第4章|音響分析

対応過去問 約40問/難易度 ★★★★☆

4-1 サウンドスペクトログラム

分析時間分解能周波数分解能観察できるもの
広帯域分析高い低いグロッタルパルス・ボイスバー・フォルマント遷移
狭帯域分析低い高い調波構造・イントネーション(F0変化)観察に適する
「狭帯域分析はイントネーション(F0の変化)観察に適している」→ 正しい(第19回出題)
「広帯域分析は調波構造の観測に適する」は誤り(狭帯域が適する)(第27回出題)

時間窓長と分解能

窓長を長くする→ 周波数分解能が上がり、時間分解能が下がる
第26回:「時間窓長を長くしたとき → 時間分解能は悪くなるが、周波数分解能は良くなる」が正答

4-2 デジタル音響分析

  • 標本化周波数は分析できる最高周波数の2倍以上が必要(ナイキスト定理)
  • 標本化周波数を低くする → 分析可能な最高周波数が低下
  • 量子化ビット数が大きいほど → 量子化雑音が小さい(S/N比が上がる)
  • 過大入力では音が歪む
「標本化周波数までの周波数成分を録音できる」は誤り(標本化周波数の半分まで)(第21回出題)
選ぶ際に考慮すべき:信号成分の最高周波数(第15回出題)

4-3 ピッチ曲線の途切れ

ピッチ曲線が途切れる区間 = 無声子音の区間(声帯振動が止まる)
「にっしんげっぽ(日進月歩)」 無声区間:「っ」+「し」、「っ」+「ぽ」 → 2箇所(第15回出題) 「言ったと思ったんだけどな」 無声区間:促音「っ」×2 + /t/など → 4か所(第22回出題)

4-4 促音のスペクトログラム

「マッチ」の促音:閉鎖区間の持続が観察される(摩擦でも鼻音でもない)

4-5 子音の音響特徴

子音音響特徴
破裂音(/p/ /t/ /k/)閉鎖区間→破裂区間。識別:後続母音へのフォルマント遷移・破裂区間の振幅スペクトル
鼻音低域に強い周期性(鼻音マーマー)・アンチフォルマント
接近音フォルマントのゆっくりとした遷移
無声歯茎摩擦音[s]4 kHz以上に強い成分
弾き音持続時間が100 ms より短い
ボイスバー有声子音に見られる低周波域の縦縞
弾き音の持続時間「100 ms より長い」は誤り(第22回出題)
[pa][ta][ka]の識別に寄与:破裂区間の振幅スペクトル・後続母音へのフォルマント周波数遷移(第16回出題:正答(c,d))

4-6 両耳聴

  • 両耳間時間差(ITD)低周波数域での方向知覚の手がかり
  • 両耳間強度差(ILD)高周波数域での方向知覚の手がかり
  • 片耳より両耳で聴く方が閾値が小さい(小さい音まで聞こえる)
  • 壁からの反射音があっても壁に音源があるとは感じない(先行音効果・ハース効果
「低域では両耳間強度差が方向の手がかり」は誤り(時間差が手がかり)(第17回出題)
「最小の両耳間時間差は約9 ms」は誤り(約10 μs〜1 ms)(第17回出題)

4-7 臨界帯域とマスキング

  • 聴覚系の周波数分析機能に関連する概念
  • 中心周波数500 Hz超では臨界帯域幅はさらに広がる(単純に200 Hzに固定されない)

マスキングの性質

  • パワー密度一定の帯域雑音でマスクする場合:
  • 臨界帯域幅以下では帯域幅を広げるとマスキング効果が上昇
  • 臨界帯域幅以上では帯域幅を広げてもマスキング効果は増加しない(一定)
「臨界帯域幅は中心周波数によらず一定」は誤り(中心周波数に依存する)(第20回出題)
特殊現象まとめ
現象名内容出題回
ロンバード効果雑音環境下で話者が適応的に発話音量を上げる現象第28回
ハース効果(先行音効果)先行音の方向に音源が定位する現象複数回
母音スペクトル分析「声道の特性を表さないもの」=線スペクトルの周波数間隔(= F0 = 音源の特性)第21回
引っかけ対策まとめ 第4章
誤りの選択肢正しい内容出題回
広帯域分析は調波構造の観測に適する狭帯域分析が調波構造観測に適する第27回
時間窓長を長くすると時間分解能が上がる時間分解能は下がり周波数分解能が上がる第26回
標本化周波数までの周波数成分を録音できる標本化周波数の半分まで録音できる第21回
弾き音の持続時間は100 msより長い100 ms より短い第22回
低域では両耳間強度差が方向の手がかり低域では両耳間時間差が手がかり第17回
臨界帯域幅は中心周波数によらず一定中心周波数に依存して変化する第20回

確認問題

Q1. 広帯域分析と狭帯域分析の違いを時間分解能・周波数分解能の観点から説明せよ。

Q2. ナイキスト定理とは何か。標本化周波数44.1 kHzでは何 Hzまで録音できるか。

Q3. 「にっしんげっぽ」のピッチ曲線が途切れる箇所は何か所か。

Q4. 低周波数域での音源方向知覚の手がかりは何か。

Q5. 臨界帯域幅以上では帯域雑音の帯域幅を広げるとマスキング効果はどう変化するか。

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