第5章|音声治療・訓練法

対応過去問 11問/難易度 ★★★★☆

5-1 声門閉鎖を強める訓練

プッシング法・ハードアタック

訓練法機序適応
プッシング法腕のプッシング動作で声門内転を強化一側性声帯麻痺
硬起声(ハードアタック)声門を強く閉鎖して発声開始声門閉鎖不全(ただし肉芽腫の誘因にもなる)

「プッシング法は痙攣性発声障害に有用」は誤り(一側性麻痺が適応)。
「プッシング法は声帯結節に有用」は誤り。

5-2 声門閉鎖を弱める訓練

あくび・ため息法・内緒話法

訓練法機序適応
あくび・ため息法喉頭を低位・開放的にして緊張を解く過緊張性音声障害・高い話声位
内緒話法
(confidential voice)
やわらかい気息性の小声で発声し、声門閉鎖を弱める。真のささやき声(whisper)ではない声帯結節・過緊張性
Belting発声胸声での力強い発声声門閉鎖を強める方向(弱めるではない)
吸気性発声吸気時に発声声門閉鎖を弱める
ブローイング法ストローで水を吹くなど吹く動作に合わせて発声し、喉頭の過緊張を緩める過緊張性音声障害声門閉鎖不全(声帯麻痺)には用いない
軟起声発声やわらかく声を立ち上げ、声門の接触を弱める過緊張性・喉頭肉芽腫。閉鎖不全には逆効果
チューブ発声法
(半閉鎖声道発声)
ストローやチューブに向かって発声し、声道を半分閉じた状態をつくって喉頭の力みを抜く。ブローイング法と同じ系統過緊張性音声障害心因性失声症の標準的な手技ではない

「Belting発声は声門閉鎖を弱める」は誤り(強める方向)。
「あくび・ため息法は喉頭麻痺の治療」は誤り(過緊張が適応)。
内緒話法(やわらかい気息性の小声)と、真のささやき声(whisper)は別物真のささやき声は喉頭の緊張を高めて声帯の負担が増すため、声の衛生指導では禁止(→5-6)。硬起声発声・Belting発声は声門閉鎖を強めるので、閉鎖を弱める訓練を問われたら選ばない(弱めるのは吸気発声・内緒話法・あくび/ため息法・ブローイング法・軟起声発声)。
※ここでのブローイング法=音声治療の手技。第2章のブローイング検査=鼻咽腔閉鎖機能の評価法で、名前は似ているがまったくの別物
「心因性失声症―チューブ発声法」の組合せは誤り。チューブ発声法は過緊張を緩める側の手技で、心因性失声症に対する一般的な組合せではない。心因性失声症では咳払い・笑い声など反射的に出る発声を手がかりに有声化を導き、心理面への配慮を併せて行うのが基本方針。

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この章の続きで扱う内容
  • 5-3 Kayser-Gutzmann法
  • 5-4 発話速度・リズム関連訓練
  • 5-5 Lee Silverman法・その他
  • 5-6 音声衛生指導
  • 5-7 気管カニューレと音声訓練