第2章|舌切除の構音障害

対応過去問 7問 / 難易度 ★★★☆☆

舌切除と構音

舌切除後に明瞭度が低下する音

舌が必要な音(明瞭度が低下):

  • 歯茎音:[t][d][n][s][z][ts][dz]
  • 軟口蓋音:[k][g](舌後部を使う)

舌が不要な音(明瞭度が保たれやすい):[p][b][m](両唇音)、[h](声門音)、母音(比較的保たれる)

舌の切除(全体・半側)後に低下する:[t][k](歯茎音・軟口蓋音)

部位別切除と対策

切除部位影響対策
舌尖切除歯茎音の障害下口唇と上顎前歯による代償構音
舌根部半切奥舌の障害咽頭破裂音による代償(やむを得ない代償)
残存舌の運動性低下全般的な明瞭度低下舌の可動域拡大訓練
残存舌のボリューム低下口蓋との接触不全舌接触補助床(PAP)
舌全摘出著明な構音障害AAC・電気式人工喉頭——軟口蓋挙上装置は不適切

「舌全摘出=軟口蓋挙上装置(PLP)」は誤り——PLPは鼻咽腔閉鎖不全の補装具。舌全摘後はAACや電気式人工喉頭を考慮する。

舌亜全摘術後の構音訓練

適切な対応:代償構音訓練が適応となる、拡大・代替コミュニケーション(AAC)を考慮する

不適切な対応:構音訓練は障害の強い音から始める(誤り——易しい音・産生可能な音から)

進行舌癌術後の構音障害の特徴

  • 破裂音[t]の明瞭度は低下する(保たれるわけではない)
  • 再建例では遅発性の萎縮に配慮が必要
  • 舌の切除範囲が広いと明瞭度が低下する
  • 口腔内に唾液が貯留すると歪み音となる
  • 鼻腔構音(鼻咽腔構音)への訓練は通常不要(舌癌では鼻咽腔機能は保たれる)