第2章|声帯麻痺・神経系の音声障害

過去問頻出/難易度 ★★★★☆

2-1 反回神経麻痺(声帯麻痺)

一側性声帯麻痺

  • 気息性嗄声が特徴(声門閉鎖不全のため)
  • 左側に多い(反回神経が大動脈弓を回るため)
  • 原因:甲状腺手術・胸部大動脈瘤・肺癌・気管挿管など
  • 挿管性(気管挿管による)は経過観察が基本(早期手術は誤り)
  • 最長発声持続時間(MPT)が短縮(延長は誤り)
  • 声域が狭小化
  • 麻痺声帯は萎縮する
「一側性は右側に多い」→ 誤り(左側に多い)(第16・17回)。
「MPTは延長する」→ 誤り(短縮する)(第24回)。

両側性声帯麻痺

  • 呼吸困難が主症状(嚥下障害は主症状でない)
  • 気道確保が優先
末梢性反回神経麻痺が多い(中枢性は少ない)。

2-2 痙攣性発声障害(SD)

  • 内転型が外転型より多い(約9:1)
  • 女性に多い・中年に多い(若年男性ではない)
  • 神経学的疾患(心因性ではない)
  • 内転型:声のつまり・途切れが主症状
  • 外転型:断続的な呼吸苦・気息性嗄声が主症状
  • 音声治療では高率に改善しない
  • ボツリヌス毒素注射が有効
  • 手術(甲状軟骨形成術Ⅱ型)も行われる
「心因性発声障害の一つ」「若年男性に多い」「音声治療で速やかに改善」は誤り(第18・21回)。

2-3 変声障害

  • 男性に多い
  • 機能性音声障害(器質的ではない)
  • 第二次性徴発現は正常(遅れを伴わない)
  • 喉頭の枠組み形成は正常(不十分は誤り)
  • 声の翻転(声が裏返る)がみられる
  • 指導:地声(胸声)を誘導する
  • Kayser-Gutzmann法が有効(甲状軟骨を指圧して下げる)
「器質的音声障害」「喉頭の枠組み形成が不十分」は誤り(第16回)。

2-4 心因性失声症

  • 女性に多い
  • 急激な発症
  • 転換性障害であることが多い
  • 発声時に声門は閉鎖しない(開いたまま)
  • ささやき声は出る
  • 咳払いから発声を誘導するのは有効
  • チューブ発声法・心理療法が有効
「発声時に声門は閉鎖している」は誤り(第16回)。

2-5 鑑別まとめ

疾患性差特徴治療
一側性声帯麻痺気息性嗄声・MPT短縮・左多い経過観察・手術
両側性声帯麻痺呼吸困難気道確保
痙攣性発声障害女性つまり・途切れ(内転型多い)ボツリヌス毒素
変声障害男性声の翻転・機能性Kayser-Gutzmann法
心因性失声症女性声門閉鎖不全・転換性障害チューブ発声・心理療法

確認問題

Q1. 一側性声帯麻痺はなぜ左側に多いのか?
Q2. 痙攣性発声障害は心因性か神経学的疾患か?また内転型・外転型どちらが多いか?
Q3. 変声障害の治療法として有効な手技を答えよ。
Q4. 心因性失声症では発声時に声門は開いているか閉じているか?
Q5. 挿管性声帯麻痺の初期対応は手術か経過観察か?
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