第3章|デジタル信号処理・周波数分析

過去問 14問 / 難易度 ★★★★☆

3-1 デジタル録音・A/D変換 過去問 6問

A/D変換の基本

標本化(サンプリング)→ 量子化 → 符号化
パラメータ内容
標本化周波数(サンプリング周波数)1秒間のサンプル数。高くすると高周波数まで録音可能
量子化ビット数振幅の分解能。大きいほど量子化雑音が小さい

標本化定理(ナイキスト定理)

  • 分析可能な最高周波数 = 標本化周波数 / 2
  • 標本化周波数を選ぶとき考慮すべき:信号成分の最高周波数
  • 標本化周波数を低くすると分析可能な最高周波数が低下する

「標本化周波数までの周波数成分を録音できる」は誤り → 標本化周波数の**半分**まで。

サンプリング周波数変更による影響

標本化周波数を低くしたとき低下するもの:

  • 分析可能な最高周波数(d)
  • 時間分解能も変化する(c)→ 低くなる

標本化周波数を変えても変化しないもの:

  • 量子化雑音(量子化ビット数で決まる)
  • S/N比(量子化ビット数で決まる)
  • 量子化ビット数(独立したパラメータ)

3-2 サウンドスペクトログラムの分析 過去問 8問

広帯域 vs 狭帯域分析の比較

特性広帯域分析(短時間窓)狭帯域分析(長時間窓)
時間分解能高い(良い)低い(悪い)
周波数分解能低い(悪い)高い(良い)
主な観察対象子音の変化・ホルマント遷移・調音運動倍音構造・ピッチ変化(イントネーション)

時間窓長と分解能の関係

時間窓長を長くする → 周波数分解能が向上、時間分解能は低下

「時間窓長を長くすると時間分解能・周波数分解能が良くなる」は誤り → トレードオフの関係。「時間分解能は良くなるが周波数分解能は変わらない」も誤り。「時間分解能は悪くなるが周波数分解能は変わらない」も誤り。

広帯域サウンドスペクトログラムで観察できるもの

  • 観察適切:
  • ボイスバー(有声音の低周波数成分)→ 有声・無声の判別
  • グロッタルパルス間隔の変化 → 声の高さ(F0)の変化推定
  • ホルマント遷移(時間的変化)
  • 調音の変化パターン
  • 不適切:
  • 倍音構造の精密観察 → 狭帯域分析が適切
  • 精密な周波数分析 → 狭帯域が適切
  • グロッタルパルス間隔(個々のパルス)の識別 → 広帯域で可能

広帯域分析では「調波構造の観測に適する」「精密な周波数分析に適する」は誤り → 狭帯域の特徴。「時間分解能が低い」は誤り → 広帯域は時間分解能が高い。

狭帯域分析が適しているもの

  • イントネーション(ピッチ曲線)の観察
  • 倍音構造の観察
  • 周波数の精密測定

/ba/ /pa/ /da/ /ga/ /ka/ の識別

識別音響手がかり
/ba/ vs /pa/VOT(有声開始時間)の差。ボイスバーの有無
/ba/ vs /ga/後続母音の第2フォルマント遷移の方向
/pa/ vs /ka/子音部にボイスバーはない。後続母音のF2遷移が異なる
/ga/ vs /ka/後続母音 /a/ の第2フォルマント周波数遷移は異なる(/ga/は下降、/ka/は上昇)
/da/ vs /ga/第2フォルマント周波数遷移で区別(F1遷移は同じ)

「/ba/と/ga/の違いは子音部のボイスバーの有無」は誤り → どちらも有声なのでボイスバーが出る。違いは後続母音のF2遷移。「/pa/と/ka/の子音部にボイスバーが観測される」は誤り → どちらも無声なのでボイスバーなし。「/ba/と/pa/の違いは後続母音のF2遷移」は誤り → VOTの差が主な手がかり。「/da/と/ga/はF1遷移が異なる」は誤り → F2遷移で区別。