人情報ではない)
身体障害・知的障害・精神障害があること/犯罪により被害を被った事実/犯罪の経歴・人種・信条・社会的身分
核心:「要配慮個人情報でないのはどれか」→学歴。病歴・障害・健診結果・犯罪被害は要配慮だが、学歴・職歴・収入などは要配慮には含まれない。STが扱う「病歴・障害の有無」はまさに要配慮個人情報なので、共有には同意と配慮が要る。

5-3 個人情報保護法と医療・守秘義務

医療現場での個人情報の扱いは、利用目的の特定・本人同意・安全管理が基本です。個人識別符号(顔・指紋などの認証データ)も個人情報に含まれます。

正しい(○)誤り(×=ひっかけ)
個人情報には顔・指紋などの認証データ(個人識別符号)も含まれる死亡した患者の情報も対象である
個人情報の利用目的を特定する必要がある利用目的を特定する必要はない
原則として本人の同意なく第三者提供・開示はできない特定機能病院なら本人同意なく開示できる

取扱事業者の範囲(年次に注意):かつては「取り扱う個人情報が5,000人以下の事業者は適用対象外」という規定があったが、2015年改正(2017年5月全面施行)で撤廃され、現在は取扱人数にかかわらず適用対象。「5,000人以下は適用対象外」は誤り※制度は改定されるため、受験年度の最新の条文を公式(個人情報保護委員会・e-Gov)で確認。

守秘義務とセットで:個人情報保護法は「組織・事業者としての情報の扱い方」を定め、言語聴覚士法の守秘義務(第44条)「専門職個人が業務上知った秘密を漏らさない義務」を定める。両者は表裏一体で、記録・情報共有・研究発表のいずれでも本人の同意と匿名化が原則。守秘義務の条文は第2章参照。

5-4 児童虐待防止法(通告義務・早期発見)

児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)は、小児のSTが必ず押さえたい権利擁護の法律です。対象・通告義務が問われます。

正しい(○)誤り(×=ひっかけ)
対象とする児童は18歳未満対象は12歳未満である
減食・長時間の放置(ネグレクト)も虐待に該当する減食や長時間の放置は虐待に該当しない
児童相談所は被虐待児を保護できる 
児童の福祉に関わる者は早期発見に努める/虐待を受けたと思われる児童を発見した者には通告義務がある
核心:虐待は身体的虐待・性的虐待・ネグレクト(放置・減食)・心理的虐待の4類型。「受けたと思われる」段階で通告義務が生じる(確証は不要)。通告先は児童相談所・市町村(福祉事務所)。守秘義務よりも子どもの安全(通告)が優先される点が重要。

5-5 労働者災害補償保険(労災)と雇用保険の区別

社会保険のうち、労働者災害補償保険(労災保険)は業務上・通勤による負傷・疾病・障害・死亡を補償します。雇用保険(失業等給付)との取り違えが問われます。

労災保険に含まれる(○)労災ではない(×=ひっかけ)
療養(補償)給付・休業(補償)給付失業等給付(=雇用保険の給付)
傷病(補償)年金・障害(補償)給付
遺族(補償)給付・葬祭料
通勤災害に対する給付

定番の答え:「労働者災害補償保険に含まれないのはどれか」→失業等給付(これは雇用保険)。遺族補償給付・葬祭料・傷病補償年金・通勤災害の給付はいずれも労災。労災=仕事や通勤が原因のケガ・病気/雇用保険=失業と対で覚える。

ここまでで関係法規の全体像が完成:言語聴覚士法(第1章第2章=免許・業務・守秘義務)/医療法と資格の根拠法(第3章)/社会保障・障害福祉(第4章)/個人情報・権利擁護(本章)。関係法規は暗記で確実に取れる安定得点源です。社会保障・福祉サービスの詳細は社会福祉ノート、業務・連携・倫理の全体像は言語聴覚障害総論ノートで補強してください。