5-1 アクセント
日本語アクセントの基本
- 高低アクセント(ピッチアクセント)
- アクセント核:基本周波数の下降が主要な音響特徴
- 語を弁別する機能あり(「雨」vs「飴」)
- 語の結合を示す機能あり(複合語)
アクセント核の主要音響特徴は基本周波数の下降(上昇ではない・継続時間長の伸長でもない)。
アクセントの機能
- 語を弁別する(「橋」「端」「箸」)
- 語の結合を示す(句のまとまりを示す)
- 和語と漢語を区別する(一部)
共通語(東京方言)のアクセント型
名詞のアクセント型(○=低・●=高):
- 平板型:低高高高…(アクセント核なし)
- 頭高型:高低低低
- 中高型:低高低低・低高高低など
- 尾高型:低高高●(最後の拍が高く、助詞で下がる)
共通語のアクセント型でみられないもの:低高低高(途中で上昇するパターンは存在しない。一度下がったら上がらない原則=ダウンステップ)。
尾高型・複合語のアクセント
- 2モーラ語の尾高型:低高(助詞をつけると「低高・低」と下がる)
- 「おんな(女)」のアクセント:尾高型(低高高●)
- 複合語のアクセント核は1つ(2つではない)
- 複合名詞の原則:後ろから3拍目までが高い
「複合語はアクセント核を二つ持つ」は誤り(1つ)。
動詞・形容詞・名詞のアクセント種類数
| 品詞 | アクセント型の数 |
| 動詞 | 2種類(平板型・起伏型) |
| 形容詞 | 2種類(平板型・起伏型)※3種類は誤り |
| 名詞 | モーラ数+1種類(平板型を含む) |
「はしらない」のアクセント
「走らない」:○●●○○(低高高低低)
名詞アクセントの変化傾向:現在増えているアクセント型は平板式
同化・鼻濁音
- 「しんぶん(新聞)」の/n/が[m]に同化(後続[b]が両唇音なので):同化の典型例
- 鼻濁音:語中のガ行が[ŋ]で発音される
- 例:「入道雲(にゅうどうぐも)」の「ぐ」= 鼻濁音(語中)
5-2 イントネーション
イントネーションの性質
- 統語構造が反映される(文の構造が音調に現れる)
- ダウンステップが生じる(発話全体で基本周波数が下降傾向)
- 単語ごとに決まっているのはアクセント(イントネーションではない)
- アクセントが関与する(関与しないは誤り)
「単語ごとに決まっている」のはアクセント。イントネーションは文全体の音調。
「アクセントが関与しない」は誤り(アクセントとイントネーションは相互に関与)。
疑問文のイントネーション
「これはなに?」の標準的イントネーションで上昇する箇所:
- 「こ」の拍から「れ」の拍(語頭上昇)
- 「に」の拍から文末(文末上昇)
超分節的特徴
超分節的特徴(suprasegmental features):リズム・アクセント・イントネーション・声調
音素・形態素は超分節的特徴ではない(分節的特徴)
5-3 母音の無声化
無声化が生じやすい環境
無声化の条件:
- 無声子音(特に無声破裂音・摩擦音)に挟まれた「イ」「ウ」
- 語末の「イ」「ウ」が無声子音の後
無声化しやすい環境:
- 後続子音が無声破裂音・無声摩擦音
- 母音「イ」「ウ」が対象
「蕗(ふき)」の第1モーラ「ふ」:[ɸ]の後の[ɯ]が後続無声破裂音[k]の前→無声化しやすい
無声化しにくい環境:先行子音が鼻音の場合・長母音・ヤ行音の前。
口蓋帆が二度大きく下降する語
口蓋帆が下降するのは鼻音を発音するとき:
「かみさま(神様)」:かみさま → /m/(鼻音)が2回 = 口蓋帆が二度大きく下降