第2章|相関・検定・多変量解析

対応過去問 約8問/難易度 ★★★★☆
なぜSTが学ぶのか:「訓練前後で成績が上がったのは偶然か、本物の効果か」を判断するのが統計的仮説検定です。標準化検査の得点差を評価したり、論文の結果を読むときに、検定・相関・多変量解析の基本用語(有意水準・第2種の誤り・因子分析)を知らないと結論を誤ります。

2-1 相関と回帰

相関係数

  • ピアソンの積率相関係数 r は −1〜+1 の範囲。+1に近いほど正の直線関係、−1に近いほど負の直線関係、0で直線関係なし。
  • 相関係数は 散布度の指標ではない(2変数の関係の強さを表す)。
  • 順序尺度どうしの相関にはスピアマンの順位相関係数を用いる。

ピアソンの相関係数が0のときに結論できるのは 「線形(直線)関係がない」 ことのみ
「信頼性がない・妥当性がない・因果関係がない・相互作用がない」とは言えない(相関≠因果。曲線的な関係が隠れていることもある)。

回帰分析

  • 回帰分析は独立変数(説明変数)によって従属変数(目的変数)を説明・予測する手法。
  • 1つの変数を複数の変数で表そうとするのが重回帰分析

2-2 統計的仮説検定

基本の考え方

  • 統計的仮説検定は推測統計に基づく(標本から母集団を推論)。
  • 帰無仮説(H0)「差はない/効果はない」を立て、これが正しいと仮定したときにデータが得られる確率(p値)を計算する。
  • p値が有意水準(α、通常5%=0.05)より小さければ帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する。
  • 両側検定で有意水準5%なら、分布の両端に2.5%ずつの棄却域が設けられる。

「検定の目的は帰無仮説を採択すること」→誤り(棄却できるかを調べる。採択=証明ではない)。
「p値は有意水準と同じ意味」→誤り(p値はデータから計算される確率、有意水準は事前に決める基準)。
「帰無仮説が棄却されれば対立仮説が真であると証明される」→誤り(証明ではなく確率的な判断)。

第1種の誤りと第2種の誤り

H0が実際に正しいH0が実際に誤り(対立仮説が正しい)
H0を棄却第1種の誤り(α)=あわて者の誤り正しい判断(検定力=1−β)
H0を保持正しい判断第2種の誤り(β)=ぼんやり者の誤り
頻出:対立仮説が正しいのに、データに基づいて帰無仮説を保持してしまう確率=第2種の誤り(β)の確率。第1種の誤りの確率が有意水準α。検定力=1−β

分散分析

  • 分散分析(ANOVA)は3群以上の平均値の差の検定で、F分布を用いる。
  • 分散分析における独立変数を要因、その各条件を水準と呼ぶ。

検定と用途の対応:t検定=2群の平均値の差の検定(「分散の比の検定」は誤り=それはF検定)。χ²検定=適合度・独立性の検定。分散分析=平均値の差の検定。回帰分析=独立変数による従属変数の説明。

2-3 多変量解析(因子分析・主成分分析・パス解析)

多変量解析=複数の変数間の関係を同時に分析する手法の総称(データ数が巨大な場合の分析、という意味ではない)。

手法目的
因子分析観測変数の背後にある潜在因子を抽出変数間の相関データをもとに分析。尺度構成に利用できる。因子間の相関がないと仮定する方法(直交回転)もある
主成分分析複数の変数を少数の合成得点(主成分)に要約する
重回帰分析1つの従属変数を複数の独立変数で説明・予測する
パス解析変数間の因果関係を仮定し、その関係の強さを推定する

「多変量解析は変動の大きな変数間の関係を分析する手法」→誤り(変動の大小は関係ない。複数変数の関係を扱う手法の総称)。
「因子分析は因子間の因果関係を分析する」→誤り(潜在因子を抽出する手法。因果は扱わない=それはパス解析)。
「因子分析は外的基準のある多変量解析」→誤り(因子分析に外的基準は不要)。
「因子負荷量は定数として算出される」→誤り(分析によって推定される値)。
「パス解析では因果関係の前提が必要」→正しい。「主成分分析では合成得点が算出される」→正しい。