測定値は情報量の少ない順に 名義 → 順序 → 間隔 → 比率 の4水準に分けられます。上位の水準ほど許される演算が増えます。
| 尺度水準 | 意味 | できる演算 | 代表値・散布度 | ST・臨床の例 |
|---|---|---|---|---|
| 名義尺度 | 区別・分類のみ(順序に意味なし) | =/≠(度数を数える) | 最頻値/— | カルテ番号・ID番号・性別・血液型・疾患名 |
| 順序尺度 | 大小・順位に意味あり(間隔は不定) | </>(順位づけ) | 中央値・最頻値/四分位偏差・範囲 | GRBAS尺度・会話明瞭度・聴力の重症度分類・徒手筋力テスト |
| 間隔尺度 | 目盛の間隔が等しい(原点=0が任意) | +/−(差をとる) | 平均・中央値・最頻値/標準偏差・分散 | 聴力レベル(dB)・摂氏温度・知能指数(IQ)・暦年 |
| 比率尺度 | 間隔+絶対原点(0)あり | +−×÷(比をとる) | すべて/すべて(幾何平均も可) | 語音明瞭度(%)・反応時間・歩行距離・肺活量・音圧(Pa)・絶対温度(K) |
「名義尺度上の測定値は差をとることができる」→誤り(区別のみ)。
「間隔尺度で比を求める/原点を求める」→誤り(間隔尺度に絶対原点はない)。
「5段階評定による測定値は比率尺度」→誤り(順序尺度)。
「摂氏温度は比率尺度」→誤り(間隔尺度。0℃は無ではない)。「歩行距離・語音明瞭度は比率尺度」→正しい。
「交互反復運動回数・反応時間は順序/間隔尺度」→誤り(どちらも比率尺度)。
「名義尺度 ― 平均」「順序尺度 ― ピアソンの積率相関係数」は誤った組合せ(順序尺度の相関はスピアマンの順位相関)。
「名義尺度 ― 検定/最頻値」「順序尺度 ― 中央値」は正しい組合せ。名義尺度データにも適用できる統計的仮説検定(χ²検定)はある。
分布の中心を表す値が代表値。尺度水準と分布の形で使い分けます。
| 代表値 | 定義 | 特徴・使いどころ |
|---|---|---|
| 算術平均 | 総和÷個数 | 間隔・比率尺度向き。外れ値に弱い |
| 中央値 | 大きさ順に並べた中央の順位の値(分布を二等分) | 順序尺度以上で可。外れ値に強い |
| 最頻値 | 最も度数の多い値 | 名義尺度でも可。2つ以上ありうる。階級のまとめ方で変化しうる |
| 幾何平均 | n個の値の積のn乗根 | 比率・倍率の平均に用いる(成長率など) |
「算術平均は分布を二等分にする値」→誤り(それは中央値)。
「幾何平均は比率の平均に用いられる」→正しい。
「最頻値は分布のばらつきの程度を表す」→誤り(最頻値は代表値。ばらつきは散布度)。
2群の平均値の比較は間隔・比率尺度でないと不適切。GRBAS尺度は順序尺度なので平均比較は不適(最長発声持続時間・肺活量・体温・知能指数は数量として平均可)。
データの「ばらつき」を表すのが散布度。代表値とセットで分布を要約します。
| 散布度 | 定義 | 適した尺度 |
|---|---|---|
| 範囲 | 最大値−最小値 | 順序尺度以上 |
| 四分位偏差 | (第3四分位−第1四分位)÷2 | 順序尺度に適する(中央値とペア) |
| 分散 | 偏差(各値−平均)の2乗の平均 | 間隔・比率尺度 |
| 標準偏差 | 分散の平方根(元データと同じ単位) | 間隔・比率尺度 |
順序尺度の散布度として適切なのは四分位偏差(平均・分散・順位相関係数・中央値は散布度ではない、または順序尺度に不適)。
「標準偏差=分散の2乗」→誤り(分散の平方根)。
偏差値は散布度ではない(標準化された得点=相対的な位置を示す代表的な標準得点)。分散・範囲・標準偏差・四分位偏差は散布度。
「記述統計のデータ分析法」に統計的仮説検定は含まれない(=推測統計)。
「記述統計量」に母数(パラメータ)は含まれない(比率・平均・標準偏差・相関係数は記述統計量)。
「正規分布では平均値と中央値は一致する」「分散はバラツキを表す」「歪度は分布の形を表す」→いずれも正しい。
「標準偏差と偏差値は同義」「ピアソンの積率相関係数は0〜1の範囲」→誤り。
「偏差値得点は、得点と平均値との差分」→誤り(それは単なる偏差。偏差値は差を標準偏差で割って標準化した値。詳細は第3章)。