この章のねらい:学習心理学の出題は
条件づけが最頻出で、その入口が
パブロフの古典的条件づけです。古典的条件づけはSTにとって身近な原理で、
不安・恐怖・回避反応がどう形成され、どう消えるかを説明します。たとえば
吃音の場面恐怖や、検査・訓練への不安反応は古典的条件づけで理解でき、
臨床心理学の系統的脱感作・エクスポージャーは「消去」の応用です。まずは
無条件/条件刺激・反応の4語と
獲得・消去・自発的回復・般化・弁別を正確に区別しましょう。
1-1 古典的条件づけとは ― パブロフの実験と基本用語
古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)は、パブロフ(Pavlov)が発見した学習で、生得的に反応を引き起こす刺激と、もともと反応と無関係な刺激を繰り返し対提示することで、後者だけでも反応が起こるようになる現象です。まず4つの用語を正確に押さえます。
| 用語 | 意味(イヌの唾液の例) |
| 無条件刺激(US) | もともと反応を引き起こす刺激=餌 |
| 無条件反応(UR) | US によって自動的に生じる反応=餌による唾液分泌 |
| 条件刺激(CS) | もとは無関係だが、対提示で反応を引き起こすようになる刺激=音(メトロノーム・純音) |
| 条件反応(CR) | CS によって新たに生じる反応=音による唾液分泌 |
対提示する前の、まだ反応を引き起こさない段階の音を中立刺激と呼びます。古典的条件づけでは刺激と刺激が結びつく(S-S 連合)のが特徴で、生体はここでは受動的です(不随意反応=生理反応や情動が対象)。
「古典的条件づけによって成立している反応」とは:特定の刺激(例:エレベータに入る)に対して心拍が高まる・不安になるといった不随意な生理反応・情動反応が自動的に起こるもの。自ら「働きかける」自発的行動はオペラント条件づけの対象で、古典的条件づけとは区別する。
ひっかけ(古典的条件づけと関係ないもの):消去・随伴性・中立刺激は古典的条件づけの用語だが、自発的行動(オペラント)とモデリング(社会的学習)は古典的条件づけとは別のしくみ。「消去―古典的条件づけ」「中立刺激―古典的条件づけ」は正しい組合せ。
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この章の続きで扱う内容
- 1-2 獲得・消去・自発的回復
- 1-3 般化・弁別(分化)と高次条件づけ
- 1-4 味覚嫌悪学習(ガルシア効果)と生物学的準備性
- 1-5 古典的条件づけとオペラント条件づけの対比