第3章|音響管・ホルマント・声道フィルタ

対応過去問 約35問/難易度 ★★★★☆

3-1 ソース・フィルタモデル

音声生成のソース・フィルタモデルの3要素

  1. 音源(ソース):声帯振動・摩擦雑音
  2. 声道(フィルタ):音源に共鳴特性を付加
  3. 放射:口唇・鼻孔からの音の放射
声道フィルタの役割:特定の倍音を強める(ホルマント)弱める(アンチホルマント)
「特定の倍音を加える・除く・周波数を変える」ではない
「ソース・フィルタモデルのソースとは気流のことである」は誤り(声帯振動または摩擦が音源)(第17回出題)
「放射特性の違いが母音の違いを決める」は誤り(声道形状が決める)(第17回出題)
「声道伝達特性の谷をホルマントという」は誤り(山(ピーク)がホルマント)(第17回出題)

3-2 音響管の共鳴周波数

片側が閉じた音響管の共鳴周波数:

fₙ = (2n-1) × c / (4L) n = 1, 2, 3… c = 音速 340 m/s L = 管の長さ(m) 男性声道(約17 cm)の場合: f₁ = 340 / (4 × 0.17) ≈ 500 Hz f₂ ≈ 1500 Hz f₃ ≈ 2500 Hz
第19回:片側閉・長さ17 cm → 最低共鳴周波数 ≈ 500 Hz が正答

3-3 アンチホルマント

  • アンチホルマント(アンチフォルマント):声道の反共鳴(スペクトルのディップ)
  • 口腔と鼻腔が音響的に結合(鼻咽腔が開く)すると生じる
  • 鼻音・鼻音化母音に出現
  • アンチホルマントは反共鳴による(回折は関係ない)
「アンチホルマントと無関係な音波の性質:回折」(第17回出題)

3-4 母音のホルマント

母音F1F2
/a/高い中程度
/i/低い高い
/u/(日本語)低い低い
/e/高め
/o/低め
前舌母音は F2 が高い(/i/・/e/)
広母音は F1 が高い(/a/)
[u]のF2は[i]より低い(第24回出題:高いは誤り)
[a]と[i]の比較:[i]ではF1とF2の周波数が離れる(近づくは誤り)
「[u]では第2フォルマント周波数が[i]より高い」は誤り(第24回出題)
「声帯の緊張はホルマントに関連する」は誤り(音源の基本周波数を決める)(第15回出題)

3-5 声門音源

  • 声門体積流波形は上昇(開放期)がゆるやか、閉鎖期が急峻(対称ではない)
  • 声門音源のスペクトルは高域に行くほど右下がり(右上がりは誤り)
  • 声帯が早く振動するほどF0が高くなる
「声帯音源波のパワースペクトルの傾きは高域に行くにつれ右上がり」は誤り(右下がり)(第20回出題)
「声門体積流の時間波形は上昇より下降の方が急峻」は正しい(第20回出題)

声帯振動のパターン

  • 声帯は下唇から開き始める(下方から)
  • 上唇から閉じ始める
  • 声門体積速度波形は滑らかに立ち上がる(急峻でない)
  • 声門開放率が増加すると気息性が増す
「声帯は上唇から開き始める」は誤り(下唇から)(第25回出題)
引っかけ対策まとめ 第3章
誤りの選択肢正しい内容出題回
ソースとは気流のことである声帯振動または摩擦雑音が音源第17回
放射特性の違いが母音の違いを決める声道形状が決める第17回
声道伝達特性の谷をホルマントという山(ピーク)がホルマント第17回
アンチホルマントは回折によって生じる反共鳴(口腔・鼻腔の音響結合)による第17回
[u]のF2は[i]より高い[u]のF2は[i]より低い第24回
声帯の緊張はホルマントに関連するホルマントに関連しない(F0を決める)第15回
声門音源スペクトルは右上がり高域に行くほど右下がり第20回
声帯は上唇から開き始める下唇(下方)から開き始める第25回

確認問題

Q1. ソース・フィルタモデルの3要素を説明せよ。

Q2. 片側が閉じた17 cmの音響管の第1共鳴周波数を計算せよ(c = 340 m/s)。

Q3. 前舌母音の F2 は高いか低いか。広母音の F1 は高いか低いか。

Q4. アンチホルマントはどのような条件で生じるか。

Q5. 声帯の開閉順序を説明せよ(どこから開き始め、どこから閉じるか)。

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